ミニバンマイスターが新型ノア&ヴォクシーに乗って感じたのは「揺れの少なさ!」 大進化を遂げた新型モデルの走り心地とは

  • 筆者: 青山 尚暉
  • カメラマン:茂呂 幸正/MOTA編集部
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前回はトヨタ 新型ノア&ヴォクシーの進化した機能について触れてきた。これまで多くのミニバンに試乗してきた「ミニバンマイスター」、ジャーナリストの青山尚暉さんが実走行で感じたポイントについて紹介したい。

目次[開く][閉じる]
  1. 1列目シートはかけ心地がさらに高まったが、エンジンメインでの走行では騒がしさが目立つ
  2. 一般道で使用できる先進運転支援はドライバーの疲労軽減に効果的だ
  3. ガソリンエンジンモデルも先代比では格段に乗り心地が向上している

1列目シートはかけ心地がさらに高まったが、エンジンメインでの走行では騒がしさが目立つ

さて、新型ノア&ヴォクシーに乗り込めば、まずは極細Aピラーと大型三角窓による前方、斜め前方視界の良さに驚かされる。前席のシートのかけ心地もさらに良くなり、ゆったりとしたかけ心地が味わえる。

具体的には、シートクッション長、幅は先代同等ながら、シートバックの高さが実測比較で約40mm高まったことで、背中を包み込むような心地よいホールド感、快適感が得られるのである。

ノア&ヴォクシーとして初の17インチタイヤを履くノアのハイブリッドモデル、S-Z(2WD)で走り出せば、先代が1.8リッターエンジン+微弱なモーターアシストによるもっさりとした加速感だったのに対して、新型はスムーズで静かかつ、トルキーな加速力を披露する。

それもそのはず、モーター16%、バッテリー15%の出力アップが効いているのである。ノア&ヴォクシーは高速走行より一般道の走行性能に主眼が置かれている車種と言っていいのだが、街中ではまったくもって余裕の動力性能を示してくれるというわけだ。

乗り心地に関しても先代を凌駕する。

先代ハイブリットモデル(2017年のMC以降)も、トヨタの中級サルーン並みの快適感ある乗り心地を示してくれたものだが、それは良路に限っての話。古すぎる!? プラットフォームが災いしてか、段差や粒の荒い舗装路面、ゼブラゾーンのような路面の通過では、けっこうな音、振動、ショックに見舞われた。

が、この新型は、少なくとも1列席に限っては、段差をしなやかにいなし、ゼブラゾーンも不快感なく走破する、フラット感たっぷりの乗り心地を披露してくれるのである。フロントストラットはともかく、リアサスペンションはコスト的にトーションビームのままにもかかわらず、そうした進化が見て取れるのは、もちろんTNGA、GA-Cプラットフォームの恩恵だろう。

ただし、モーター主体のシーンでは素晴らしく静かで滑らかに走ってくれるのだが、1.8リッターエンジンが主体になると、とたんに騒々しくなるのも事実。このあたりは、もう少しエンジン本体の静粛性と、遮音、吸音にこだわってほしいと思わせる。

一般道で使用できる先進運転支援はドライバーの疲労軽減に効果的だ

今回は市街地と首都高速のみの試乗だったのだが、操縦感覚はパワーステアリングが車速にかかわらず軽く扱いやすく、首都高のカーブもごく自然に曲がれ、その際のロール感は最小限。

1900mm前後の車高、重心の高さなどまったく感じさせない走行感覚を見せつけるから、あらゆる走行シーンにおいて、走りやすく安心・安全だ。これなら山道を気持ち良く飛ばすことも容易と思える。

同時に感動したのが、トヨタセーフティセンスに含まれる、先代モデルにはあろうはずもないプロアクティブドライビングアシスト(PDA)の制御だった。

前回説明したように、歩行者の横断などを先読みした運転を支援(具体的には減速と操舵支援)してくれるとともに、日常的に頻繁に遭遇する先行車との距離を適切に保ち、カーブ前で行ってくれる減速制御である。

