これは紛れもなく“ピュア・スポーツカー”の領域だ!「トヨタ GRヤリス」サーキット試乗(1/3)
- 筆者: 山田 弘樹
- カメラマン:小林 岳夫
2020年9月4日、正式発売が開始されたトヨタのスーパー4WDスポーツハッチ「GRヤリス」。その最速モデル「RZ“High Performance”」(456万円)の実力を、富士スピードウェイ・ショートコースで試すことが出来た。テスターは、レース経験も豊富な実践派モータージャーナリストの山田 弘樹だ。高速領域だからこそ判ったGRヤリスの微細な挙動、そのひとつひとつをマニアックに解説する!
目次
▼GRヤリスの成り立ちやスペックなど、詳細解説も併せてチェック!▼
GRヤリス、ファーストインプレッションから鮮烈だった!
富士ショートコースのホームストレートをフラットアウトで駆け下りたとき、その速さに“ほぅ…”となった。1280kgの車重に272psの最高出力だから、パワー・ウェイト・レシオ(重量出力比)は4.70kg/ps。日産 GT-R NISMOで2.9kg/ps、世界のハイパースポーツにもなれば、既にこれが2ps/kgを切る状況だから、その速さは決してクレイジーなものではない。
しかしパワー・ウェイト・レシオ アンダー5kg/psのスピード感は、紛れもなくピュア・スポーツカーの領域だ。あなたがレーシングドライバーでもない限り、その小さなボディから弾き出されたスピードに、思わず顔をほころばせることになるだろう。
GRヤリス、やるじゃないか!
ショートカットの1コーナーを、短いフルブレーキングからターンイン。ブレーキのタッチはしっかりと頼もしく、固められたサスペンションによって鋭いターンが決まる。2コーナーではヨーが残った状態からのブレーキングでも姿勢が乱れず、S字コーナーの切り返しが素早い。
GRヤリスの総合力を見せつけられる
圧巻は立ち上がり加速だ。
このコースで最も急な勾配に、左ターンを絡めた3コーナー。ここでは大抵のクルマが失速するのだが、トルセンLSDを備える“Performance”は、モリモリ力強く坂道を登って行く。ほんと、モリモリ感がすごい。
1.6リッターターボの分厚いトルク、3気筒エンジンの独特なサウンド。4WDのトラクション、サスペンションの接地性。パワーに対する、車体の軽さ。そしてカッチリとしたボディの剛性感。
こうした要素が渾然一体となって、270Nmの最大トルクをもらさず路面に伝えるのだろう。ややフロントの内輪をかきむしりながらも、制御系を働かせることもなく、インフィールドまで上り詰めてしまうのである。
いいじゃないか、GRヤリス!
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