国産3列シートSUV 徹底比較(2/4)

国産3列シートSUV 徹底比較
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RAV4のロングボディバージョン

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RAV4のホイールベースを100mm延長したロングボディバージョンであり、欧米ではこのパッケージで「RAV4」として販売されている。日本では「先駆者」を意味する「ヴァンガード」のネーミングが与えられた。

スタイリングは、サイドウインドウグラフィックや全体のシルエットなどにより、強い前進感を表現している。ただ、不必要にボディパネルに抑揚をつけた有機的デザインは、今の欧州のトレンドのように思え、日本人の好みからすると、少し違うような気がする。

大まかなラインアップは、エンジンが3.5L V6と2.4L直4の2タイプで、それぞれに5人乗りと7人乗りがある。駆動方式は、FFのあるRAV4と異なり、4WDのみとなる。3.5Lと2.4Lでは、タイヤサイズと、カラードオーバーフェンダーの有無が外観上の相違点となっている。

走りについては、「若者から、子育ての終わったシニア層まで幅広い層をターゲットとした」というコンセプトに則してか、RAV4よりも乗り心地重視にセッティングされている。このプラットフォームは、もともと欧州における高速巡航をも視野に入れて開発されており、スタビリティ性能はそこそこ高い。

また、RAV4ではコーナリング時にロールを抑える突っ張った感覚があったが、ヴァンガードではそれが払拭されている。ソフト志向の乗り心地により、RAV4の後席で感じられた微振動の感覚も薄れている。

動力性能については、RAV4と車重が概ね70kg違い、今回の2台に比べると、クロスロードよりも100kgほど重く、アウトランダーと同程度なのだが、効率のよいCVTの恩恵で、2.4Lでも大きな不満はない。

走行状況に応じて最適なトルクを前後輪に配分するとともに、パワー/ステアリング/ブレーキを協調制御するというS-VSC+アクティブトルクコントロール4WD協調制御を装備する点もアドバンテージである。

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7人乗れることを感じさせない個性的外観

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直線を基調としたスクエアなSUVテイストのエクステリアに、大径タイヤを履かせ、最低地上高を高めにしている。3台を並べると、外観はクロカンテイストを色濃く打ち出しており、ずいぶん異なるものとなっているのは一目瞭然。

ボディサイズはひとまわり小さく見えるし、実際の数値もいくらか小さい。このパッケージの中によくぞ3列シートを収めたものだという印象は、クロスロードがもっともある。排気量は1.8Lと2Lが選べるが、車重からしても2Lを選ぶのが妥当だろう。

ストリームに比べ重心が高いのは見てのとおりだが、走りの味付けには決して無理していない。ドライブフィールは、スポーティな走りを追求したストリームに通じる軽快さがありつつ、過度にスポーティにはなっておらず、リラックスして運転できる。リアが少し跳ね気味ではあるものの、全体の乗り心地は快適に仕上げられているところは好印象だ。駆動方式は、4WDのほかにFFもラインアップする。

4WDについては、通常はFFで燃費を抑え、スタート時や加速時、雪上走行時など必要に応じて後輪へトルクを伝達するスタンバイ式の「リアルタイム4WD」を採用。クロスロードでは、後輪へトルクを伝えるデュアルポンプシステムにワンウェイカムユニットを追加したことで、FFと4WDの切り換えにタイムラグがほとんどなくなっている。

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万人向けのキャラクターとそつない走り

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世界戦略車として開発されたアウトランダーは、 価格のわりにボディサイズが大きめで、買い得感がある。ボディパネルにあまり抑揚をつけず、むしろプレーンであることをヨシとした印象。都会的なイメージがある。

アウトランダーに用いられた新世代プラットフォームがもたらす走りは上々で、乗り心地、静粛性など、高い快適性を誇る。

車高の高いクルマながら、アルミルーフや、リアにモノチューブダンパーを採用したことも効いて、ロールを抑えた高い運動性能とリニアな橋枻を実現している。乗り心地の快適性も高く、バネ下の重さを感じさせない。

パワートレインは、2.4LのMIVECエンジンに6速CVTが組み合わされる。これらのフィーリングも良好で、トルクを的確に発揮するエンジンに、CVTはATのような自然な加速感をもたらす。

電子制御4WDシステムを持ち、2WD、4WDオート、4WDロックの3つのモードを用途に応じて使い分けることができる。

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デザイン・スペックの総評

三車三様のスタイリング。ヴァンガードはトヨタ流の個性の演出であり、クロスロードはホンダの新しいチャレンジを感じさせるクロカンテイスト、アウトランダーはスッキリとした万人向けデザインという印象。走りはいずれも、悪いところのあまり気にならない味付けで、いずれも背の高いクルマではあるがネガティブに捉える必要はなさそうだ。

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

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