スバル 新型WRX S4 試乗&詳細解説|スバルが目指す“走りの理想”がここに現る!(2/2)
- 筆者: 山本 シンヤ
- カメラマン:和田清志
そろそろWRX STIにもアイサイトを
今回のWRX S4マイナーチェンジでは、スバルらしい走りのレベルアップが図られているが、それ以上に大きなニュースとなるのが安全性の向上だ。レヴォーグ同様にスバル最先端となる安全支援システム「アイサイト・ツーリングアシスト」とRAB(後退時自動ブレーキ)を全車標準装備した。すでにその機能は紹介済みだが、リアルワールドで使えるシステムに仕上がっている。また、SRH(ステアリング連動ヘッドランプ)やフロントビューモニター(OP)も設定され、スバルがこだわる視界性能向上もシッカリと行なわれている。
ちなみにWRX STIはアイサイト未装着で従来モデル同様にアドバンスドセーフティパッケージをOP設定する。現在、ホンダ/マツダ車にMT仕様+安全支援パッケージの設定があることからも解るように、もう「MTだから……」、「WRX STIはユーザーが必要としてない」は通用しないと思っている。WRX STIへのアイサイト搭載にも期待したい。
従来モデルは“剛”な印象に対し、新型は“柔”のイメージ
その走りはどのように変わったのか?
今回はナンバーを取得していないモデルのため、伊豆サイクルスポーツセンターにある5kmコースでの試乗だ。ちなみにこのコース、一方通行の上一般道よりもアベレージスピードが高いが、路面は所々荒れている箇所もある「一般道以上サーキット未満」と言った環境だ。
まず乗り始めて感じたのは、2.0GT/2.0GT-S共に全てにおいてより素直になったな……と。従来モデルもステアリングレスポンス/リアグリップ/フラットライドに注目していたが、実際のところ個々の性能は納得できるものの、トータルで見ると調和できていない印象だった。一方、新型は個々がどうこうよりも、クルマとしてのバランスが整えられた印象が大きい。
これはサスペンションリアスタビライザーをφ20→19に落とした効果が大きい。従来モデルはどちらかと言えばタイヤを無理やり押さえつけた“剛”な印象に対し、新型はしなやかに路面を捉える“柔”のイメージで、4つのタイヤをより効率的に使えるようになった印象だ。結果としてやや突っ張り気味だった乗り心地も改善されている。また、電動パワステの変更はステアリングを“切る”だけでなく“戻し”にもこだわっており、これらの変更が相まって一連のクルマの動きがより自然で滑らかになっているのだ。
また、従来モデルも、クルマが曲がる時の軸足になるリアはシッカリと安定させながら、フロントで曲げる考え方だったが、相対的にはリア勝ちでアンダーっぽい所もあった。新型はフロントとのバランスが整えられているので、いい意味でAWDっぽさを感じない。
もちろん最終的には安定方向のハンドリングだが、そこに辿りつくまでの過程でコントロールの“自在性”と“懐”が増しており、「必ずしもアンダーステアが正解ではない」と言う走りを実現している。これは新型インプレッサ/XVで初採用されたSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)開発による知見をフィードバックさせているそうだ。ちなみにS4のAWDシステムは高出力モデル用で前後トルク配分45:55を基本に走行条件に応じて直結状態まで制御するVTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)を採用するが、このシステムをより活かせるシャシーになったと言えるかも!
スバルが進むべき“走りの理想”が定まった
ちなみに走りの味付けは、2.0GT/2.0GT-Sで従来よりも性格分けが明確になっている。
2.0GTはしなやかさと快適性を重視したグランツーリスモ的なセットでより間口を広げているのに対し、2.0GT-Sはパフォーマンス重視しながら、STIコンプリートモデルを思わせる、より動的質感が高められた印象。個人的には従来モデルのGT-S・245仕様はS4のキャラクターに対してやや走りに特化しすぎていた感があり、ベストS4はGT-S・225仕様だと感じていたのだが、新型GT-Sは245仕様ながら従来の225仕様と245仕様のいい所取りの乗り味に仕上がっている。
一方、WRX STIは絶対的なパフォーマンスはS4の上だが、乗り味と言う意味では従来の武闘派からロードカー寄りに深化しており、どちらかと言うとS4方向の乗り味に近づいている。新DCCD採用とS4同様に前後バランスを整えたセットアップ、19インチタイヤ&ホイール走りの組み合わせの相乗効果で、従来モデルよりもAWDを感じさせないノーズの入りの良さと、AWDらしいトラクションを両立。また、クルマの挙動も自然で安定しているので無駄なステアリング操作も減り、結果としてドライビングも楽になっている。
そういう意味では、今まではS4とSTIは似て非なるモデルだったが、新型に乗るとスバルが進むべく“走りの理想”が定まったことを意味しているのかもしれない。スバルが考えるグランドツーリング(GT)の考え方は「より遠くに/より速く/より安全に/より快適に」だが、今後のWRXシリーズは“究極のGT”を目指していくのだろう。
[レポート:山本シンヤ/Photo:和田清志・SUBARU]
スバル 新型WRX S4/WRX STI 主要スペック(2017年7月マイナーチェンジ)
WRX S4 | WRX STI | |
---|---|---|
駆動方式 | AWD(4輪駆動) | AWD(4輪駆動) |
価格(消費税込み) | 3,369,600円(2.0GT EyeSight) 3,736,800円(2.0GT-S EyeSight) | 3,866,400円(STI) 4,060,800円(STI Type S) |
JC08モード 燃費 | 13.2km/L(2.0GT EyeSight) 12.4km/L(2.0GT-S EyeSight) | 9.4km/L |
全長 | 4,595mm | 4,595mm |
全幅(車幅) | 1,795mm | 1,795mm |
全高(車高) | 1,475mm | 1,475mm |
ホイールベース | 2,650mm | 2,650mm |
乗車定員 | 5名 | 5名 |
車両重量(車重) | 1,540kg | 1,490kg |
エンジン | FA20型 2.0L DOHC 16バルブ デュアルAVCS 直噴ターボ“DIT” | EJ20型 2.0L DOHC 16バルブ デュアルAVCS ツインスクロールターボ |
排気量 | 1,998cc | 1,994cc |
エンジン 最大出力 | 300ps(221kW)/5600rpm | 308ps(2217W)/6400rpm |
エンジン 最大トルク | 40.8kgf-m(400N・m)/2000-4800rpm | 43.0kgf-m(422N・m)/4400rpm |
燃料 | 無鉛プレミアムガソリン | 無鉛プレミアムガソリン |
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。