筆者はACCを一般道でもこっそり使い、全車との距離を一定に保つことでプレ自動ブレーキとして重宝しているのだが、さすがに自動車メーカーとしてはACC=自動車専用道路専用としているだけに、従来、一般道ではその機能を”公”には使えなかったのである。

それをレーダークルーズコントロール=ACCの作動なしで、ある意味、前車追従を行い(車間距離を保てるという意味)、ほとんどのACCに備わらないカーブの手前減速制御、そしてより安心してカーブを曲がれるようにオフセットしたラインを通過させてくれるのだから、先進にして極めて安心・安全な走行、ドライブが可能になるのである。

ガソリンエンジンモデルも先代比では格段に乗り心地が向上している

2.0リッターダイナミックフォースエンジンと8速ダイナミックシフトCVTを組み合わせた、16インチタイヤを履くヴォクシーのS-Gグレードにも試乗した。

出足、合流といった場面での動力性能という意味では、モータートルクを生かした速さが中速域まで発揮されるハイブリッドモデルにやや遅れをとるものの、高速走行でグィーンと加速するシーンにおいては(高回転域のエンジンノイズは盛大だが)、さすがに2.0リッターの排気量、ハイブリッドモデルの1.8リッターエンジンの98馬力に対して170馬力ものパワーを誇るガソリン車のほうが速い。

乗り心地に関しては、車重で30kg増となるハイブリッドのほうがよりしっとり重厚、心地よく感じられたのも本当だ(それでもガソリン車同士の比較では、新型のほうが乗り心地は絶対的に向上している)。

街乗りメインの使い方をするならハイブリッドがオススメ!

ざっくり言えば、先代に対して走行性能の進化幅が圧倒的に大きいのはハイブリッドモデルということになりそうだ。

この世界的な電動車時代だから、長く乗る前提なら同グレード比35万円高の電動車のハイブリッドにそそられる人も多いはずで、街なか中心の乗り方、使い方ならもちろん、ハイブリッドを推奨する。

AC100V/1500Wコンセントも用意されるから、アウトドアでの電源供給や、災害時の給電が可能になる大きなメリットもある。が、高速走行の機会が多いなら、そのシーンにおいてはハイブリッド車との燃費差が縮まり、よりパワフルに走れるガソリン車の選択も悪くないかもしれない。

8年後もそれほど古さを感じずに乗り続けられるかもしれない

いずれにしても、あらゆる点で先代との違い、進化の度合いが大きすぎる新型だ。先代モデルの初期型ユーザーが買い替えるとしたら、3世代先の新型!? 先代モデルの後期型ユーザーであれば2世代先の新型!? であるかのような商品性を手に入れることができる。

特に先進運転支援機能に関しては、繰り返すけれど、現時点でのトヨタ最先端の技術がてんこ盛りなのである。このあたりはライバル驚愕!! の内容と言うしかないだろう。先進機能の一部自動アップデート(DCM=専用通信機による)も可能だから、もし次期型が8年先に登場するとしても、それまで古さを感じずに乗り続けていられるかもしれない。実用車としては、これはすごいことである。

なお、今回の新型ノア&ヴォクシーの試乗記は、運転席(1列目席)での印象のみをお伝えした。ミニバンの用途としては欠かせない2/3列目席のインプレッションについては、別稿にてお届けしたい。

【筆者:青山 尚暉】

トヨタ/ヴォクシー
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新車価格:
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青山 尚暉
筆者青山 尚暉

学生時代はプロミュージシャン、その後自動車専門誌2誌の編集を経てフリーのモータージャーナリストに。現在は自動車業界だけでなく、愛犬のラブラドールとジャックラッセルとともに、愛犬との快適で安全なクルマ旅を提案するドッグライフプロデューサーとしても活動中。また、クルマのパッケージを寸法で比較するため、独自の計測ツールを開発。1台につき25項目以上を詳密計測。実用性の目安として、記事中で展開している。現在、自動車用純正ペット用アクセサリーの企画、開発も行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。記事一覧を見る

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