ボルボ 新型S60海外試乗|セダン好きの琴線に触れる1台が誕生!(2/4)
- 筆者: 嶋田 智之
- カメラマン:ボルボ
走ることが楽しい”スポーツセダン”な仕上がり
スタイリングを見ても、そのことをそこはかとなく感じることができると思う。Bピラーから前はV60とほぼ共通で、そこから後ろをセダンとしてデザインしているわけだが、パッと見からしてシンプルでクリーンで若々しい。姉にあたるS90の伸びやかで堂々とした肢体も美しいけれど、S60のプロポーションもなかなかのもの。全長は約20cm短いのに幅はたった約3cmほど狭くなっただけで、なのに寸詰まり感など全くない綺麗なバランスを見せている。S90の元々シンプルだった線の類をさらに整理してすっきりさせたことと合わせて、逆にダイナミズムを得たかのような印象だ。
インテリアはXC60やV60の、いわゆる“60系”の意匠そのもので、そういう意味では新鮮味はないけれど、穏やかな水平基調を描くダッシュボード上半分とスクリーンやエアコン吹き出し口などの“機能”を取り囲むようなラインをあしらった動きのある下半分のバランスは、スカンジナビアン・デザイン特有の整然さと優しさが感じ取れるもの。加えて素材そのものや異なる素材の巧みな組み合わせ方などで上質感を演出したその雰囲気は、やっぱり魅力的だ。
そうした目で観ることのできる部分だけでも充分に心惹かれるのだけど、そこは“スポーツセダン”だ。走らせてみると、その好感度はさらに高くなる。用意されていた試乗車がラインナップの中で最もスポーティな仕様である“T8ポールスター エンジニアード”と、おそらくボルボがメイン・グレードとして考えているであろう“T6 AWD Rデザイン”だったのは、そこを味わえというメッセージだったのだろう。
T8ポールスター エンジニアードは、元はボルボのモータースポーツ部門と技術開発部門を兼ね、現在ではエレクトリック・パフォーマンス部門へと立ち位置を変えたポールスターが開発を担った特別仕立て、である。ボルボの上級モデルに積まれるT8ツインエンジンこと2リッター直4ターボ+スーパーチャージャー+プラグインハイブリッドをベースに、主として電気周りにチューナップを加えることで、パワーユニットをシステム全体で421psと670Nmまで引き上げている。また、オーリンズ製のアジャスタブルダンパーやブレンボ製のモノブロックキャリパーなどでフットワーク系も強化している。
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