マツダ デザイン本部長 前田育男 インタビュー(1/3)

  • 筆者: 森口 将之
  • カメラマン:オートックワン編集部
マツダ デザイン本部長 前田育男 インタビュー
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日本ではあまり大きく取り沙汰されないカーデザインという分野。当然カーデザイナーも同じである。

日本は自動車先進国でありながら、現代の若者の自動車離れは加速度を増す一方だ。そこでオートックワンは、クルマの楽しみ方の一つに“デザイン”という、もう一つの分野が存在することを、多くの若者に認識してもらおうと考えた。

このクルマは誰が、どんなコンセプトのもと、どんな想いで、デザインを行ったのか。話題のクルマを監修したデザイナーに、オートックワンが一早くクローズアップ。一線で活躍するデザイナー達による、その造形に託した熱いメッセージを、インタビューで解き明かす企画、それが、DESIGNERS ROOMである。

マツダ・デザインの目指す道とは… マツダ デザイン本部長 前田育男氏にクローズアップ

Designers Room マツダ デザイン本部長 前田育男 インタビュー

マツダのデザインが変わってきた。

2010年に発表されたコンセプトカーの「シナリ(靭)」や、今年デビューしたCX-5を見れば、納得してもらえるだろう。それもそのはず、同社のデザイン本部長は、2009年に前任のローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏から、前田育男氏にスイッチしているのだ。しかも前田氏は就任後、従来の「NAGARE」に代わる新しいデザインテーマ「魂動(KODO)」を打ち出した。

その真意と、マツダ・デザインの目指す道について伺った。

必要なのは“生命感のある動き”そして研ぎ澄まされた存在であるべき…

Designers Room マツダ デザイン本部長 前田育男 インタビュー

オートックワン(以下AO):前田さんはデザイン本部長に就任するとともに、あたらしいデザインテーマとして「魂動」を掲げましたが、まずこの言葉に込めた意味について教えてください。

前田(以下M):「魂動」という2文字に、私の言いたいことを全部込めたつもりです。このテーマワードを決めるのに1年ぐらい掛かりました。やりたいことはいろいろあったんですけど、それをひとことで言うのってすごく難しくて。

まずは日本のブランドなので、日本語で行きたいと。それと匠のクリエイターとして、意志を感じるようなキーワードにしたかった。そこから「魂」という文字を使うことにしました。もう1文字の「動」は、マツダのDNAだと思っています。もともといろんな動きの表現をスタディしてきたつもりですので、その集大成として選びました。

KODOという言葉にも思い入れがありました。ハートを揺るがすという意味がありますから。そこに魂を込めたいという気持ちで、いっしょにならないかと考えているときに、「KO」を「魂」にしちゃおうかってなったんです。

今の日本のクルマは元気がないって言われますけれど、作者が自分の思いをどこまで真剣に込めているかに懸かってくると思うんです。最近は薄いですよね。こういう時期だからよけい、強い思いという部分にフォーカスしたかったんです。

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AO:それまでの「NAGARE」とは違うデザインを打ち出したかったと。

M:動きのフォルムにはいろんなパターンがあります。「NAGARE」は自然界の大きな流れをフィーチャーするというスタイルを取っていました。それもひとつの手法です。

我々は、1990年代、表面のリフレクションの動きの表現を一生懸命スタディした時期があって、それが我々の造形哲学の基本になっています。ですが、動きの究極の姿を描こうとすると、表面処理だけじゃダメで、骨格全体の強い動きを表現する必要があります。だから、NAGAREというテーマだけでも足らない。でも「NAGARE」を否定したわけではなく、進化させるという意味で、全部を包含して、もうひとつ上のメッセージにしたつもりです。

クルマは唯一「愛車」って呼ばれるじゃないですか。いろんなプロダクトがありますけど、「愛ケータイ」とか「愛冷蔵庫」って呼ばないですよね。それぐらい人間に近い存在なんです。だからこそ、そういう生命感のある動きを持たせてあげないと、本当の意味で人間に近い存在にならないんじゃないかと。それで自然界の生き物とかに注目したんです。

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AO:それ以前から前田さんが、マツダ・デザインで重視してきたことは何でしょうか。

M:なによりも、クルマらしくあることです。古典的と言われるかもしれませんが。クルマって誕生した時から、マシンとしての魅力を持っていました。どんなパワーソースを持ち、どんな形態になっても、我々はそこだけは失わないし、「マツダってこうだよね」って言われたい部分だと思っています。

最近はいろんなアプローチがあるじゃないですか。家電製品のような方向に持って行ったり、ケータイみたいにしようというアプローチだったり。おそらく工業製品の中で、自分が運転して100㎞/hレベルのスピードで動くものってクルマだけで、まかり間違えば凶器にもなってしまう。それだけの責任を持って創らないといけない代物だと考えています。だから研ぎ澄まされた存在であるべきなんです。動かないカタチをしていたり、平和すぎるカタチをしすぎているのって、問題かも知れません。

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森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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