トヨタコンパクトカー 特集(4/4)
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:原田淳
お勧めは快適装備が充実な1.3U
コンパクトカーのスタンダードともいえるのがヴィッツ。このクラスで最も安定した売れ行きを続けるクルマだ。月によってはライバル車のフィットが上位にくることもあるが、通年ではヴィッツのほうが上位にあり、コンパクトカーで随一の人気モデルということになる。
グレード選びはヴィッツらしい基本グレードとなるのが1.0Fで、低価格で買えるという点でもお勧めとなる。装備に多少の制約を受けるが、インテリジェントパッケージを選べば、アイドリングストップシステムが付いて24.5km/Lの超低燃費を実現する。トータルで経済的なクルマになる。
快適装備の充実度の高さから多くのユーザーにお勧めできるのが1.3U。価格的にはやや高めの水準になるものの、スマートエントリー&スタートシステムなどの充実した快適装備が用意され、コンパクトカーの水準を超えた満足度の高い仕様が手に入る。
長く乗ることを考えたら、単に安いグレードを選ぶのではなく、こうした満足度の高いグレードを選んだほうが良い。装備が貧弱なグレードでは飽きがきやすい。
1.5Lエンジンの搭載車はスポーティだし、走りに余裕もあるが、ヴィッツにはやや似合わないような印象もある。RSではアルミホイールを始めとするスポーティな仕様が用意されるが、価格的にも高くなるので必ずしもお勧めグレードではない。
リセールバリューを考えても速く買うほど有利
ラクティスはまだデビューしたばかりのクルマだが、発売当初から高い人気を集め、10月には販売ランキングの2位、11月にはカローラを抜いて首位に立つほどの売れ行きとなった。
デザイン、広さ、走りなど、多面的な魅力を持つことが人気につながったといえる。息の長い売れ行きを続けてきたフィットも、今年デビューしたてで好調な売れ行きを続けてきたノートも、一気に色あせるような迫力のある売れ行きを見せている。
これだけの人気車なので買うなら早めに積極的な手を打ったほうが良い。将来的なリセールバリューを考えても早く買うほど有利になるからだ。
FF車を選ぶ場合、1.3LのXでも十分だが、単純なXを選ぶのではなくLパッケージ装着車を選びたい。オートエアコンを始め、スマートエントリーやオーディオなどが装備されて買い得感が高い。
X Lパッケージ装着車は1.3Lながら価格は150万円台となる。1.5G Lパッケージだと160万円台に乗るから、ラクティスの価格が全体に高めの水準にあるのは確か。でも内装の仕様が質感の高いものになっていたり、あるいはクルーズコントロールが標準で装備されるなど、クラスを超えた快適装備の設定などが魅力の要素となる。
ラクティスを買うときに注意したいのは全高が1,600mmを超えてタワーパーキングには駐車できないこと。出かける先にタワーパーキングが多い人は注意が必要だ。
セダンらしい使い方をする機会が多いユーザーに
セダンボディのベルタは、このクラスのセダンを必要とするユーザーがどれくらいいるかがポイントだ。ヴィッツやラクティスもハッチバックとはいえ5ドアなので使い勝手の面ではベルタと変わらないくらい。独立したトランクがあることがベルタの魅力だが、ヴィッツやラクティスは分割可倒式のリヤシートによってかさばる荷物も積めるので、どちらが有利かの判断は難しい。
ベルタがどれくらい売れるかは必ずしも見通しが良いわけではない。販売目標台数自体も相当控えめに設定されているが、安定した売れ行きを続けるかどうかは疑問である。
なので後席に人を乗せるなど、セダンらしい使い方をする機会が多いユーザーに限ってお勧めできるモデルだ。ベルタは走りのフィールなどもやや安っぽさを感じさせる面があるほか、価格設定も高めなので、これらをトータルするとお勧め度は必ずしも高くない。
普通のユーザーにはヴィッツやラクティスの方がお勧めで、法人ユーザーなどがベルタを買う機会が多くなるのではないか。
グレードは1.0Xだと4名乗車のときなどさすがに厳しい感じになるので、買うなら1.3Gがいい。ただ、1.3Lのセダンなのに価格は150万円台に乗ってしまうから、これだとカローラとどちらが良いかで迷ってしまう。カローラは来年にもフルモデルチェンジを受ける予定の末期モデルだが、割安感が強烈だからだ。
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