予想価格は400万円前後?トヨタの新型SUVミニバンの外観・内装の紹介や搭載エンジンを予想
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:佐藤 正巳/茂呂 幸正/トヨタ自動車
トヨタからミニバンベースのSUV「クロスバン・ギア・コンセプト」がジャパンモビリティショーで出品されました。
クロスバン・ギア・コンセプトのボディサイズや外観、内装を紹介します。
あわせて、同車が市販化された場合の搭載エンジンやプラットフォーム、予想価格について、カーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんに解説してもらいました。
SUVとミニバンを組み合わせたトヨタの展示車が登場!
人気が続くSUVは、国内で新車として売られる小型/普通車の約30%を占めます。既存の車種をベースに開発されたSUVも多く、軽自動車のダイハツ タントファンクロス、ステーションワゴンをベースにしたスバル レヴォーグレイバックなどもあります。
しかしミニバンをベースにしたSUVは、意外に少ないです。以前から三菱 デリカD:5の独壇場で、ほかの車種は登場しません。
売れ筋ミニバンのトヨタ ノア&ヴォクシー、日産 セレナ、ホンダ ステップワゴンに設定されるのは、標準ボディとエアロ仕様のみです。
そんな背景もあるためか、新たにミニバンベースのSUVとして開発されたのが「ジャパンモビリティショー2023」にトヨタ車体が出品した「クロスバン・ギア・コンセプト」です。
トヨタ車体は、トヨタ車の企画・開発・生産を行うメーカーで、アルファード&ヴェルファイア、ノア&ヴォクシー、グランエース、ハイエースなどバンタイプのトヨタ車を多く受け持っています。今回のクロスバン・ギア・コンセプトも、同様の扱いです。
クロスバン・ギア・コンセプトのボディサイズ
クロスバン・ギア・コンセプトは、ミドルサイズのミニバンですが、大径タイヤを装着して最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)にも余裕を持たせ、悪路のデコボコも乗り越えやすいデザインが採用されています。つまりデリカD:5のトヨタ版ともいえるミニバンです。
クロスバン・ギア・コンセプトのボディサイズは、全長が4695mm、全幅は1820mmと少しワイドで、全高は1855mmと公表されています。ノア&ヴォクシーに比べると、全長は同じ数値で、全幅はクロスバン・ギア・コンセプトが90mm上まわり、全高は40mm低いです。
クロスバン・ギア・コンセプトは最低地上高に余裕を持たせながら、全高はノア&ヴォクシーを下まわるため、室内高は65mm少ない1340mmです。これはデザイン性が優先されているのでしょう。
クロスバン・ギア・コンセプトの外観(エクステリア)
クロスバン・ギア・コンセプトの外観(エクステリア)はノア&ヴォクシーよりも水平基調が強く、フロントウィンドウとピラー(柱)の角度が立てられました。
クロスバン・ギア・コンセプトの運転席に座ると前方が見えやすく、ボンネットが視野に入ります。その一方でワイドな全幅を生かしてフェンダーが大きく張り出され、外観はSUVらしく力強い印象です。
クロスバン・ギア・コンセプトでは前後にスライドドアを装着しましたが、実際に市販される時は、ノア&ヴォクシーと同じく前席側は横開きになる可能性があります。
しかし左側のピラーは、ダイハツ タントのようにスライドドアに内蔵させ、ワイドな開口部を実現させると思われます。
クロスバン・ギア・コンセプトの内装(インテリア)
クロスバン・ギア・コンセプトの車内はコンセプトカーらしく現実味の乏しい仕上がりですが、助手席の回転機能などは、市販版クロスバン・ギアにも受け継がれる可能性があります。1980年代に流行したワンボックスワゴンにも、回転対座シートが採用されていました。
クロスバン・ギア・コンセプトの開発者も「シートアレンジには工夫を凝らします」とコメントしています。市販版クロスバン・ギアには車中泊に対応した仕様が用意される可能性も高いです。
