欧州コンパクトクロスオーバーSUV 徹底比較(2/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
5気筒ターボエンジンの強力なパワー
4,445mm×1,850mm×1,715mmと、同クラスでは標準的なボディサイズ。
フォードがグローバルに展開する「キネティック・デザイン」による、彫りの深いプレスラインや、ピンと張った面構成などによるエモーショナルなスタイリングが印象的。
さらに、大きなヘッドライトや上下に分割した台形グリルを組み合わせたフロントマスクをはじめ、後方がキックアップしたサイドウィンドウ、エッジを立たせたリアビューなど、数々の特徴を持つ。
そして、フォードの高性能モデルであるフォーカスSTゆずりの、最高出力147kW[200ps]/6,000rpm、最大トルク320Nm[32.6kgm]/1,600-4,000rpmを発生する強力な2.5リッター直列5気筒ターボエンジンが与えられたパワートレインもクーガの特徴のひとつ。これにセレクトシフトモード付き5速ATが組み合わされている。
独特のビート感を奏でる5気筒エンジンのフィーリングはクーガならでは。体感的にもスペック値が示すとおり、今回の3台の中では圧倒的に高い動力性能を持っている。
ハンドリングについても、SUVらしい見晴らしのよさを楽しめる高めのドライビングポジションながら、ほどよく引き締まったスポーティな味付けにより、背の高いクルマであることのハンデを感じさせない運動性能と操縦安定性を実現している。
一方で、オン、オフを問わず全天候下で威力を発揮するインテリジェント4WDシステムを持ち、オフロード性能もフォードSUVとして期待される悪路走破性も身に着けている。
低めの車高がもたらすSUVらしからぬ感覚
近年のBMWらしく抑揚ある造形のボディに、ダイナミックなショルダーラインも印象的。
前後ウィンドウが大きく傾斜しているのも他の2台に比べて特徴的で、SUVというよりも、少しリフトアップしたワゴンのようなフォルムを持つ。
日本市場を意識し、一般的な機械式立体駐車場に収まるよう、全幅を1,800mmちょうど、全高を1,545mmと低めに設定されている点も特筆できる。
走りの印象も車高の低さがそのまま表れており、巡航時の安定感や、コーナリングでのロールの小ささなど、SUVらしからぬ重心の低い走行感覚をもたらす。
SUVらしい高めのアイポイントが好みの人にとっては物足りないかもしれないが、乗用車プラスアルファを求める人にとっては、とっつきやすいクルマといえるだろう。
ただし、sDrive18iについては、ステアリングのフリクションが大きく、軽快感が損なわれている点が少々気になる。
sDrive18iに搭載される2リッター4気筒の自然吸気エンジンは、BMWの中でもすでに一世代前の仕様のエンジンであり、最高出力110kW[150ps]/6400rpm、最大トルク200Nm[20.4kgm]/3600rpmという少々控えめなスペック。
動力性能的には不満はないものの、もう少しBMWらしい味が欲しいところではある。
また、sDrive18iは、同カテゴリーでは珍しい後輪駆動を採用しているのも特徴。さらに、基本的な安全装備こそ付くものの、4輪駆動のxDrive25iとなると事情は異なるが、このsDrive18iについては、悪路走破性を高める有効な電子デバイスは与えられていない。
DSGを得て燃費とダイレクト感が向上
全長4,460mm、全幅1,815mm、全高1,690mmと、クーガとほぼ同じサイズながら、スペースユーティリティのよさを想起させる、均整の取れたオーソドックスなフォルムを呈する。
最高出力125kW[170ps]/4,300-6,000rpm、最大トルク280Nm[28.6kgm]/1,700-4,200rpmを発生する2リッター直列4気筒直噴ターボエンジンは、幅広い回転域で大きなトルクを発生するのが特徴で、実際にも十分な動力性能を持つ。
2010年秋より、トランスミッションに新開発の高トルク対応型の湿式クラッチを持つ7速DSGが採用されたのがニュース。
DSGは、2ペダルの扱いやすさを持ちながら、MT並みに効率に優れ、ダイレクト感のあるフィーリングを味わえることから日本でも人気が高い。
また、これにより6速ATの時代は10・15モード燃費が9.7km/L(トラック&フィールド)だったところ、11.6km/Lへと約2割増しとなったことも特筆できる。
足まわりは深いストローク感のある、落ち着いた印象の乗り味で、今回の中でもっとも乗り心地に優れる。プラットフォームはゴルフ5に由来するもので、ティグアンには「4MOTION」と呼ぶ先進の4輪駆動システムが搭載される。
さらに、ヒルホルダー機能付オートホールド機能の付くエレクトロニックパーキングブレーキや、ヒルディセントアシストをはじめ、ONにすると5つの走行支援システムが起動する「OFFROADスイッチ」が設定されているのも特徴だ。
総評
ボディ外寸はほぼ同等ながら、フォルムは三者三様で、ティグアンがオーソドックス路線を歩む中で、挑戦的なクーガという対比も興味深いが、やはりX1の車高の低さが際立つ。ドライバビリティ面では、動力性能についてはクーガが圧倒的。希少な5気筒エンジンが生む独特のフィーリングにも味がある。オンロードでの走りは、いずれも乗用車に比べても遜色ない快適性と軽快感を身に着けているが、やはりその中でもX1の低重心の感覚は新鮮。クーガとティグアンも、SUVらしい高さ感を持ちつつも、重心の高いハンデをあまり感じさせないところは上手い。悪路走破性については、仕様や装備からすると、クーガがもっとも優れるものと思われる。
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