ボルボ 新型S60海外試乗|セダン好きの琴線に触れる1台が誕生!(4/4)
- 筆者: 嶋田 智之
- カメラマン:ボルボ
美しいスポーツ・セダンの上陸は2019年の秋辺り
そしてもう1台のT6 AWD Rデザイン。こちらはお馴染みの2リッター直4ターボ+スーパーチャージャーを搭載している。また車高が20mmほど低くなりサスペンションがやや引き締まったセッティングになるなど、他のモデルのRデザインと同じくスポーツシャシーが与えられている。
エンジンのパワーは320ps、トルクは400Nmと他のT6と横並びではあるけれど、このエンジンが5700回転までまっすぐにパワーを伸ばしていくことと2000回転辺りから5500回転辺りまでずっと400Nmのトルクを発揮し続けることで、充分なパフォーマンスを提供してくれるのはよく知られているところ。確かにポールスターには遅れをとるものの、その加速力もスピードの伸びも、一般的な尺度からいうなら結構なもの。速さに不満を覚えるような人は、そうはいないだろう。それに低回転域からのトルク感と高回転に向かって次第に膨らんでいくパワー感の連携のよさ。モーターの助けがない分だけ実質的な速度では劣るけど、逆にその分だけ全域に渡る自然なフィールがあって、それが気持ちよさに繋がっている。
またモーターやバッテリーの重さがない分だけ、クルマの動きも軽やかだ。さすがにライトウエイト・スポーツカーのようなヒラヒラ感を期待するには無理があるけれど、ハンドリングは車体の大きさからすれば軽快というべきレベル。ステアリングを切り込んだ分だけ正確に曲がってくれる素直さもある。エンジンもシャシーも、どちらが爽快かといえば、間違いなくこちらのT6 AWD Rデザインだろう。また乗り味はポールスターよりしなやかでフラットな印象だから、日常的な快適さを望む向きには、こちらのモデルの方がマッチングがいいとも思う。
──といった具合に、ポールスター エンジニアードもT6 AWD Rデザインも、スポーツセダンとしての矜恃をしっかりと持ったモデルである。それに加えて僕が個人的に気に入ったのは、見た目に過剰なところがなく、テイストとしても幼稚なところの見当たらない、大人のためのスポーツ・セダンとして仕上げられていることだ。その辺りの絶妙なさじ加減は、このSUV全盛の時代にあえてセダンを選びたい男(と女)にとって、かなりポイントが高いんじゃないだろうか?
このスッキリと美しいスポーツセダンが日本へ上陸してくるのは、おそらく2019年の秋辺り。わが国ではドイツ車以外の最良の選択肢とまでいわれるようになったボルボからの刺客が、ドイツ御三家のプレミアムセダンばかりを見てる人達にどんなインパクトを与えるのか、楽しみである。
[筆者:嶋田 智之/撮影:ボルボ]
ボルボ 新型S60関連記事
■ボルボのワークス直系コンプリートカー「S60/V60 ポールスター」が記念すべき2017年に有終の美を飾る
■最新パワートレインに生まれ変わった新型「ボルボ S60 ポールスター」[「Drive-E」2.0ターボ・367ps] 試乗レポート
■ボルボ V60を全面改良|正面衝突対策の新機能や2種類のPHEVを設定
この記事にコメントする