水素社会の幕開けにホンダも「負けるもんか」!~ホンダが市販前提の燃料電池車「FCVコンセプト」発表~
- 筆者:
- カメラマン:オートックワン編集部・ホンダ レポート:オートックワン編集部
偶然にも!?トヨタの市販FCV発表1日前に・・・
水素と燃料電池自動車(FCV)の世界が、イッキに賑やかになってきた!
ホンダは11月17日、突如として新型燃料電池自動車のコンセプトカー「Honda FCV CONCEPT」を世界初公開。さらにHonda FCV CONCEPTをベースにした新型FCVを、2015年度中に日本で発売すると発表した。偶然にも!?今日はトヨタが新型燃料電池自動車「FCV」の正式車名を「MIRAI(ミライ)」と発表したばかり。しかもトヨタ MIRAIの発表会は明日11月18日なのだ。偶然なワケはない。1980年代から燃料電池車の研究・開発に取り組んできたホンダの、技術者集団としての「意地」と「プライド」がそこにはあった。
ホンダはFCV開発のリーディングカンパニー
ホンダの伊東 孝紳社長は、会見冒頭で「ホンダはFCV開発のリーディングカンパニーである」と宣言した。
2002年、日本と北米において世界で初めて燃料電池自動車「FCX」のリース販売をスタート。2008年には世界初の専用設計セダン「FCXクラリティ」をリース販売するなど、ホンダは早くからFCVを公道上へ積極的に送り込み、公的機関や個人ユーザーと手を組み検証をすすめてきた。またクルマ本体のみならず、燃料元となる水素ステーションやFCVからの外部給電機能についても独自開発し、実証実験を行っている。こうした長年における幅広い取り組みが、冒頭の伊東社長の発言につながっていく。
ホンダではこれらの取り組みを3つのコンセプト「つくる」(水素ステーション)「つかう」(燃料電池自動車)「つながる」(外部給電機能)と定義付け、水素社会の早期実現を目指すとした。
燃料電池スタックの小型化に成功
世界初公開となった新型燃料電池自動車のコンセプトカー「Honda FCV CONCEPT」は、専用設計のFCVセダン、FCXクラリティの後継モデルだ。新型では、FCVの要となる燃料電池スタック(水素と酸素を取り込み、化学反応によって電気を発生させる装置)の小型化を実現させた。従来車体中央の運転席・助手席間に収められていた燃料電池スタックを33%も小型化し、フロント部(ガソリンモデルでいうところのエンジンルーム内)にモーターなどのパワートレインと共に収めることに成功した。そのサイズはV6エンジン並みだという。
出力は100kW以上、出力密度は3.1kW/Lと、従来モデルFCXクラリティに比べ約60%の向上を図った。また水素燃料タンクも従来型の最高充填圧力35MPaに対し、70MPaの高圧水素タンクを新採用。3分程度の充填完了が可能となった。1充填で700km以上の走行が可能となる。現時点では航続可能距離に限界がある電気自動車に対し、FCVの大きなアドバンテージとなる。
700万円台で売られる「トヨタ ミライ」に負けない価格競争力を目指す
もちろんFCV CONCEPTでも、外部給電機能を用意する。会場には外部給電用インバータ「Power Exporter 9000 CONCEPT」が、FCV CONCEPTとともに展示されていた。本体の重量は60kg以下を想定。災害時などの非常用電源として活用出来るもので、100Vが6個、200Vが1個の出力端子を用意。最大9kWの大出力が可能となる。なおPower Exporter 9000 CONCEPTは、V2L(非常用給電:Vehicle to Load)のガイドラインに適用した規格とし、他車モデルとの互換性も確保している。
会見場には、水素ステーションの普及に国策として取り組む経済産業省や環境省の役人も来賓として登壇。FCV開発が官民一体での取り組みであることをアピールした。ホンダの伊東社長は、市販時の価格などについては現時点では話せないとしながらも、トヨタがFCV「ミライ」で販売価格700万円台を目指していることが大いに刺激になっているとし、ホンダの市販FCVも競争力のある価格としたいと語った。
水素と酸素を反応し発生した電気で動き、排出するのは水のみ!という究極のエコカーFCV。水素社会の実現に向け、日本の2大メーカーが今まさに動き始めている!
[レポート:オートックワン編集部]
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