スバル 新型フォレスター試乗|HVモデル「e-BOXER」はターボの代わりになり得るのか?(2/2)

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HVモデル「e-BOXER」はターボの代わりになり得るのか?

多くの人が気になっているのは「今回ターボがラインナップされない代わりに設定されたこのe-BOXERってどんな感じなのか?」という点だろう。

当然ながら新型フォレスターにはターボを搭載したモデルがないので正対比較はできないわけだが、その辺りを鑑みつつ比べてみよう。

実際にターボエンジンの方が、ターボが作動した時の力強さに関して、一枚上手であることは間違いない。e-BOXERのモーターは、特に発進から低速の間で効果を発揮するからなおさらだ。これは走行するシーンによっても印象が異なると感じた。

特に速度域が高い高速道路等を中心に走るとなると、確かにターボの力強さは魅力。しかしながら、街中を中心とした走りで考えると、ゼロ発進からの滑らかさや素早い反応はe-BOXERが良い。

もっとも、ここでも力強さというよりは「滑らかで品のある感じ」が前面に出ている。そのため、ターボとはそもそも違うフィーリングを提供する、と記した方が誤解がないだろう。

力強さでは2.5リッターNAモデルに軍配が上がる

そしてむしろ、ターボの力強さが欲しいと感じている人は2.5リッターのガソリンモデルを試して欲しい。こちらは最高出力184ps、最大トルク24.4kgmを発生する。

数値的には平凡だが、走らせた印象としては2.5リッターという排気量の大きさからくる“ゆとり”が感じられて良い。だから本来的な力強さを求めるならば、今回のe-BOXERと2.5リッターモデルとでは、2.5リッターモデルの方が正解だろう。

ただし、e-BOXERの走りは、2.5リッターモデルとも、これまでのターボとも違う“イマドキ”の電動車両を感じさせる部分があるので、新しさという意味ではこちらの方が魅力的だ。

特に走行シーンが街中や普段使いを重視する人はe-BOXERの方が良いだろう。そして、高速道路やワインディングである程度の高い速度で走る、という場合は2.5リッターモデルに軍配が上がる。

実際に、以前からフォレスターを買う方のほとんどはNAエンジン搭載モデルを買っていたわけで、ターボエンジン搭載車の購買比率はそこまで高くなかった。

そうした背景を考えても、今回の2.5リッターモデルは素直に受け入れられるだろうし、e-BOXERはそこに新たな魅力をプラスしたパワーユニットとして評価されるだろう。

新型シャシー「スバル・グローバル・プラットフォーム」を採用

シャシーに関しては、インプレッサ、XVに続いて新開発のSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を用いた第3弾モデルとして、新型フォレスターは実に優れた成長を果たしていた。

まず基本的な乗り心地が向上しており、これなら後席も含めて快適さは一段上になったといえる。また、これまで以上にどっしりと幅広のスタンスで地面に対して踏ん張っている感じがあって、全体的に1クラス上になったような感覚があるのだ。

ステアリングのフィールも優れており、センター付近は穏やかなものの、切り込んでいくとしっかりと感触が立ち上がる。流して走っている時は、SUVらしい悠々とした走り味と落ち着きある乗り味が融合しており、休日の遠出などを想定した時に移動の時間を癒しに変えてくれるだけの懐の深さがあると感じた。

一方でワインディングを走らせると、想像以上にコーナリングに優れていて驚いた。特に伊豆サイクルスポーツセンターは、タイトなコーナーが頻出するコースでもある。そうしたシーンでハンドル操作に対して、ノーズがどこまでもインをついていくような感覚さえ見せてくれたのだ。

この時のスッキリした感覚は、まるでひとまわり小さなクルマに乗っているかのような感覚すらあったほどだ。

2.5リッターとe-BOXERの乗り味の違いとは?

