アウディ RS5 & S5カブリオレ 試乗レポート/松田秀士(3/5)
- 筆者: 松田 秀士
- カメラマン:柳田由人
速度を上げれば上げるほど体感できる驚愕のコーナリング
組み合わされるトランスミッションはいわゆるツインクラッチの7速Sトロニック。F1ドライバーのようにステアリングを握ったまま左右のパドルを操作してマニュアルシフトすれば、抜群の早さでシフト操作が可能。0→100km/h加速は4.6秒だ。さらに、エンジンやステアリングのレスポンスを含めたSトロニックのシフトタイミングもアウディドライブセレクトを操作することで変更できる。
そして、4WDであるクワトロシステムも大きく進化したパーツの一つだ。現行型A4に進化したのと同じクワトロシステムの駆動配置を踏襲していて、前輪の配置をより前方にすることでホイールベースの延長とフロントオーバーハングの縮小を達成している。さらにRS5では、クラウンギヤを採用したセルフロッキングセンターデフを採用している。これは従来比で-3kgの軽量化と、通常はフロント40%、リヤ60%のトルク比が最大でフロント70%、リヤ85%まで可変できるのだ。加えてリヤデフにいわゆるEデフを採用していて、コーナーリング時の外輪に意図的にトルクをかけて旋回性能を上げている。
説明がくどくなるが、さらにトルクベクタリングといわれるスタビリティコントロールと協調したブレーキ制御で狙ったラインにトレースできるコーナーリング性能を達成している。
では、そのコーナーリング性能。一言でいうなら「驚き」だ。速度を上げれば上げるほど、路面がどんなに荒れていてもほとんど吸収してしまい、常にタイヤは同じレベルのグリップ力を保つ。このサスペンションには電子制御可変ダンパーなどは採用されていない。なのに、舐めるように路面の凸凹をいなすのだ。サーボトロニックと呼ばれるパワーステアリングは油圧式で流行りのEPSではないが、ギヤ比が可変のアクティブステア。この全てがコラボした驚きのコーナーリング性能だ。
これまでのクアトロシステムは、コーナーを攻め込めばどんどんアンダーステアーとなり、スポーツドライブ上の楽しみはそこまでだった。しかし、このRS5はまるで違う。ステアリングを切った分、どこまでもコーナーリングを楽しめるのだ。しかも安全に。
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