【試乗】トヨタ 新型 ヴィッツ[2014年4月マイナーチェンジ] 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
なぜかパッソの新エンジンが搭載されなかった「ヴィッツ 1.0 Jewela "SMART STOP パッケージ"」
次は直列3気筒の「1KR-FE」型1.0リッターエンジンを搭載する「ヴィッツ Jewela(ジュエラ) "スマートストップパッケージ"」(144万5237円)を試乗。このエンジンも改善を受けたが、その内容は同時期に登場した新型「トヨタ パッソ」に比べて中途半端だ。「大量クールドEGR」などの低燃費技術は採用されず、圧縮比もパッソの11.5に比べて11.0に下がる。ちなみにヴィッツの1.3リッターエンジンは13.5だから、効率で差が生じた。
その結果、JC08モード燃費も1.0リッターのスマートストップパッケージ(アイドリングストップ装着車)が24km/L。1.3リッター(アイドリングストップは標準装着)の25km/Lよりも悪くなる「逆転現象」を生じた。
ヴィッツに新開発1.0リッターエンジンが搭載されないホントの理由
なぜ新型ヴィッツには、新型パッソの高熱効率・低燃費1.0リッターエンジンを搭載しないのか。
開発者に尋ねると、「ヴィッツとパッソではプラットフォームとCVTが異なる。パッソと同じ仕様の新型1.0リッターエンジンをヴィッツに搭載するには、大幅な変更を要するため」という返答であった。トヨタとしては、ヴィッツの25km/Lがフィット1.3G・Fパッケージの24.6km/Lに勝り、パッソの27.6km/Lがミラージュの27.2km/Lを上まわれば、「ライバル対策は十分」なのだろう。
とはいえユーザーサイドで考えると、納得しかねる面もある。複数のエンジンが設定されている以上、双方のメリットをしっかり持たせて欲しい。1.0リッターは動力性能が下がる半面、燃費が優れていないと選びにくくなる。
ちなみにヴィッツのエンジンの販売比率は、1.3リッターが50%少々、1.0リッターも30%少々を占めるという。となれば1.0リッターも大切にすべきだ。
1.3リッターモデルと比較すると、動力性能の差は小さくない
といった経緯のある新型ヴィッツ、1.0リッターエンジンの動力性能だが、「マイナス300cc」の差は小さくない。平坦路ではさほど不満はないが、登坂路に差し掛かると動力性能の不足を感じる。基本的にはクセのない実用型のエンジンだが、970kgのボディに組み合わせると力不足だ。直列3気筒なので、4気筒の1.3リッターに比べると、ノイズもエンジン負荷の増加と相まって高まりやすい。
乗り心地も1.3リッターと同様に硬めだ。指定空気圧も前輪が250kPa、後輪が240kPaで不利に働いた。
いっぽう走行安定性は1.3リッターと同様に満足できる。タイヤのグリップ性能は「165」サイズになる分だけ少し低下するが、ボディの前側も30kgほど軽く、さほど不満はない。
新型ヴィッツ「4気筒 1.3リッター」 vs「3気筒 1.0リッター」、果たしてどちらが「買い得」なのか!?
となれば走行距離が短いユーザーは『燃料代の差も付きにくく、価格の安い1.0リッターエンジンを選んでも良いだろう』と考えがちだが、実際はそうではない。
「ヴィッツ 1.0F スマートストップパッケージ」は、アイドリングストップを標準装着した1.3Fに比べて7万7563円安いが、後席の6:4分割可倒機能が省かれて一体式になり、前述のようにタイヤも細い。となれば実質的な価格差は5万5000円くらいだ。
さらに1.3Fはエコカー減税が免税。1.0F スマートストップパッケージは、自動車取得税が80%で、同重量税は75%の減税にとどまる。購入の翌年度に納める自動車税にも差が付くため、実質的に3万8000円程度の差額になる。
3万8000円を加えるだけで排気量が300cc増量され、1気筒増え、動力性能と燃費が両方とも向上するのであれば、その後の自動車税に年額5000円の差が生じることを考えても、1.3Fが断然買い得だ。1.0リッターエンジン搭載車を選ぶ価値は乏しい。
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