ダイハツ 新型ロッキー/トヨタ 新型ライズ 新型車解説│注目の5ナンバーサイズSUVが遂に登場!
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:古閑 章郎・ダイハツ工業・トヨタ自動車
ダイハツのDNGAプラットフォームを採用する第二弾モデル、新型ロッキーが遂に発表された。先行して東京モーターショー2019で初公開されていたが、その時はまだロッキーという車名は明かされておらず、ロッキーのトヨタ版であるライズの情報も明かされていなかった。そんな高い注目度を誇る5ナンバーサイズのSUVを自動車評論家の渡辺陽一郎氏が徹底解説する!
ユーザーニーズに応える、5ナンバーサイズのSUV
今はSUVの人気が高い。小型/普通車の約20%を占めるが、大半の車種は3ナンバー車だ。ホンダ ヴェゼルやトヨタ C-HRなど、全長は4400mm以下だが、全幅は1700mmを超えて3ナンバー車になる。
そして小型/普通車の販売ランキングを見ると、上位には日産 ノート、トヨタ シエンタやアクアが入り、これらは5ナンバー車だ。「5ナンバーサイズのSUVが欲しい」と考えているユーザーも少なくないだろう。
この願いをかなえる新型車が、2019年11月5日に発売された。ダイハツ ロッキー&トヨタ ライズだ。ロッキー&ライズはダイハツが開発したコンパクトなSUVで、軽自動車のタントと同様、DNGAと呼ばれる新しいプラットフォームを採用する。
ロッキー&ライズのエンジンは直列3気筒1リッターターボ一種類。駆動方式は前輪駆動の2WDと4WDを選べる。開発と生産はダイハツが行うので、ライズはトヨタに供給されるOEM車に位置付けられる。
ロッキーとライズ、姉妹車ながらフロントマスクの違いは歴然
外観を見ると、ロッキー&ライズは両車とも基本部分を共通化した姉妹車だが、フロントマスクは意外に異なる。エンブレムだけを貼り替えた姉妹車ではない。
特にトヨタ ライズは、フロントマスクの雰囲気が同じトヨタのRAV4に少し似ている。最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は185mmの余裕を持たせ、 悪路のデコボコも乗り越えやすい。
またSUVの定番装備となるホイールアーチやボディ下まわりの樹脂パーツも装着され(ロッキーはオーバーフェンダーガーニッシュ/ライズはホイールアーチモールディングと表記)、この樹脂部分の見せ方もちょうど良い。
小回り性能が優れ、混雑した街中や駐車場でも運転しやすい
ダイハツ ロッキー/トヨタ ライズのボディサイズは、全長が3995mmと4mを下まわり、全幅は1695mmだ。フェンダーを適度に張り出させるなど、SUVの迫力を持たせながら5ナンバーサイズに収めた。全高は1620mmだから、ホンダ ヴェゼルやスズキ エスクードと同等だ。
ボディ側面の形状は、サイドウインドウが3分割される「6ライト」のタイプで、これもSUVに多く見られる。ボディ同色のリヤピラー(柱)が配置され、その後部にサイドウインドウを設けることで外観を引き締めた。先代(初代)スズキ SX4も、後部のサイドウインドウに似通ったデザインを採用していた。荷室の両側にサイドウインドウを備えたことで、斜め後方の視界も少し向上している。
ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2525mmで、日産 ジュークと同等だ。コンパクトSUVらしく短く抑えたから、最小回転半径も16インチタイヤ装着車が4.9m、17インチが5.0mに収まる(2WDと4WDは同数値)。視界と小回り性能が優れ、混雑した街中や駐車場でも運転しやすい。
SUVのメリットである使い勝手の良さが際立つ
インパネなど内装のデザインは、コンパクトなSUVとして満足できる仕上がりだ。エアコンのスイッチは比較的高い位置に装着されて操作性が良い。左端の空調ダイヤルにも手が届きやすい。
ATレバーは前後方向に真っ直ぐ動かすタイプで、形状は平凡だが、操作感覚は馴染みやすい。ミスが生じにくい形状でもあるだろう。
シートのサイズには余裕があり、座り心地はおおむね良好だ。全高が1600mmを超えるので、立体駐車場の利用性は悪化するが、頭上に十分な空間があって居住性に不満はない。ピラーやウインドウの角度を立てたから、圧迫感も生じない。
着座位置が適度で(前席の座面地上高は665mm)、乗降時の腰の移動量も少ないから、乗り降りしやすい。こういった使い勝手の良さもSUVのメリットだ。
