運転初心者が時速150キロからフルブレーキ! 太田哲也校長のドライビングレッスンをサーキットで体験(2/3)
- 筆者: 磯田 薫
- カメラマン:小林 岳夫
ベストな走行ラインを現場で徹底確認
まず私が体験したのは、太田校長の先導する教習車について行くことでコースのライン取りを覚えるという先導車付きの走行です。複数台の隊列走行で1周した後、先導車の次の車が最後尾に移動し、これを繰り返していきます。
しかし、先導車と離れすぎないように注意を受けていたにも関わらず、早速離れすぎてしまう私。「追突するんじゃないか」という恐怖が離れなかったことから、最初の周回では近づくことさえやっとでした。
さらに、先導車から微妙に外れたラインを走ってしまう、という失態も何回か犯してしまいます。先導車と違うラインを走ると、後続の車が違うラインを覚えてしまうので本来やってはいけないのですが、全く同じラインをトレースするということは、思った以上に難しいと感じます。“真似っ子”さえ難しい状況で、本番ではちゃんと走れるのでしょうか……。
フリー走行と同乗走行を体験! プロと素人の走りの差とは
そして、自由な走行が許されるフリー走行がいよいよ始まります。緊張もあるせいか、出走直後はアクセルを全開にすることさえ、出来ているようで全く出来ていない状態に。この原稿を書きながら思い返すと単純に「思い切りの問題」かとも思いますが、そもそも1回もやったことのないことというものは、出来ないし、分かりません。
数周して多少慣れてきた頃に、ついにアクセルを全開にすることに成功。そして、ポロGTIのアクセルの奥に「コツン」と当たるボタンのような感触があることが認識できました。この仕様に関して知識として知ってはいたものの、体感したのはこれが初めてです。「これか」と新鮮な気持ちになりました。「知る」と「体験する」は、全く違うものだと、改めて感じます。
その後、太田校長との同乗走行も体験させていただきました。自分の運転より数倍強いGが身体にかかりますが、教習車であるフォルクスワーゲン ゴルフ GTIはパーフェクトな走行ラインを通過し続けます。絶対にコースアウトすることはない、という不思議な安心感さえ持ちました。
また、走行中も太田校長の解説は絶え間なく続けられられるため、ライン取りのイメージを分かりやすく掴むことができます。
参加者の声をご紹介
ここで、貴重な休憩の合間に感想を語ってくださった参加者の声をご紹介します。千葉市にお住まいのKさんは、ランサーエボリューション9で参加されました。10年以上通勤等で利用されているそうですが、しっかりとメンテナンスされていて、傷一つないきれいなボディが印象的です。
このイベントには初参加というKさん。走ってみた最初の感想は「ブレーキングのタイミングがわからない」ということでした。しかし、同乗走行を通じて「太田校長のブレーキのタイミングは自分よりかなり早めで、コーナー出口でアクセルを入れるタイミングも早かった。自分のこれまでの運転とかなり違いがあり、参考になった」と、コメント。袖ヶ浦フォレストレースウェイのライセンスも取得したい、と今後の練習にも意欲的な様子でした。
太田校長にもインタビュー! 一般道で活かせるテクニックとは
さらに、お忙しい太田校長にもインタビューの時間を設けていただきました。
太田校長によれば、この走行会イベントが始まったきっかけは40歳以上の社会人レースクラブ「太田哲也とオヤジレーサーズ」(正式名称:TEZZO RACERS CLUB)を主催したことだそうです。この活動のコンセプトは「普通の社会人がレースに出る」だったそうですが、この活動を昇華させ、レースに興味のない方でも参加できるようにすることで、社会全体の事故を減らせるのではないか、という考えから今の形式に変化したといいます。
また、太田校長はこういったイベントを通じて「意識して走る癖をつけて欲しい」と語りました。
「安全運転とは『速度を出さないこと』と勘違いされていることも多いが、実はそうではない」と指摘します。「普段、普通の人は目だけの情報で運転しているが、サーキットでは、加速時やコーナーで身体に受けるGやハンドルの反応など、視覚以外の様々な情報が得られる。これを1回体験すると、雪道のような滑りやすい路面で『これ以上速度を出すと滑り出しそうだな』という予兆を感じ取ることができる」と、限界に近い環境をサーキットで体験することの重要性を解説しました。
さらに「事故のほとんどはヒューマンエラー。そしてその原因は漫然とした運転が多い。普段からボーっとせずに運転することが大切だが、サーキットでは、旗の確認からアクセル操作、ライン取りもしないといけないのでボーっと走ることができない。考える癖をつけることができる」と語っています。
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