トヨタ 86(ハチロク)試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
“ホビーアイテム”86(ハチロク)を楽しむために欠かせない「VSC スポーツモード」
86は良くできたホビーアイテムだが、冒頭で「クルマ好きの大人に向けた」と位置付けたのは、相応の節度も求められるからだ。
ところが86では、上記のバランスが少し曲がり過ぎる方向へと振られている。
後輪を滑らかに横滑りさせられる半面、危険を回避する時のことを考えると、若干の危うさも伴う。ドライバーは、この86の性格を認識した上で運転する必要があるだろう。
86の挙動を楽しみたいが、安全にも配慮したい。そんな時、有効に機能するのがVSC(横滑り防止装置)のスポーツモードだ。
後輪の横滑りが生じた時のVSCの作動タイミングは決して遅くはないが、安定化するためのブレーキ力を弱めにしている。
ドライバーのコントロール領域をある程度は確保しながらも、危険な状態に陥るのを防いでくれる。
その制御は、かなり綿密。不安定になりやすい定常的な下りコーナーを旋回している時、車両が荒れた路面の上に乗ると、小刻みにインジケーターが点滅。4輪に微妙な制動を与えて、車両の動きを安定化させてくれる。
「スポーツモード」という語感を踏まえると、VSCの作動をもう少し遅らせて良いのでは?とも感じたが、それを行えばVSCが働いていながら大きな修正操舵の必要が生じてしまうので、この程度の利き方が適度だろう。
そして、VSCをキャンセルするのは安全が確保されたクローズドコースに限るべきだ。VSCが装着されていながら、故意に作動させないのは、本来の使い方ではない。
大舵角のカウンターステアを伴う86のアピールにも矛盾が生じており、大人としての受け止め方、解釈が必要になる。
タイヤサイズは17インチが本命
86のサスペンション設定は世界的に共通化され、16/17インチタイヤでも、ショックアブソーバーの減衰力やスプリングのレートは変えていない。
17インチタイヤ(215/45R17)の「ミシュラン・プライマシーHP」は、プリウスのツーリングセレクションと共通。16インチ(205/55R16)の「ヨコハマ・デシベルE70」はインプレッサの2.0iと同タイプになる。
両タイヤともに基本的な挙動は似ているが、後輪の横滑りなどは、当然ながら17インチの方が抑制される。16インチは少し低い速度域から、修正操舵を求められる。
意外だったのは、乗り心地が16/17インチともほとんど同じということだ。
ボディやサスペンション付近の剛性が高いこともあって粗さは感じないが、発進から時速60km程度まで硬いことは確かで、86がスポーツ指向のクルマであることを意識させられる。
快適性が同等ならば、安定化を図れる17インチタイヤが本命だろう。
開発者のコメントで興味深かったのは、
「サイズを大きく変えない限り、どのようなタイヤにも対応できるようにサスペンションを設定した。タイヤの性格が走りに素直に表現されるので、86を購入したなら、いろいろなブランドを試して欲しい」
というものだった。
この言葉には驚いた。通常はタイヤとサスペンションはセットで開発され、緻密にバランスを取る。高性能車になるほど、開発者は「タイヤは標準装着されていた純正品に交換して欲しい」と言う。
86は低重心や前後の優れた重量配分など、走りの素材として入念に煮詰めたからこそ、タイヤの対応でも幅が広い。
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