トヨタ 新型プリウスの“実燃費”を先代プリウス・アクアと比較してみた(2/6)
- 筆者: 永田 恵一
基本的には、先代と同様のハイブリッドシステムを採用
ハイブリッドシステムに関しては熱効率(ガソリンをいかにエネルギーに変換できるかという指数)に優れるアトキンソンサイクルを採用した1.8リッター直4エンジン(最高出力98馬力・最大トルク14.5kgm)に走行用モーター(72馬力)と発電用モーターを組み合わせ、それぞれを走行条件に応じて最適にマネージメントする、2代目プリウス以降にトヨタが多くの車で展開している「THS-II」であることは変わらない。
しかし、バッテリーについてはFFの上級グレード「A」と燃費の追及を兼ねた廉価版グレードである「E」へエネルギー密度と充放電性能に優れる「リチウムイオンバッテリー」が採用されており、また標準かつ長期的な量販グレードとなる「S」もニッケル水素バッテリーであることは従来通りではあるが、小型軽量化された新設計のバッテリーを採用している。
(ただし、リチウムイオンバッテリーもニッケル水素バッテリーも同じ充放電をしているため、バッテリーの性能差による燃費の違いはなく、それであればリチウムイオンバッテリーのメリットとしてはサイズと重量くらいしか思い浮かばず、コストアップというデメリットは否めないことを考えると、ユーザーへのメリットとしては疑問が残るところではある)
加えてバッテリーの小型化により3代目プリウスまでラゲッジスペース下だったバッテリーの配置を、燃料タンクの前方というリアシート下に移動でき、ラゲッジスペースの拡大も実現している。
(スペースという面でもリチウムイオンバッテリーの小ささは生かされておらず、現行プリウスと同様にニッケル水素バッテリーとリチウムイオンバッテリーを1台の車でそれぞれをラインナップする先代プリウスをベースにしたステーションワゴンであるプリウスαのようにリチウムイオンバッテリーを使うモデルであれば7人乗りになるというならまだメリットを感じられるものの、それもないというのは性能と同様に疑問ではある)
さらに細かいところでは、エンジンの改良、モーターやモーターとエンジンをつなぐハイブリッドトランスアクスルの小型軽量化といった熟成も行われている。
燃費面では、もはやライバルとなるクルマは存在しない
ハイブリッドシステムの改良により、カタログに載るJC08モード燃費は最良値となるEグレードで日本一となる「40.8km/L」、FFの標準グレードのSグレードと上級グレードのAグレードでトヨタ アクアやスズキ アルトの37.0km/Lを上回る「37.2km/L」、車重が70~80kg増える4WDでも「34.0km/L」と、“ライバルとなるクルマはもはや存在しない”と思えるほどの低燃費を実現している。
(Eグレードの「40.8km/L」という燃費については、燃料タンクやウォッシャータンクの容量を減らすなどして、JC08モードを計測する重量区分の上限の1つである1310kgに車重を半ば強引に抑えマークした数値である上、メーカーオプションの装着で車重が1320kgに増えると、実燃費は別としてJC08モード燃費が39.0km/Lに落ちることに対してはいささか不健康さのようなものを感じてしまうのは事実であるが・・・)
今回の燃費テストでは、標準グレードのS(車両本体価格247万9,091円、Sグレードには8万6,400円のメーカーオプションとなるToyota Safety Sense Pなどの装着車、JC08モード燃費37.2km/L)を起用。テストは1月27日(水)の午前7時半頃開始し、午後3時半頃に帰京するというスケジュールで実施した。
テスト日の天候は晴天の中、最低気温は0度と非常に低かったものの、最高気温は3月中旬並みの13度程度まで上昇するコンディションで、交通状況は比較的スムースであった。
燃費測定の基本ルール
・燃費の測定は、車両に純正搭載されている車載燃費計を使用
・スピードは流れに乗ったごく一般的なペースで走行
・車両の状態もエアコンは快適に過ごせる温度(オートエアコンなら25度)に設定
・走行モードが選択できる場合にはノーマルモードを選んで走行
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