スズキ 新型スペーシア試乗レポート|ライバルを徹底マークした新しいスペーシアが勝負に出る!(2/3)

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“個性的”なノーマルと“没個性”なカスタム

次は大幅に変わった新型スペーシアのデザインを見てみよう。

新型スペーシアの外装デザインは、先代型に比べてドアパネルの上下幅を増やし、ピラー(柱)の角度を立てている。先代型の少し丸みのある柔和な印象が薄れて存在感が強くなっている。こうなると車両の寸法、ピラーの角度といった外観の構成要素がN-BOXとほぼ同じになり、車両のシルエット(輪郭)が重なってしまう。スペーシアの個性を表現できるのは、フロントマスクやドアパネルのラインなど限られたデザイン面だけだ。

そこでスペーシアは、スーツケースをモチーフに外装をデザインした。ボディサイドにはスーツケースの側面に入るようなラインを入れ、同様のデザインをインパネにも施した。全高の拡大や”面”を多く取り入れたデザインに変わったことで、見た目にはひとまわり大きくなったように錯覚するが(軽自動車だから全長と全幅は同じ)、新型はスペーシアならではの表情を巧みに表現したきわめて優秀なデザインだ。

ところがスペーシアカスタムは「よくあるカスタム顔」で、N-BOXカスタムと見分けられないほど似ている。発売時期が近いからスペーシアがN-BOXを真似たわけではないが、結果的に似てしまった。だからといって、違った雰囲気にすると売れ行きが下がることは、旧型が証明している。

デザイン性と機能性を両立した使いやすい室内

インパネ周辺は、前述のようにスーツケースがモチーフで細部まで上質に造り込まれている。加えて実用性も高く、助手席の前側には上下に3段の収納設備が並ぶ。上側はスーツケース風のカバーを持ち上げるタイプで、中段(シルバーの部分)は引き出し式でティッシュボックスが収まる。この左側には引き出し式カップホルダーも備わっており、最下段にはグローブボックスを装着している。

このほか、スズキ ワゴンRなどと同様に助手席の下側にもアンダーボックスが装着され、ドアポケットを含めて室内収納は豊富だ。

前席の座り心地は、座面の奥行に十分な長さを持たせて乗員の体が少し沈んだところでしっかりと支え、背もたれの下側の張り出し方も適度なので疲れにくい。サイドサポートの張り出し方は少し弱いが、その分だけ乗降性が良くなった。

後席は新型になって格納方法を変更したから少し薄手になったが、座面は巧みに柔軟に仕上げた。シートのサイズは、背もたれは低めだが座面の奥行寸法は不足していない。

新型スペーシアの室内は頭上と足元の空間が広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ半の余裕がある。前後方向はLサイズセダン以上のスペースだから足をゆったりと伸ばせる。フルモデルチェンジで、ファミリーカーとして快適に使える居住性を得た。

意外に重要!1列目・2列目シートの快適性やいかに

旧型スペーシアの後席の格納方法は、シート全体を前方に押し出して燃料タンクの張り出しと前席の間に挟み込むタイプだった。これにより低く平らな床面に変更できたが、操作が面倒で、前席のスライド量も少し限られてしまった。

そこで新型スペーシアではワゴンRなどと同様に、背もたれを倒すと座面も連動して下がるワンタッチ方式にした。これなら格納時でも前席のスライド量が制限されない。

その代わり先代型に比べると、格納時の荷室床面が高い。リアゲートの部分は床面地上高を510mmに抑えたが、車内の中央では、荷室の床が持ち上がってしまう。それでも天井が50mm高くなったから、荷室高は不足していない。

車内の装備では、スリムサーキュレーターが注目される。スリムサーキュレーターとは、天井の中央付近に装着され、前席側でエアコンの冷気を吸い込み、後席側へ吐き出して空気を循環させる機能だ。

後席のサイドウインドーには、下端部分から引き上げるロールサンシェードも備わり、頭上や足元の広い空間と相まって快適性を高めた。

新型スペーシアカスタムのハイブリッドXSと同ターボでは、前席の背面にパーソナルテーブルを装着した。これにはカップホルダーも備わり、軽食を食べる時などに便利だ。この装備は標準ボディのハイブリッドXにも欲しいと思った。

>>次のページは:プロのおすすめグレード!

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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