試乗レポート

トヨタ新型プロボックス／サクシードハイブリッド試乗｜毎日使う商用車にこそ“エコ”を！(2/4)

公開日:2019/02/12 19:59 最終更新日:2019/02/12 19:59

新型プロボックス／サクシードハイブリッドに試乗した印象は

概要が分かったところで、新型サクシードハイブリッド TXを試乗してみよう。TXはサクシードの最上級グレードだ(プロボックスのFグレードに相当)。

まずは発進時だが、アクアやシエンタハイブリッドと同じく、駆動用電池が十分に充電されている状態であればモーター駆動で発進する。車両重量は前述のように1200kg以下だから、市街地ならモーターの駆動力だけで速度を比較的活発に高めていく。この時点ではエンジンを始動させないから静粛性も良好だ。

注意したいのはこの後で、エンジンが始動した時のノイズは少し大きい。走行中も同様だ。アクアやシエンタハイブリッドは、遮音効果でエンジンを始動させても耳障りに感じないが、新型プロボックス／サクシードハイブリッドはエンジンが始動すると音量が相応に高まる。

動力性能には余裕がある。

アクセルペダルを踏み増すと、反応の素早いモーターアシストが即座に行われて加速力を支援する。ノーマルタイプのエンジンに当てはめると、約1.8リッターに匹敵する。

プロボックス／サクシードのようなボンネットを備えたバンは、比較的軽い荷物の運搬や営業活動に使われ、市街地から高速道路までさまざまなルートを走る。ハイブリッドによる余裕のある動力性能と低燃費の両立は、このクルマの使われ方に適している。

運転して気になったのは、操舵に対する反応が鈍いことだ。ハンドルを回し始めた段階で、反応しない領域が大きく感じる。発売されたのが2002年と古く、操舵感も一時代前のクルマという印象だ。

設計の古さを感じる半面、走行安定性のバランスは取れている。カーブを曲がる時も車両の向きが変わりにくく、自然に旋回速度が下がるから、曲がっている最中に危険を避ける目的でブレーキを踏んでも挙動を乱しにくい。運転を開始した時には古さを感じたが、慣れると違和感が薄れた。

試乗車には実際の使われ方を想定し荷台に100kg少々のウエイトを積んでいたが、それでも乗り心地は少し硬い。1日当たり仮に150kmを走れば、1か月に20日間稼働して3000kmに達する。1年間なら3万kmを超えてしまう。しかも荷物も積むから、足まわりも耐久性を重視した造りになっている。

そんな中、新型プロボックス／サクシードハイブリッドには「ばね上制振制御」を採用した。走行中に車両が前下がりになると、反応の素早いモーターの駆動力をわずかに増やす。逆に前側が持ち上がると駆動力を抑え、ボディが常に水平になるよう制御する。

筆者渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

監修者樺田卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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