土屋武士選手/今井優杏の「あなたの愛車教えてください!」(3/3)

土屋武士選手/今井優杏の「あなたの愛車教えてください!」
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バラしてみて、改めてポルシェの良さを知りました!

―そんな理由もあって、今ハンドリング重視でクルマを選んだら、自然と欧州車に目が行く、と。

いいクルマ、安心なクルマって、タイヤがグリップしてるのを自分が感じられるかどうかにあると思うのね。レーシングカーでも限界までドーンと飛びこめるクルマは、タイヤの接地状態がわかるクルマなの。だから安心してレースが出来る。

分かりやすく例えれば、ちょっと前の国産高級セダンとかそんな感じだったでしょ?路面のギャップを吸収して、音が出ないのが高級車とされてたじゃない。でもそういう、ブッシュを柔らかく吸収するように作ってるクルマは、タイヤがどういう状態にあるのか、全然わからないから怖いんだよね。

―最近は国産車もアシを締めてるのも多くなって来ましたけど、それでも?

クルマ作りの環境が全然違うじゃん。日本だと最高速100km/h、そこを航続出来るかどうかが焦点で、欧州はアウトバーンを150km/h~200km/hで走行で出来ることが最低条件だから。それが“高性能と高級感の違い”に繋がる。

―ではBMWを奥さんのメインカーに選んだ理由はそこにあるんですか?安心なクルマだから家族に乗せられるってことですか?

それももちろんあるけどね、一番は自分の好きなクルマに乗ってもらってた方が、自分も乗れるからっていう理由(笑)自分の趣味を押しつけてるの。

―それで自分の愛車になるなら、どんどん押しつけられたいです(笑)。では社用に使ってらっしゃるヴォクシーはどうでしょう?武士さんのブランドである、ニコスタイルのエアロ付き、ってことですが。

土屋武士選手とトヨタ ヴォクシー

ヴォクシーはファミリーカーとして使うには秀逸なクルマだと思う。

とんでもない収納の多さに加えて、ファミリーのことをよく考えられてるよ。たとえばサングラスの収納スペースを開けたら、魚眼のような広角ミラーが付いてて、後部座席の子供の様子がよく見える、とか。

―オリジナルエアロの制作をされてると言うことですが。

一昨年、土屋エンジニアリングが500クラスのトヨタから撤退して、去年はアストンマーチンで出走したけど、マシンのポテンシャルの問題もあって、“レース”が出来なかったんだよね。競い合う人が誰もいないという状態は、自分の中でも屈辱的だった。

だからアジアルマンシリーズで勝って、それを最後に引退しようと考えてたんです。アジアルマンで気持ちよく優勝して、職業レーシングドライバーとしての自分には、そこで区切りをつけようと。 でもクルマの仕事は携わっていたかったから、エアロを作ってみたんだよね。

―知りませんでした、すみません。

だって中断してるもん!(笑)引退考えて、じゃあやるぞ!って今年フタを開けてみたら、ポルシェでのGT参戦が決まって、青木拓磨とのスーパー耐久参戦も決まって、今、エアロを出したらお客さんに対して中途半端になっちゃうな、と。それでシーズンオフまで休止中なの。

―ちなみにお伺いします。今GTにポルシェで参戦されてますよね?どうしてポルシェを選んだんですか?

去年、S耐に参戦したのもポルシェだったんけど、自分で整備してたのよ。

僕はもともとメカニックだったから、やってみたの。そうしたら出来るわけ。走るわけ。バラしてみて、改めてポルシェの良さを知った、というか、ポルシェのグローバルケア、モータースポーツへのスタンスに共感したってところは大きいね。

クルマのポテンシャル、懐の深さ的にも、プライベーターがレースするなら最高だよ。一般車との共用パーツも多いし、ドライビングもそんなに難しくないから。

―なんで普段乗りしないんですか?

今レーシングカーでポルシェには乗れるでしょ?でも自分がもし50歳くらいになってレーシングカーに乗れなくなったら凄く欲しくなると思うな。実はGTデビューがポルシェ993だったんだけど、その頃、ポルシェが嬉しくて、もう散々乗りまわしてね。スゲーかっこよくて。ポルシェってその頃の気持ちを思い出させてくれる何かがある。あのドキドキ感は今でも感じるね。

―じゃあ今、御自分のカーライフは完全にコンプリート状態なわけですね?

うん、これ以上望めないでしょ。あとはレースで勝つこと、それだけですね。

今井優杏の「取材後記」

スーパー耐久には脊髄損傷で車椅子生活を送りながらもレース界に復帰した青木拓磨選手とコンビを組んでいることから、これからはハンディキャップを持った人々がレース参戦をするための活動もしていきたい、と語っておられた武士選手。

現在HDX(ハンドドライブクロスカート)の理事もされていて、今後の活動にも積極的に取り組んでいきたい、と仰っていました。

また、フォーミュラニッポン運営団体であるJRPの委員にも就任、競技オブザーバーとしての活動もされています。

ますますQ5の走行距離が伸びそうな武士選手でした。

土屋武士選手HP

http://www.t-samurai.com/

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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

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