トヨタ 新型カムリ燃費レポート|カムリハイブリッドのセダン復権への貢献度を実燃費で検証してみる(1/2)

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トヨタ 新型カムリ燃費レポート|カムリハイブリッドのセダン復権への貢献度を実燃費で検証してみる
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トヨタ カムリ実燃費レポート|結果まとめ

今回の燃費テストでは、2017年7月にフルモデルチェンジしたトヨタ カムリ(ハイブリッド)をテストした。

低迷が目立つ日本のセダン市場において「セダンの復権」というテーマを掲げたカムリ。2400台の月間販売目標台数に対し、7月10日の発売以来1カ月で目標の約5倍となる約11,500台を受注している。

テストに用いたのは、3つあるグレードのうち中間に位置する“G”(JC08モード28.4km/L・車両本体価格349万9200円)に、メーカーオプションとなるブラインドスポットモニターなどの安全装備、カラーヘッドアップディスプレイ、カーナビ等を装着した車両を起用した。

テストは2017年8月2日(水)の午前7時頃開始し、午後1時半頃帰京するというスケジュールで実施。テスト中の天候はくもり一時雨(雨は時折強く降ることもあった)、最高気温は26度と8月にしては涼しかった。交通状況は夏休みが分散しつつあるためなのか、非常にスムースであった。

カムリの燃費テストの結果は以下の通り

トヨタ 新型カムリハイブリッド 実燃費まとめ
新型カムリプリウス
グレードGS
駆動方式2WD2WD
JC08モード燃費28.4km/L37.2km/L
街乗り実燃費23.4km/L28.1km/L
高速道路実燃費24.1km/L28.3km/L
郊外路実燃費23.3km/L30.3km/L
総合実燃費23.7km/L28.8km/L

さすが最新のハイブリッドカーだけあって、全長5m近いラージセダンでありながら常時23km/Lを超える燃費を記録したことには文句のつけようがない。

また同じトヨタのハイブリッドカーでハイブリッドカーの燃費の基準と言える現行プリウス(1370kg)と車重(テストに使ったカムリは1580kg)を物差しに燃費を比べても、十分納得できる記録となっており、この点を頭に置くとカムリの実燃費はなおさら素晴らしい。

ここからは高速燃費編、市街地編、郊外路編、それぞれの走行シーンで燃費や走りの質について詳細な評価を行っているので、カムリの購入を考えている人にはぜひ参考にしてほしい。

トヨタ 新型カムリ実燃費レポート|高速道路編

トヨタ新型カムリ 高速道路での実燃費:24.1km/L

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高速道路での燃費は24.1km/Lを記録した。文句のつけようがない数値なのに加え、プリウスと車重を物差しに比較してみても納得のできる燃費だ。

今回は、ライバル車である現行アコードハイブリッド(初期型)、現行アテンザディーゼル(MT・初期型)の燃費データも記載する。

ハイブリッドカーは不得手とされる高速道路においても、ディーゼルエンジンを搭載するアテンザ以上の実燃費を記録したのは、驚異的と言えるのではないだろうか。

トヨタ 新型カムリハイブリッド 高速道路実燃費
グレード等高速道路実燃費カタログ燃費
カムリG24.1km/L28.4km/L
プリウスS 2WD28.3km/L37.2km/L
アコードハイブリッド現行初期型22.2km/L30.0km/L
アテンザ(ディーゼル)現行初期型 MT23.5km/L22.4km/L

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現行カムリに乗って一番印象的だったのは動力性能、具体的にはハイブリッドシステムの躍動感であった。

モーターのパワーが大きいこともあり、アクセルを深く踏むとレスポンスよく「グイグイと力強くスピードが乗る」というフィーリングは、プリウス等多くのトヨタ製ハイブリッドカーと同じだ。しかし新型カムリでは力強さの度合いが格段に向上しており、絶対的な加速力も2.5リッター級エンジンを積むラージセダンの中でも速い部類と断言できる。

加速のフィーリングに関しては、これまで4気筒エンジンを搭載するトヨタのハイブリッドカーは全体的にエンジンの存在感は決して強くなかった。しかし現行カムリは力強くかつ気持ちのいいエンジンを伴いながらスピードが乗り、いい意味でエンジンの存在感を強く感じる。現行カムリのエンジンとハイブリッドシステムの躍動感を体験すると、前述した「ダイナミックフォース」というエンジン開発のコンセプトが深く納得できる。