クロスバン・ギア・コンセプトはSUVとミニバンの中間的な車種なので、汚れを落としやすいシート生地や床面なども採用されるでしょう。
またクロスバン・ギア・コンセプトはノア&ヴォクシーと違って、3列目シートにもスライド機能が装着されます。前述の通り、同車の室内高はノア&ヴォクシーよりも65mm少ないです。
そこで市販版クロスバン・ギアの3列目にはスライド機能が装着され、足元空間を広げられる設計にされるでしょう。高さの不利を有効室内長の拡大でカバーするのです。
ちなみにデリカD:5やセレナには、すでに3列目にもスライド機能が採用されています。
市販版クロスバン・ギアの搭載エンジン予想
クロスバン・ギアが市販された場合のパワーユニットは、基本的にノア&ヴォクシーと共通となるでしょう。
ただしハイブリッドシステムのエンジンは、ノア&ヴォクシーが搭載する1.8Lではなく、新型プリウスと同様の2Lに変更されてパワーアップする可能性もあります。
クロスバン・ギア・コンセプトのSUVとしての性格を考えると、高速道路や峠道を走る機会も多く、動力性能に余裕が欲しいためです。
市販版クロスバン・ギアのプラットフォーム予想
市販版クロスバン・ギアのプラットフォームもノア&ヴォクシーと共通のGA-Cと呼ばれるタイプと予想されますが、新興国向けの3列シートSUV、トヨタ イノーバ・ハイクロスとも共通性が高いです。
イノーバ・ハイクロスは、全長は4755mmと少し長いですが、全幅は1845mmなので、クロスバン・ギア・コンセプトとほぼ同じです。
イノーバ・ハイクロスのホイールベース(前輪と後輪の間隔)も2850mmなので、ノア&ヴォクシーと等しく、市販版クロスバン・ギアもこの数値が踏襲されるでしょう。
以上のように市販版クロスバン・ギアは、ミニバンのノア&ヴォクシーと、SUVのイノーバ・ハイクロスの中間的な車種となるでしょう。
イノーバ・ハイクロスはSUVとあって悪路への対応もしっかりと考えられているため、クロスバン・ギア・コンセプトの信頼性も高まるでしょう。
そしてノア&ヴォクシーは、今では伝統的なミニバンですが、クロスバン・ギア・コンセプトは新規投入車種です。そこで先に述べたシートアレンジなども含めて、新しいチャレンジを見せるでしょう。
市販版クロスバン・ギアが、ミニバンの機能をさらに前進させるでしょう。そこから生まれたアイデアは、ノア&ヴォクシーにも採用されて、トヨタのミニバン全体にメリットをもたらすはずです。
市販版クロスバン・ギアの価格と発売時期
市販版クロスバン・ギアの価格は不明ですが、基本的にはノア&ヴォクシーに近くなるでしょう。外装パーツを充実させたヴォクシーの場合、最上級グレードとなるハイブリッドS-Z・E-Four(4WD)の価格は396万円です。
市販版クロスバン・ギアも、これに近い設定でしょう。最上級グレードが430万円以内に収まれば、クリーンディーゼルターボを搭載するデリカD:5・Gパワーパッケージの433万9500円に対して割安な印象になります。
市販版クロスバン・ギアの発売時期は不明ですが、ノア&ヴォクシーのマイナーチェンジに合わせるのではないでしょうか。そうなると2025年の後半ごろかと思われます。
人気の高いノア&ヴォクシーの機能にSUVの要素を加えれば、相当に魅力的なクルマになります。売却する時も高値になるでしょう。
当記事の情報は2023年11月時点のものです。価格やスペックなどはメーカーの発表により変更される可能性があります。最新の情報はメーカーの公式発表をご確認ください。
メーカーから公式発表次第、燃費などの情報を加筆予定です。
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【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:佐藤 正巳/茂呂 幸正/トヨタ自動車】
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