これぞBMWの魂! 8年ぶりにフルモデルチェンジした新型3シリーズ「330i M Sport」に速攻試乗(3/3)

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まだまだ後輪駆動は必要なのだ!

ただし家族からは、その絶妙に狭い(笑)後部座席やパッセンジャーシートをして「同じ“3”ならX3にしようよ…」と言われる可能性は高い。

BMW的には先代モデルから全長、全幅、そしてホイールベースをも拡大して世間の常識に対抗したけれど、まだまだドイツの巨漢男子にこのコクピットは小さい部類だと思う。むしろ幅広くなったのは走行性能を上げるべくフェンダーがワイド化されたからではないか? と疑ってしまう。つまりそこには、BMWが3シリーズに掛ける執念みたいなものがある。一見して5シリーズに近づいたように見えるけれど、彼らにとってはこれがまごうかたなき3シリーズセダンなのだ。

だからいくらアナタが「そこが3シリーズのよいところで……」とか「X3はFRじゃないし……ごにょごにょ」とゴネても、きっと分が悪い。こうした流れは世界的な潮流だが、ドイツでは収入に応じて会社からクルマがあてがわれる「カンパニーカー制度」がある分、SUVではなくセダンに乗る層がまだまだ多いのかもしれない。ともかく日本ではセダンの分が悪い。

だがそこを押してまで、新生3シリーズを手に入れることができるドライバーは幸せだ。

そういう意味ではよりパーソナル性が高まる4シリーズの方が、もしかしたら需要は高まるかもしれない。もしくはその利便性を活かしながら、独身男性が敢えてセダンを選ぶのもありだろう。

私のBMW3シリーズにおける原体験は、E36時代の318isだ。当時はこの138馬力しかない1.8リッターモデルが、どうして400万円を超える価格になるのか理解できなかった。あと40万円も足せば、当時の最新スポーツセダンであるスカイラインGT-Rが買えた値段である。

しかしそのハンドルを後年握って、納得がいった。318「is」はマニュアルシフトだったこともあるが、質実剛健ながらも操作に忠実で、よくできたクルマはパワーがなくても運転が楽しいということを教えてくれたのだ。

現行330iはこうしたBMWのコアを受け継ぎながら、あの素朴な乗り味や質素なインテリアに鮮やかさを加え、着実な進化を見せた。

5シリーズよりも先進的な二画面式のTFT液晶パネルを備え視認性と操作性を向上させたことなどは、その最たる例である。

次期2シリーズがFF化されるという話があるように、効率と価格だけを突き詰めれば現代でFR(フロントエンジン・リアドライブ)の必要性はもはやないと言い切ってしまってよいと思う。

しかし運転を愛するドライバーの五感には、その質感はきっちりと響く。

機械式度計を欲しがるような贅沢ではあるかもしれないけれど、まだまだFRは必要な存在であると思えた、心地良い試乗であった。

[筆者:山田 弘樹/撮影:小林 岳夫]

BMW 新型3シリーズ スペック

BMW 新型3シリーズ 主要スペック
320i SE/Standard/M Sport330i M Sport

メーカー希望小売価格(消費税込)

452万円/523万円/583万円

632万円

全長

4715mm

全幅

1825mm

全高

1440/1440/1430mm

1430mm

ホイールベース

2850mm

乗車定員

5名

車両重量(車重)

1560kg

1630kg

エンジン種類

直列4気筒DOHC ガソリン

駆動方式

FR

排気量

1998cc

エンジン最高出力

135kW(184PS)/5000rpm

190kW(258PS)/5000rpm

エンジン最大トルク

300N・m(30.6kg・m)/1350~4000rpm

400N・m(40.8kg・m)/1550~4400rpm

トランスミッション

8速AT

燃料

無鉛プレミアムガソリン

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山田 弘樹
筆者山田 弘樹

自動車雑誌編集者としてキャリアをスタート。輸入車雑誌 副編集長、アルファ・ロメオ専門誌編集長等を経て、フリーランスのモータージャーナリストに。レース参戦なども積極的に行い、走りに対する評価に定評がある。AJAJ会員。カーオブザイヤー選考委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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