なおハイブリッドカーで気になる、EV走行から追い越し加速などのためアクセルを全開にした際の本格的な加速は、気になるタイムラグもほとんどなくグイグイと加速する。エンジンとモーターのパワーに余裕があるのに加え、リチウムイオンバッテリーを採用した効果もあるのだろう。EV走行といえば、これもリチウムイオンバッテリーのおかげなのか、高速道路のペースでもEV走行する機会がそれなりにあることも印象的だった。

高速道路での静粛性だが、ロードノイズが耳につくことはあるが、まずまずのレベルだ。 高速道路では先行車追従型のレーダークルーズコントロールも試してみた。トヨタセーフティセンスPに含まれるレーダークルーズコントロールは、トヨタらしくというか全体にソツない仕上がりであることが多いが、カムリのレーダークルーズコントロールもそうで、運転が上手な人のように加減速は滑らかで、前後左右の監視と操作の構えをしながら安心して運転を任せることができる。

加えて3段階から選べる車間距離もそれぞれ適切だった。 なお、テスト前日にはワイパーを常時作動にするくらいのかなり強い雨の中でレーダークルーズコントロールを試す機会もあったのだが、その際は「レーダーの汚れを取っていください」という表示が出て、作動が止まってしまった。

悪天候の中でもなるべく作動するよう改善を望みたいところだが、以前のトヨタのレーダークルーズコントロールがそれほど強くない雨でも作動しなくなるケースがしばしばあったのを思えば、格段の進歩を遂げていることは強調しておきたい。

車線逸脱警報と、車線逸脱を防ぐためのステアリング制御を行うレーンデパーチャーアラートも、車線を逸脱しそうになった際にはまずまずの強さでステアリング制御が入り、それなりの効果が確認できた。

ちなみにテスト前日の雨天では雨が時おり激しく降ることもあり、激しい雨の中だと屋根の鉄板に当たる雨音が耳にそれなりに聞こえた。この点はカムリが「ラージセダンであるけど、プレミアムカーや高級車でない」というポジションにあるのを考えれば、やむを得ないところだろう。

トヨタ 新型カムリ実燃費レポート|街乗り・市街地編

トヨタ新型カムリ 市街地での実燃費:23.4km/L

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市街地での燃費は、リッター20kmの大台を大きく超える23.4km/Lを記録した。この数値は車重を基準にプリウスと比べても合格点であるし、ライバル車と比べるとテスト中の気候などの要因はあるにせよ、群を抜いている。

カムリの市街地での燃費の素晴らしさの要因は前述もしたが、ハイブリッドシステムの全体的に効率向上に伴いEV走行の機会やモーターのアシストが増えているためだろう。

トヨタ 新型カムリハイブリッド 街乗り・市街地実燃費
グレード等市街地実燃費カタログ燃費
カムリG23.4km/L28.4km/L
プリウスS 2WD28.1km/L37.2km/L
アコードハイブリッド現行初期型19.7km/L30.0km/L
アテンザ(ディーゼル)現行初期型 MT14.6km/L(DPF稼働)22.4km/L

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カムリのハイブリッドのハイブリッドシステムの動き方は以下の通りである。他のトヨタの2モーターハイブリッドを搭載するモデルと同様だ。

・モーターでスタート

・エンジンが加わり、状況によってエンジンを駆動と発電に使う、モーターによるアシストが加わるなど車側がマネージメントする。

・減速の際にはモーターを発電機として使う回生制動でバッテリーに電気を貯める

もういつも通りというところなのだが、走行用モーターのパワーの大きいトヨタの2モーターハイブリッドは特に市街地だと非常にスムース。エアコンも駆動用バッテリーの電力を使う電動タイプなので、テストした日程度の気温であれば夏場でも停止中エンジンが掛かることもない。車内では快適に過ごせて、全体的に運転も非常に楽である。

ハイブリッドシステムに関しては、モータースタート後にエンジンの駆動が加わるのは時速20~30キロのタイミングが多いが、バッテリー残量が多いと時速40キロくらいまでエンジンが掛からないこともある。

またエンジンの熱効率向上、リチウムイオンバッテリーの採用に伴い減速エネルギーを電気に変える回生制動の効率も向上しているのか、新型カムリはモニターで見ていると常にバッテリー残量が多く、結果的にEV走行やモーターによるアシストが増えているように感じた。