後席の膝先空間は、身長170cmの大人4名が乗車して握りコブシ1つ半になる。ホンダ ヴェゼルの握りコブシ2つ半に比べると狭いが、後席に座る乗員の足が前席の下側に収まりやすい。着座位置も適度で腰が落ち込まないから、あまり窮屈な印象はない。前後席に座る乗員同士の間隔は900mmを確保した。
荷室長は後席を使った状態で755mm、荷室幅は1000mmだから、全長が4mを下まわる割に積載性には余裕がある。
欠点が改良された直列3気筒1リッターターボエンジン
エンジンは直列3気筒1リッターターボで、最高出力は98馬力(6000回転)、最大トルクは14.3kg-m(2400~4000回転)となる。性能的には1.5リッターのノーマルエンジンと同程度だ。
このエンジンはダイハツ トール/トヨタ ルーミー&タンク/スバル ジャスティと同じタイプだが、2000回転前後のノイズを低減させるなど、トール4姉妹車のターボで感じた欠点は改善されているようだ。
4WDはダイナミックトルクコントロール4WDと呼ばれ、電子制御で多板クラッチを制御することにより、前後輪に駆動力を配分する。主たる駆動輪は前輪だが、後輪に最大50%の駆動力を割り当てられる。前後/左右輪の回転差、ワイパーの作動状態などを含めて、前後輪の駆動力配分を調節する。ホイールが空転を生じた時には、そこにブレーキを作動させて駆動力の伝達効率を確保する。
軽自動車のダイハツ キャストアクティバが採用する4WDには、滑りやすい下り斜面を安定して走行できるダウンヒルアシストコントロールなどが採用される。この機能はロッキー&ライズには用意されず、採用は今後の課題だろう。
プラットフォームは前述のようにDNGAの考え方に基づくが、タントの拡幅版ではない。DNGAには、軽自動車用/全幅が1695mm以下の5ナンバー車用/全幅が1750mm以下の3ナンバー車用という3種類が用意され、ロッキー&ライズは中間の5ナンバー車用を使う。
進化した安全装備
装備は安全面が注目される。センサーには2個のカメラと4個のコーナーセンサーを備え、歩行者と車両を検知して緊急自動ブレーキを作動させる。自転車は対象外だ。
また後方の並走車両を知らせるブラインドスポットモニター、後退しながら車庫から出る時などに接近する車両を検知して警報するリヤクロストラフィックアラートなども用意した。
運転支援機能では、車間距離を自動車調節できる全車速追従型クルーズコントロール、車線の中央を走れるようにパワーステアリングを制御する機能も備わる。パーキングブレーキは電動ではなくレバー式だから、追従停車した後、ドライバーがブレーキを踏まないとクリーピングで再発進する。注意が必要だ。
ボディカラーは両車とも8色が用意され、2トーンカラーも3パターンを選べる。ロッキーの専用色にはコンパーノレッド、ライズにはターコイズブルーマイカを設定した。
グレードはロッキー、ライズとも4種類がある。すべてのグレードで、2WDと4WDを選ぶことが可能だ。余裕のある最低地上高など、車両の性格と機能を考えると4WDが合っている。
ロッキー&ライズ、気になる買い得グレードは!?
ロッキーの推奨グレードは、G(222万4200円/4WD)になる。実用的にはX(208万6700円/4WD)でも良いが、全車速追従型クルーズコントロール、LEDフォグランプなどは装着されない。Gを選び、ブラインドスポットモニターとリヤクロストラフィックアラートのセットオプション(6万6000円)を装着する。
ライズはZ(228万2200円/4WD)であれば、全車速追従型クルーズコントロールなどが備わる。これにブラインドスポットモニターとリヤクロストラフィックアラートのセットオプション(6万6000円)を加えると良い。
ロッキーGとライズZの機能と装備をヴェゼルに当てはめると、1.5リッターのノーマルエンジンを搭載するXホンダセンシング(242万5093円/4WD)に近い。ロッキー&ライズは、ボディがコンパクトでシートアレンジも単純な代わりに、価格も20万円ほど安いわけだ。
新型コンパクトSUVのダイハツ ロッキー&トヨタ ライズは、際立って買い得というわけではない。しかし機能が充実しており、5ナンバーサイズのSUVが欲しいユーザーには貴重な選択肢となっている。
[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:古閑 章郎・ダイハツ工業・トヨタ自動車]
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