トヨタ 86(ハチロク)試乗レポート/渡辺陽一郎(1/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
タイヤを滑らせても、フツウに走らせても楽しい「86」
86の市販モデルを試乗して、クルマ好きの大人に向けた“手頃なホビーアイテム”だと思った。
理由は86ならではの運転感覚にある。一般的な市販車の場合、ハンドルの切り始めは円周上の2.5cmくらいは反応を鈍く抑えるが、86は1cm動かした程度でも機敏に反応する。移動ツールとしてのリラックス感覚はあえて抑えられており、クルマの向きが変わりやすい。
この特徴は車両の挙動全般に当てはまり、ハンドルを相応の角度で切り込んだ時にも即座に向きを変えてくれる。市販車としては、かなり切れの良い動き方だ。
コーナーに入ると前輪の路面をつかむ力が強く、旋回軌跡を拡大させにくい。車両を内側に向けた状態を保ちながら、速度を高めていける。
「GT」「GT Limited」両グレードには、トルセン式LSD(リミテッド・スリップ・デフ)が17インチタイヤとセットで標準装備されている。
LSDを装着することで、内側に位置する駆動輪(後輪)の空転が生じにくく、ハンドルを切り込みながらアクセルペダルを踏み増せば、後輪を緩やかに横滑りさせてコーナーを素早く回り込める。
さらに、この時の挙動で、後輪の横滑りが唐突に強まらないことにも注目したい。
後輪をしっかりと路面に接地させながら、アクセル開度に応じて後輪の横滑りが強まるから、ドライバーは慌てにくい。挙動の変化が滑らかなら、楽しいと感じるだけの余裕も持てる。
その一方で、ハンドル操作に対して車両が忠実に反応するため、タイヤを滑らせず、スムーズに走らせても十分に楽しい。
クルマの反応が鈍いと、コーナー手前の制動を遅らせて後輪を横滑りさせようとか、先に触れた非日常的な運転を考えたくなるが、86であれば、そこまでしなくても良いわけだ。つまり、運転の仕方に応じて、いろいろな楽しさを味わえるのが86の魅力だろう。
この魅力を成り立たせているのが、「水平対向4気筒エンジン」と「FR(後輪駆動)」の組み合わせだ。
運転席に座ると、視線の位置がかなり低いことに気付く。加えてエンジンの搭載位置を後退させ、後輪を駆動する方式だから、前後輪の重量配分は57対43くらい(車検証による記載値)。低重心とバランスの良い重量配分、後輪駆動の採用が86の魅力の根源になる。
プラットフォームを新規に開発し、サスペンションの取り付け剛性を高めたことも挙げられる。
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