ちなみにEVモードで走れるスピードは、他のトヨタのハイブリッドカーと同じ60km/hが上限だった。

レーダークルーズコントロールを市街地でも試してみた。市街地だと1番短い車間距離の設定でも、もう少し近い方がいいと感じた。一方、ブレーキのタイミングがほんの少し遅く「ちょっと攻め過ぎかも」という場面もあった。しかし加速は申し分なく、総合的に見れば満足できるものとなっている。

また、レーダークルーズコントロールは停止まで対応するタイプ。再スタート時の操作は要るものの、渋滞中に使用すると、監視と構えをしながら安心かつ楽に走ることが出来る。カムリにはレーダークルーズコントロールが全グレードに標準装備される。オーナーはその恩恵を強く感じるに違いない。

上記の通り、レーダークルーズコントロールで停止した際には、そのままブレーキホールド機能が作動してブレーキペダルを踏まずに停止を維持する。レーダークルーズコントロールを使わないドライバーでも、機能をオンにして停止しブレーキを踏み足せば、ブレーキホールド機能が作動し停止をキープできる点も高く評価できる。

なお現行カムリはTNGAコンセプトによりボンネットが低くなったおかげでノーズの長さも掴みやすく、小回りは効かないが、ボディサイズの割に取り回しは悪くない。

トヨタ 新型カムリ実燃費レポート|郊外路編

トヨタ新型カムリの郊外路での実燃費:23.3km/L

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郊外路での燃費は23.3km/Lを記録した。アコードハイブリッドやアテンザディーゼルも燃費は十二分にいいが、同クラスのカムリがこれだけの燃費を記録することには大変驚かされた。

トヨタ 新型カムリハイブリッド 郊外路実燃費
グレード等郊外路実燃費カタログ燃費
カムリG23.4km/L28.4km/L
プリウスS 2WD30.3km/L37.2km/L
アコードハイブリッド現行初期型20.8km/L30.0km/L
アテンザ(ディーゼル)現行初期型 MT20.0km/L22.4km/L

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郊外路で新型カムリに乗ると「格別強く印象に残った点はなかった」というのが率直な印象だ。

まずハンドリングは駆動用バッテリーという重量物が車の中央付近となるリアシート下に移動したのと、全幅が1840mmと広いことによる重心の低さやそれに伴う安定感、安心感の高さ、いい意味でのドッシリとした印象は強いが、特に「軽快である、シャープである」といった部分はなく、まとめると中庸というところだった。

その点は、カムリという車が特にスポーツ性の高さを目指しているわけではなく、むしろあまり細かいことを気にせずにアメリカの果てしなく続く直線をリラックスして流すような走行シーンが似合う車であることを考えれば、狙った車の性格通りに仕上がっていると言える。

テストに使った17インチタイヤを履くGグレードの乗り心地は、しなやかとか上質とまでは言えないものの、凹凸の少ない良い状態の路面では不快な突き上げもなく、及第点を与えられるレベルだった。

しかし凹凸が大きい荒れた路面になると不快なショックを感じ、路面の凹凸を追従・吸収し切れない、今一つの印象だった。

18インチタイヤを履くGレザーパッケージにも助手席なら乗った経験があるが、こちらはGグレード以上に硬さを感じ、足回りのバタつきも大きく、全体的に乗り心地はGグレードに見劣りする。カムリの性格を考えると、乗り心地はもう少し底上げして欲しいところだ。

グレードによる乗り心地の差や、カムリの性格も踏まえた上で新型カムリを購入するのであれば、Gグレードをお勧めしたい。

Gレザーパッケージは(もともと小さくない)最小回転半径が、さらに大きくなるというデメリットがあるので(X、Gグレード/5.7m、Gレザーパッケージ/5.9m)、Gグレードを選び、欲しい装備をオプションで加えるというのがベストチョイスだと思う。

なおカムリはノーマルモードに加えエコモードとスポーツモードも選べるので試してみた。

エコモードはアクセル操作に対するレスポンスが適度に鈍くなる、エアコンも適度に控えめになる、スポーツモードはアクセル操作に対するレスポンスがシャープになり、ハンドルも重めになり手応えも増す、という想像できる範囲の違いがあった。エコモードでも問題はないので、普段はエコモードを選ぶのがいいだろう。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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