ヴェルファイア/オデッセイ/エルグランドを徹底比較 ~まさに動くリビングルーム!ラグジュアリーが魅力の高級ミニバン~(2/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志
ボディサイズは最大級でフロントマスクのデザインも存在感を強めた
背の高いLサイズミニバンの人気車種であるヴェルファイアはネッツトヨタ店が扱い、兄弟車のアルファードはトヨペット店が扱っている。現行モデルの登場は2015年1月で、1か月の販売目標はヴェルファイアが4,000台、アルファードが3,000台だ。両車を合計すれば7,000台で、これはカローラシリーズに匹敵する台数となる。
エンジンラインナップは、直列4気筒の2.5リッターのガソリンエンジン、V型6気筒の3.5リッターのガソリンエンジン、さらに2.5リッターをベースにしたハイブリッドエンジンも用意されている。
今回試乗したグレードは、2.5リッターのガソリンエンジンを搭載する「Z Aエディション」で、価格は375万4,473円である。
ボディは大柄で、全長は4,935mm、全幅は1,850mm。トヨタ クラウンよりもひとまわり大きく、日産 フーガと同等だ。全高も1,880mmに達する。
フロントマスクのデザインは人目を引く。LEDヘッドランプが吊り目状に装着され、その上には「まつ毛」のようにLEDクリアランス/イルミネーションランプを配置した。パネルを隔てた下側にはターンランプとLEDコーナリングランプが付き、睨みを利かせている。
そしてフロントマスクの中央にはワイドなメッキグリルが備わり、背の高いミニバンとあって上下方向にも厚みを持たせた。
Z Aエディションはスポーティ指向のグレードで、前後のバンパーとボディサイドにエアロパーツが装着される。標準ボディに比べると、フロントマスクの下側にある開口部がワイドだ。大柄なボディと相まって、良くいえば存在感が強く、悪くいうなら独特の威圧感を放っている。
床を低く抑えて乗降性が優れ、全高は1700mmを下まわる
ホンダ オデッセイは、今に通じるミニバンの草分け的な存在だ。初代モデルは1994年に登場してヒット作になり、トヨタ エスティマや日産 セレナの好調な売れ行きと相まって、ミニバンを売れ筋のジャンルに押し上げた。
現行型は2013年に発売された5代目で、今回取り上げるヴェルファイアやエルグランドと並ぶフラットフロア構造のハイルーフミニバンになった。燃料タンクをカバーできる位置まで床を持ち上げ、フラットに仕上げている。
この構造であれば、燃料タンクによって3列目の床だけが高くなることはなく、膝を抱える着座姿勢になりにくい。天井が高くなったこともあり、3列目の居住性は先代モデルに比べると大幅に向上した。
その一方で、薄型燃料タンクの開発で、フラットフロア構造としながら床は低い。床面地上高は340~350mmで、ヴェルファイアやエルグランドに比べると、スライドドアの部分で80mmほど低い。そのためにオデッセイは、サイドステップ(乗降用の小さな階段)を装着する必要がなく、乗り降りもしやすい。
床の低さは外観にも影響を与えた。試乗車はアブソルートEX(358万2,000円)で全高は1,685mm。フラットフロア構造のミニバンでは最も背が低い。
外観だけを見れば全高が1,640mmのトヨタ アイシス、1,615mmのマツダ プレマシーなどに似ているようにも思えるが、フロア構造はまったく違う。アイシスやプレマシーはフラットフロアではないから、3列目の床が高く、座ると膝が持ち上がる。
「オデッセイ アブソルートEX」の全高は4,830mm、全幅は1,820mmで、ライバル2車に比べてボディを小さく抑えた。
エンジンは直列4気筒の2.4Lのみ。アブソルートは直噴式を採用して、標準ボディよりも動力性能と燃費が少し優れている。
豪華指向を打ち出しながら、スポーティ感覚も併せ持つ
多人数乗車や荷物の積載に適したミニバンは、1990年代の中盤から新しいファミリーカーとして普及を開始した。
そこに新たな価値観を吹き込んだのが、1997年に登場した日産 初代エルグランドであった。Lサイズミニバンで車内が広いだけでなく、フロントマスクの存在感を強めて内装は上質。「憧れて買うミニバン」として、価格は高かったが好調に売れた。ヴェルファイア&アルファードが商品力を高めた背景にも、初代エルグランドの成功と、これに向けたトヨタのライバル意識があっただろう。
現行エルグランドは3代目で2010年に登場した。初代と2代目は後輪駆動だったが、現行モデルは一般的な前輪駆動。床の位置が約130mm下がり、オデッセイほどの低床設計ではないが、乗り降りがしやすくなった。
エンジンは直列4気筒の2.5リッターと、V型6気筒の3.5リッターを設定。ボディタイプは、標準仕様とエアロパーツを備えた「ハイウェイスター」を用意する。ただし標準ボディは最廉価の250XGのみ。大半のグレードがハイウェイスターになる。
試乗したグレードは、2.5リッターエンジンを搭載する「250ハイウェイスタープレミアム」(399万6,000円)であった。
ボディサイズは全長が4,945mm、全幅が1,850mm。前述のヴェルファイアとほぼ同じだが、全高は1,815mmだから35mmほど低い。
全高の数値上の違いはわずかだが、エルグランドはヴェルファイアに比べて明らかに背が低く見える。フロントマスクやルーフの形状も影響して、外観の存在感はヴェルファイアほど強くない。その代わりスポーティに仕上げた。
フロントマスクも同様で、メッキグリルによって存在感と豪華さを強調しながら、鋭角的な印象も併せ持つ。
デザイン・スペックの総評
この3車の売れ筋価格帯は340~400万円。セダンやワゴンなら、トヨタ クラウンアスリート&ロイヤルの2.5リッターモデル(ノーマルエンジン車)、マツダ アテンザセダン/ワゴンのXD・Lパッケージ、メルセデス・ベンツ CLA180、アウディ A3セダン1.4TFSIなどが該当する。
セダンやワゴンは、低重心と高剛性のボディによって走行安定性と乗り心地のバランスが優れ、「安全と快適」が特徴だ。
ミニバンは車内に乗り込んだ時のインパクトが絶大。背の高い軽自動車が「これで十分」だとすれば、「これは凄い」と思わせるのがミニバンだろう。
特に多彩な車内のアレンジには、海外のクルマでは得難い独特の気配りがあり、人気の高さを裏付ける。
このミニバンの特徴を明確に表現したのが、2リッターを超えるエンジンのみを搭載した背の高いLサイズモデルだ。今回の3車は、内装が上質で居住性は3列目まで快適だから、多人数の移動に適している。
厚みのあるフロントマスクを生かし、メッキグリルの演出で存在感を強めたことも特徴だ。デザインが過剰だと、周囲のクルマを蹴散らしながら走るイメージも生じるが、それはSクラス以外の全車に大きなエンブレムを掲げたメルセデス・ベンツのフロントマスクも同じだ。当たり前の話だが、ユーザーの運転の仕方次第ということになるだろう。
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