ヘッドレストの意味って?実は外すと違反の安全装備だった!正しい位置の合わせ方も解説

ヘッドレストはただの枕?いえ、れっきとした安全装備です

ヘッドレストというと、車のシートの上についている枕のようなパーツのことです。しかしこのヘッドレスト、実は事故時に非常に重要な役割を果たしているというのはご存知でしょうか。

そこで今回は、ただの枕に見えて実は非常に重要なヘッドレストの役割を解説します。

Head rest(休める)ではなく、Head restraint(拘束する)の意味

ヘッドレストはhead restと記載されていることが多く、ただの枕と勘違いされることが多いようです。

が、本当の意味は「Head restraint」。このrestraintには「拘束する」という意味があり、事故の衝撃で頭部がゆすられるのを抑え、首や肩へのダメージを最小限にするという目的があります。

その重要性がアップ、法制化強化へ

ヘッドレストはもともと運転席にだけ装着されていればよかったのが、その重要さが広く認知され、平成24年に助手席にも装着義務が生じるようになりました。

現在ではもともとあるヘッドレストを外して運転すると「道路運送車両法の保安基準」に違反し、法的に罰せられる可能性があります。したがって、邪魔だとかカッコ悪いという理由で外してはいけません。

ヘッドレストは衝突された際の首のダメージを軽減するもの

衝突事故の中で一番多いのが追突、そこで役立つヘッドレスト

車の事故の中で一番多い形態は追突事故です。毎年何千件、何万件という交通事故が起きている中で、この追突事故の発生件数が断トツの1位になっています。

それだけ多い追突事故において、ヘッドレストは事故による死亡や重症化の確率を下げる役割を担っています。

これがあったお陰で首へのダメージが軽減され、結果的に助かったという事例が多く存在するのです。

追突時のダメージで起きやすい、むち打ち症

車両が追突された際に受けやすい怪我のひとつに、むち打ち症があります。

事故時の衝突で背もたれに後ろから衝撃を受けると、身体は衝撃を受けて前に進もうとしますが、反対に首から上は、慣性の法則でその場にとどまろうとします。この瞬間、首部分には非常に強いG(重力)がかかります。

例えば時速50km/hで衝突を受けた際、身体には3G(体重の3倍の重力)がかかります。人間が意識を保てる限界が9Gといわれているので、いかにその衝撃が大きいかが判るでしょう。

ヘッドレストで頭を支えることで首を守り、むち打ち症を軽減する

ヘッドレストは、このむち打ち症を防ぐために開発されました。これにより事故の際、身体と頭部が別々に動くことが少なくなるので、首部分へのダメージは大幅に軽減されます。JAFの公開している映像を見ると、事故時の衝撃でいかに首に負担がかかっているかがおわかりいただけると思います。

【実験映像】ヘッドレストの高さが低いとこうなる

むち打ち症は神経系へのダメージも懸念される危険な怪我

むち打ち症は、衝撃を受けた瞬間はもちろんですが、最初の診断で異常なしと見られ、後になって症状が出はじめて気づくケースもあります。事故当初は痛みがなかったのに、2~3日すると頭痛がしだしたり、首が曲がらない・動かそうとすると痛い等と様々な症状がでます。酷い時では倦怠感やしびれ、めまいが継続して続くこともあります。

最悪の場合、頚椎などの骨や脊髄などの神経に被害が及ぶ場合もあります。障害が残るリスクも有るので、後日症状を感じた際は直ぐに再検査をする必要があります。

後席の人が跳ね飛ばされて後頭部に激突するリスクも、ヘッドレストで最小化

衝突事故の際、むち打ちと同等かそれ以上に怖いのが、後部座席に乗っていた人が前方に投げ出され、前席の人の後頭部に向かって頭から飛んでいくケースです。ヘッドレストや後席用シートベルトが当たり前に普及する前には、このような事故が実際に起っていました。事故の衝撃を考えれば当然なのですが、この衝突により即死したケースも多数あります。

ヘッドレストやシートベルトの普及により、このようなケースでの致死性も大きく減少しています。

ヘッドレストを勝手に外すと違反になる?

ヘッドレストの重要性がご理解いただけたところで、次は罰則について解説します。

結論からいうと、ヘッドレストを外したままにすると「道路運送車両の穂南基準第22条4」に違反する可能性があります。警察官に発見されると罰せられる可能性が高いうえ、外した状態では車検にも通りません。

もちろん事故時には被害が甚大化する可能性があるので、その重要性をきちんと認識し、間違っても外したまま公道を走ることのないようにしましょう。

ヘッドレストモニターもダメ!強度不足により車検でNGに

最近人気のヘッドレストモニターがあるのはご存知でしょうか?ヘッドレストにモニターが埋め込まれていて、後席の人もテレビや映画を見やすくなるものです。

実際はオシャレや車のカスタマイズで取り付ける方が多いのですが、実はこのヘッドレストモニター、ヘッドレスト本体の強度が落ちてしまうため、車検などでNGとなる可能性があります。実際に事故の際、ディスプレイなどに後部座席の人の頭が当たって怪我をするという事例も出ています。

フリップダウンモニターや吊り下げ式タブレットは大丈夫?

ただし、埋め込み式以外のモニターはヘッドレストの強度と一切関係がないので容認されています。

天井に着いているタイプや吊り下げ式のモニター、シートの背もたれに吊り下げるタイプのはタブレットなどは違反にはなりません。

とにかく、事故をしたときの状況を考えた時に危険か危険ではないかというのが1つの条件となるでしょう。

ヘッドレストの正しい位置の合わせ方

後頭部の一番出っ張ったところにヘッドレストの中心が来るように

ヘッドレスト全体の正しい位置の合わせ方について確認していきましょう。

まずはヘッドレストの高さですが、自分の後頭部の中心とヘッドレストの中心が同じ高さになるように調整していきましょう。また前後については、より頭とヘッドレストの位置が近いほうがいいのでヘッドレストが前に傾くように調整をしましょう。

普通に座ってヘッドレストが頭につく角度に調整するのが良いでしょう。

ヘッドレストが進化!アクティブヘッドレストって何?

事故の衝撃を検知して動くヘッドレスト

最近の車には、アクティブヘッドレストと言われる機能が搭載された車種が多くあります。この装備はテコの原理を利用しており、事故の衝撃を感知すると自動でヘッドレストが前方に傾いて頭に近づき、より頭に近い位置で保護するものです。

この仕組みにより、一般的なヘッドレストよりも大幅に首への負担をやわらげることができます。主にトヨタや日産の普通車で高級グレードや高級車種についている機能です。

アクティブヘッドレスト搭載車でもきちんと位置を合わせておく

アクティブヘッドレスト搭載車とはいえ、普段から位置を適切に合わせておかないとその効力を十分に発揮できません。アクティブヘッドレストだから大丈夫というのではなく、普段から適切な位置にヘッドレストがくるように調整しておきましょう。

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樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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