東京のど真ん中に新車のインプレッサやヴェルファイアなどの事故車がズラリ… いったい何が!?

東京のど真ん中に新車のインプレッサやヴェルファイアなどの事故車がズラリ… いったい何が!?
日産セレナ 衝突実験車両 ホンダ フリード 衝突実験車両 ホンダ フリード 衝突実験車両 日産セレナ 衝突実験車両 トヨタ ヴェルファイア/アルファード 衝突実験車両 トヨタプリウス/プリウスPHV 衝突実験車両 スバル インプレッサ 歩行者保護エアバッグ展開時 スバル インプレッサ 衝突実験車両 スバル インプレッサ エアバッグ展開時 自動車アセスメントJNCAP 自動車アセスメントJNCAP 画像ギャラリーはこちら

東京都心ど真ん中に事故車がズラリ!!

トヨタ ヴェルファイア/アルファード 衝突実験車両ホンダ フリード 衝突実験車両

「エェー、いったいなにが起こったの!?」。

東京・有楽町にある東京国際フォーラムの広場に、車体の正面や側面がグッチャグチャに破壊された事故車がズラリと並んだものだから、さあ大変。近所のサラリーマンのお父さんやOLさんたち、また銀座にお買い物に向かうマダムたちは目を丸くした。

都心ど真ん中に出現した謎の事故車たち、その正体は平成28年度衝突安全性能評価で最高ランクの5つ星を獲得した優秀な被験車。

これは、JNCAP(ジェイエヌキャップ)と呼ばれる自動車アセスメント。国土交通省の事業として、実務を独立行政法人自動車事故対策機構が行っている評価試験である。

平成28年度の5つ星は、得点の高い順に、スバル インプレッサ/XV(199.7点)、トヨタ プリウス/プリウスPHV(183.6点)、トヨタ パッソ/ダイハツ ブーン[サイドエアカーテン付き](179.2点)、トヨタ ヴェルファイア/アルファード(178.4点)、ホンダ フリード(177.2点)、そして日産セレナ/スズキ ランディ(175.8点)が受賞した。

このように、インプレッサ/XVが2位以下を大きく引き離した最大の理由は、歩行者保護エアバッグの採用による効果が大きい。

衝突安全性能評価の内訳を見てみると、乗員保護性能評価(100点満点)、歩行者保護性能評価(100点満点)、そしてシートベルトの着用警報装置評価(8点満点)の3つの評価で満点は208点となる。このなかで、乗員程性能評価では、インプレッサ/XVとプリウスPHVが90点オーバーだったが、歩行者保護性能評価では、インプレッサ/XVが96.07点とほぼ満点に近い高得点になった。

一方で、2位のプリウスPHVは80.58点で、3位以下は70点台に止まった。さらに、シートベルトの着用警報装置評価で8点満点となったのは、インプレッサ/XVだけという優れた評価だ。

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SUBARUが嬉しいトリプル受賞

スバル インプレッサ 歩行者保護エアバッグ展開時

今回の授賞式は、スバルの独壇場となった。

衝突安全性能評価で5つ星の受賞、過去最高得点での同評価の大賞、さらに歩行者保護エアバッグの採用に対して特別賞という、スバルにとって嬉しいトリプル受賞となった。

5つ星の受賞で壇上に立った、スバル商品企画本部・プロジェクトジェネラルマネージャーの井上正彦氏は「社内評価のみならず、第三者機関の評価として認めていただき、我々の開発(の方向性)が間違っていないと再確認できた」と感想を語った。

その直後、大賞受賞で井上氏は「再び、井上です! 本当にうれしい。大賞は3年ぶりのこと。実は200点オーバーを狙っていたので、(今回の受賞によって)次の開発につなげていきたい」と満面の笑みを浮かべた。

続く特別賞の受賞では、スバル第一技術本部・車両研究実験第三部部長の古川寿也氏が壇上で「当初、車両は窓枠まわり以外での(衝突安全に関する)開発はやり尽くした感があった。SGP(スバルグローバルプラットフォーム)によるプラットフォーム一新の機会を得て、製造部門との協議を進めるなかで、窓枠まわりに対策が入った。歩行者保護エアバッグの性能を今回、数値で評価していただき、これがお客様への安心感につながることをありがたく思う。その上で、お客様が(自らが事故に遭遇することによって)歩行者保護エアバッグを見ないことを願っている」と開発者としての本音を述べた。

その後、前出の井上氏が、『SUBARU安全への取組み』として10分弱のプレゼンテーションを行い、今回のトリプル受賞は「日本の交通事情を基点とした3つの開発」として、乗員保護、歩行者保護、そしてシートベルトの開発に注力した結果だと説明した。

自動車アセスメントとは何か?

自動車アセスメントJNCAP表彰式トヨタプリウス/プリウスPHV 衝突実験車両

そもそも、自動車アセスメントとは何か?

ユーザーにとっては、クルマを購入する際に自動車の安全性能に対する指標が欲しい。また、自動車メーカーにとっては、安全性能の研究を進める上での指標が欲しい。こうした潜在的な需要に対応するため、国が第三者機関によって安全性能を評価するものとして、日本では1995年から導入された制度だ。

新車アセスメントプログラム(New Car Assessment Program)、略してNCAP(呼び方:エヌキャップ)という。その日本版がJNCAP(ジェイエヌキャップ)だ。

もともとはアメリカで1970年代末に始まっているが、近年では世界自動車技術界をリードするジャーマン3(ダイムラー、BMW、VWグループ)や、自動車部品のツートップ(ボッシュ、コンチネンタル)の影響力が強いことなどから、欧州のEURO NCAP(ユーロ・エヌキャップ)が主導的な立場にあり、JNCAPはEURO NCAPとの連携が重視されている印象が強い。

JNCAPの詳細を見ると、乗員保護性能評価では、(1)試験速度55km/hでのフルラップ前面衝突(正面衝突)試験、(2)試験速度64km/hでのオフセット(車体の半分にずれたかたち)前面衝突試験、(3)試験速度55km/hで重さ950kgの台車による側面衝突試験、そして(4)ダミー人形を用いた、試験速度20km/hでの後面衝突頸部保護性能試験の4項目で構成されている。

歩行者保護性能評価では、試験速度40km/hによる頭部保護試験と、同速度による脚部保護試験の2つで構成されている。

また、予防安全性能については、対車両の衝突被害軽減性能試験(いわゆる自動ブレーキ)や、車線逸脱警報性能試験(レーンキープアシスト)、後方視界情報提供性能試験(リアビューモニター)、さらに今回の平成28年度から、対歩行者の衝突被害軽減性能試験(自動ブレーキ)が評価対象に加わった。これらの総合得点が46点以上で、『ASV(Advanced Safety Vehicle:先進安全車)++』のマークが与えられる。

今後については、平成30年度から、夜間での対歩行者の衝突被害軽減性能試験(自動ブレーキ)と、高齢ドライバー事故で社会問題となっている、いわゆる踏み間違い防止装置評価も加えることが検討されている。

ただし、こうした自動車アセスメントは、自動車メーカーに参加を義務化する強制力はない。筆者としては、自動車の予防安全性能については今後、自動運転の技術に直結することであり、自動車アセスメントは国の規定として格上げするべきだと考える。

[Text:桃田健史]

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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