スズキ 新型クロスビーに速攻試乗|気分がアガる! 乗って楽しいコンパクトSUV(3/3)

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1リッターターボ+マイルドハイブリッドのバランス良い走り

スズキ クロスビーに搭載されるエンジンは、直列3気筒1リッターの直噴”ブースタージェット”ターボ1機種のみだ。

トランスミッションはCVTではなく、トルクコンバーターを使った6速の有段式ATだ。最高出力は99馬力(5500回転)、最大トルクは15.3kg-m(1700~4000回転)になる。

さらにマイルドハイブリッドも備わり、ISG(モーター機能付発電機)が減速時を中心とした発電、アイドリングストップ後の再始動、連続最長30秒の駆動力支援(ハイブリッド機能)を行う。

動力性能は自然吸気のノーマルエンジンに当てはめると1.5リッタークラスだが、車両重量が4WDでも1000kgと軽いから動力性能に余裕を感じる。ターボの過給効果も優れ、巡航中にエンジン回転が1500回転付近まで下がっても駆動力が落ち込む印象はない。直線的に吹き上がるから運転がしやすく、4000回転付近からは速度上昇がさらに活発になってスポーティな運転感覚も味わえる。

ATは前述のように6速の有段式だから、メリハリのある変速が行えて速度の微調節もしやすい。このあたりはクルマ好きのユーザーに受けるだろう。

エンジンノイズは小さくないが、騒々しくも感じない。タイヤが路上を転がるロードノイズを含めてバランス良くまとめた。

開発者にエンジンを直列3気筒1リッターターボにした理由を尋ねると「みんなで、もっと遠くまで遊びに行きたいという開発コンセプトに基づく」という。3~4名の乗車で高速道路を使って遠方まで走るとすれば、1リッターや1.2リッターの自然吸気エンジンでは動力性能が足りない。1.5リッターとか1.6リッターでは、低回転域の駆動力が弱かったり、燃料消費量が増えたりする。これらの機能的な両立をねらって1リッターターボを選んだ。欧州車に多い小排気量ターボと同じ考え方だ。

>>スズキ クロスビーをフォトギャラリーでもじっくりチェック[画像56枚]

良好な乗り心地と機敏なハンドリングを両立させたクロスビー

スズキ クロスビーの乗り心地だが、市街地を時速40キロ程度で走ると若干硬めに感じる場面もあったが、全長が3800mm以下のコンパクトカーとしては快適な部類に入る。SUVで重視される足まわりの伸縮性も、コンパクトなサイズとしては上手に演出されている。

タイヤサイズは16インチ(175/60R16)で、試乗車の銘柄はブリヂストン エコピアEP150。指定空気圧は前輪側が250kPaと少し高いが、後輪側は220kPaで常識的な範囲に収まる。

その一方で、操舵に対する反応は比較的機敏だ。

最低地上高に180mmの余裕を持たせ、乗り心地にも配慮した足まわりを装着する割に、舵角に応じて確実に曲がる。峠道でも旋回軌跡を拡大させにくい。

この特徴はボディが軽いメリットでもあるが、後輪の接地性はもう少し高める余地があると感じた。危険を回避する時など、やや後輪が横滑りを生じやすい。

開発者に尋ねると「イグニスは欧州でも販売されるから、足まわりも高い速度域を重視するが、クロスビーは今のところ日本向けに開発されている。時速100~120キロで走った時の安定性と快適性、市街地でのキビキビ感などを大切にセッティングした」という。

クロスビーは運転するだけで楽しい気分にさせるクルマだ

冒頭で触れたとおり、スズキ クロスビーの特徴は、市街地で扱いやすい小さなサイズながら、大人4人の快適な居住空間(乗車定員は5名)と多彩なシートアレンジを備え、外観はSUV風にアクティブに仕上げたことだ。荷室の床面地上高が高いなど気になる点はあったが、大筋ではねらいどおりのクルマに造り込んでいる。「運転がしやすい実用的なコンパクトカーが欲しいが、デザイン面はカッコ良くしたい」と考えるユーザーにはちょうど良いだろう。

ライバル車としては、後席や荷室に余裕を持たせたヴェゼルあたりが該当するが、試乗した印象ではBMWのミニにも似ていると感じた。運転していると、ちょっと楽しい気分になってくる。

クロスビーの報道資料にも「クルマに合わせて自分のライフスタイルが変わる」という記述があるが、こういう表現は反感を買うからやめた方がいい。ツールのクルマに、自分の生活形態を変えて欲しくはない。メーカーの思い上がった表現だ。

それでも開発者が内々で「ユーザーのライフスタイルを変えるようなクルマを造ろうじゃないか」という意気込みや思いを共有するのは良いことだ。クロスビーは、そのようにして造られたクルマだと思う。

クロスビーはボディが小さい割に、価格は200万円前後と高いが(今は安全装備の充実などもあってクルマの価格が全般的に高まった)、実用性と趣味性を上手にバランスさせている。そこを考えれば、価格に見合う価値が備わる。

スズキ新型クロスビーが用途や好みに合うユーザーにとっては、買い得な選択肢となるだろう。

[レポート:渡辺 陽一郎/Photo:茂呂 幸正・和田 清志]

スズキ クロスビーの主要スペック

スズキ 新型クロスビーの主要スペック
車種名スズキ クロスビー

グレード

HYBRID MZ[4WD]

駆動方式

4WD

トランスミッション

6AT

価格(税込)

2,145,960円

JC08モード燃費

20.6km/L

全長

3,760mm

全幅(車幅)

1,670mm

全高(車高)

1,705mm

ホイールベース

2,435mm

乗車定員

5人

車両重量(車重)

1,000kg

エンジン

K10C型 直噴ターボ

排気量

996cc

エンジン最高出力

73kW/5,500rpm

エンジン最大トルク

150N・m/1,700~4,000rpm

モーター最高出力

2.3kW/1,000rpm

モーター最大トルク

50N・m/100rpm

燃料

無鉛レギュラーガソリン

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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