クロスオーバーカー 徹底比較(2/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:島村栄二
ストリームとは異質のクルマ
ストリームとプラットフォームを共用することをあまり感じさせない、潔いSUVテイストのエクステリアデザイン。直線を基調としたスクエアなフォルムに、大径タイヤを履かせ、最低地上高を上げている。
ボディサイズは全幅が1755mmであり5ナンバー枠を超えているが、この程度であれば日本の道路事情でも問題ないだろう。
ホンダには、かつてHR-Vというモデルがあり、こちらも時代を先取りした感のある斬新なパッケージだった。後年の人気が衰えはしたものの、先見性のあるモデルだったと認識している。そしてクロスロードのコンセプトは、その延長上にあるという見方もできるだろう。
ドライブフィールは、個人的に予想したものと少し様子が違ったのだが、やはりストリームでも感じられた良さも悪さも受け継いでいる。もちろん、車高が上がり、タイヤも変わっている。いたずらにスポーティテイストを追求した感のあるストリームよりも、何も構えることなく運転できるところには好感が持てる。
初期の当たりがソフトであり、乗り心地がいい。これはサスペンションセッティングでもあり、タイヤの違いも大きいのだろう。
また、センター付近の据わりが人工的で遊びの多い、最近のホンダ車に多い例の電動パワステを搭載しているはずだが、タイヤとのマッチングによるものか、ストリームやゼストよりも違和感がなくなっている。その意味では、よいまとまりである。
高速巡航は意外と得意で、リアが少し跳ね気味ではあるものの、ストリームに比べるとはるかに落ち着きがある。横風に対して弱い印象もあまりない。
コーナリングについては、現実的に一般ドライバーが頻用するであろう領域は非常にリニアで、運転しやすい。そこを超えたコーナリングでは、ロールが大きく出て、旋回外輪から逃げて、安全な弱アンダーステアを維持する設定となっている。このあたりはストリームと違う。重心が高いのは見てのとおりであり、このクルマでスポーティに走りたいというのもどうかと思うので、全体として的を得た上手いバランスのセッティングといえるだろう。
SUVテイストの外観と不満のない走り
クロスカントリー性能を備えたミニバンというキャラクターが伝統となっているデリカ。ミニバンカテゴリーとしては異例のフルラインアップ4WDであり、視覚的にもそれをアピールしている。
5代目となった現行モデルは、4730mm×1790mm×1870mmというディメンションと、車両価格は約260万円~340万円という設定。5ナンバーのワンボックスタイプミニバンとLLクラスミニバンの小排気量モデルの両者の間を上手く埋めたサイズ感と価格帯であり、両方がライバルになる。
そこでは、やはりライバルにはないSUVテイストのルックスと悪路走破性能がアドバンテージとなる。ミニバン全盛のマーケットにおいても、ひときわ異彩を放つモデルである。
凡庸になりがちなワンボックスタイプのミニバンのデザインにおいても、極めて個性的である。高い最低地上高、フェンダーフレア、アンダープロテクターとか、ライトの造形も面白い。リアまわりも「DELICA」とデカールではない立体的で大きな車名マークや、横に通された太いガーニッシュ、クリスタルタイプのコンビランプなど、アメリカ車っぽい力強い演出も見られる。
最近のミニバンのトレンドとは逆に、ウエストラインがけっこう高く、ウインドウグラフィックはあまり縦方向に大きくない。こうすると補助ミラー必要になるが、ドアミラー前方にさりげなく配することで、あまり変に見えないようにしている。
Aピラーの傾斜角がかなりついており、リアエンドの処理とのつじつま合わなくなるところを、上手く合わせられていて違和感もない。
走りは、非常に上手くまとめられている。ミニバンというと、走りにおいてメリットを生む要素など何もなく、カテゴリーの全車をみても、どこかに弱点を持っているものであるが、デリカはとにかく気になる点がないのだ。
まず、動力性能。エンジンは的確に期待どおりのトルクを発揮し、それを効率のよいCVTが巧みに引き出す。ATのような味付けで、CVTにありがちな違和感がほとんどない。
コーナリングを含めた走行性能もまとまりがよい。足まわりはソフトながら引き締まったフィーリングで、乗り心地がよい上に腰砕け感もない。重心の高さによるデメリットをあまり感じさせないのだ。2、3列目にも座ってみても、乗り心地は悪くない。
また、ボディ剛性が高く、フロアの微振動も感じられないし、走りに一体感がある。車検証によると、前軸軸重980kg、後軸軸重840kgという、53.8:46.2の、意外と前後イーブンに近い数字であり、これによるバランスのよさもあるのだろう。
全体的にマイルドなドライブフィールに好感
レガシィのツーリングワゴンをベースに、SUVテイストを与えたモデルがアウトバックだ。最低地上高を200mmとし、専用のフロントグリルやバンパー、大型フォグランプ、オーバーフェンダー、215/55R17サイズの大径タイヤなどが与えられている。
ちなみにスバルでは、このクルマをワゴンではなく、SUVとカテゴライズしている。レガシィのツーリングワゴンとは別のクルマと位置づけているのだ。
アウトバックには3.0Rと2.5iの2グレードが設定されている。そして、実はレガシィ全体の中でも、今回取り上げた2.5iが、概ね2番目に販売比率の高いモデルであるという。上級の3.0Rとの外観の相違点はほとんどなく、装備面でもそれほど大きく劣ることはない。
しかも、2006年のマイナーチェンジで、「実はアウトバックの2.5iがもっとも進化した」とスバル開発陣が述べるほど、動力性能も向上をはたしている。
レギュラーガソリン仕様であり、燃費もよく経済的であることは、今回も確認できた。4速ATのみの設定で、例のSIドライブは付かないところは泣きどころといえば泣きどころだが、踏み込んだときのレスポンスには、大排気量4気筒ならではのトルクの出方のメリットがある。ミッション自体が、現代の水準からいうと、反応遅れや、効率的にも滑らせている領域が大きく、改良されてしかるべき部分も多いが、結果的に一般走行する限りにおいては、無難な走りのまとまりをもたらしている。
ハンドリングもしかり。レガシィのGT系の走りを知っていると、あまりに大人しく感じてしまうところではあるが、全体にマイルドにしつけられており、あらゆるシーンで気兼ねなく乗れる。実用車としてはこれがベターだろう。
デザイン・スペックの総評
3台のキャラクターが異なることは大前提として、それぞれのモデルが実際にマーケットでライバルとなるモデルに対して、どのようなアドバンテージを持っているかを考えたい。
そこで、もっとも優位性を持っているのはデリカだろう。SUVテイストのライバルが存在しないからである。クロスロードは、ライバルに対し、3列シートを持つ点。アウトバックは、本格的SUVには引いてしまうが、SUVに憧れる気持ちはあるというユーザー向けか。
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