そして2.5リッターモデルとe-BOXERでは走行性能で異なる部分がある。まず2.5リッターモデルは、どちらかといえばこれまでのフォレスターの延長線上にある進化を果たしたと考えて良い。SUVにもかかわらず、軽快な身のこなしとスッキリした乗り味を実現しており、爽快な走りを味わうことができる。

これに対してe-BOXERは、しっとりとした落ち着きを伴った走りとなっているのが特徴だ。2.5リッターモデルに比べると車重は約90kg重くなるが、この重さがクルマの動きにおける落ち着きを感じさせる要素になっており、ここから身のこなしも2.5リッターモデルに比べて穏やかなものに感じられたのだった。

十分な積載量を確保したラゲッジルーム

この他ラゲッジに関しては、後席の背もたれを倒して僕のロードバイクを実際に積み込んでみたが、前後輪を外さずにそのまま積み込めるだけの前後長が確認できた。

しかもロードバイクをそのまま積載しても、さらに前後長的に余裕があったのもポイントで、一層使い勝手は増したといえる。

新型フォレスターが持つ高次元のタフネスと走りの良さ

今回は伊豆サイクルスポーツセンターというクローズドコースのみでの試乗だったので、その走りの全てを捉えたわけではない。特にこのコースでは動力性能的にも運動性能的にも、ついつい日常を超えた速度域や入力域になる傾向にある。その辺りも差っ引いて評価する必要があるだろう。

とはいえ、そうした動力性能的にも運動性能的にも高い領域でも、新型フォレスターは決してへこたれないタフネスと走りの良さを見せてくれたことは確かである。

つまり、これだけ走れるならば一般的な走行ではさらに良い部分を見つけることができるだろうとも思えた。

また、e-BOXERに関しては特に街中でその良さを発揮するだろうから、ここは公道で試すことを楽しみにしておこうとも思った。

2.5リッターとe-BOXERはどっちが買い!?

さて、今回限られた場所でありながらも、2.5リッターモデルとe-BOXERをそれぞれ試乗してみて、河口まなぶ的に買うならどっち?を結論付けてみようと思う。

今回伊豆サイクルスポーツセンターで走らせた限りでは、新型フォレスターの良さを強く感じたのは2.5リッターモデルの方だった。ゆとりを感じさせる動力性能とNAならではの気持ち良い吹け上がり、そして身のこなしの軽やかさを伴う爽快な走りは、まさにこれまでのフォレスターの延長線上にあるモデルといえる。

しかしながら、実際に僕が買うならe-BOXERだと結論づける。やはり、実際の生活の中で考えると街中での使用が多くなるわけで、そうなるとe-BOXERの電動フィールは魅力的だし、何より新しさが感じられるからである。

もちろん、これはあくまで伊豆サイクルスポーツセンターで乗っての話。今後、公道での試乗会が開催された際には、その印象を踏まえてまたお伝えしようと思う。

[TEXT:河口まなぶ/PHOTO:和田清志]

スバル 新型フォレスターの主要スペック

スバル 新型フォレスターの主要スペック

グレード

アドバンス(e-BOXER)

プレミアム

全長×全幅×全高

4625×1815×1715mm

ホイールベース

2670mm

車両重量

1640kg

1530kg

乗車定員

5人

エンジン種類

2L水平対向4気筒 DOHC

16バルブ デュアルAVCS直噴

2.5L水平対向4気筒 DOHC

16バルブ デュアルAVCS直噴

排気量

1995cc

2498cc

エンジン最高出力

107kW(145ps)/6000rpm

136kW(184ps)/5800rpm

エンジン最大トルク

188N・m(19.2kgm)/4000rpm

239N・m(24.4kgm)/4400rpm

モーター最高出力

10kW(13.6ps)

--

モーター最大トルク

65N・m(6.6kgm)

--

駆動方式

AWD(常時全輪駆動)

トランスミッション

リニアトロニックCVT(マニュアルモード付)

JC08モード燃費

18.6km/L

14.6km/L

WLTCモード燃費

14.0km/L

13.2km/L

市街地モード燃費

11.2km/L

9.6km/L

郊外モード燃費

14.2km/L

14.6km/L

高速モード燃費

16.0km/L

16.4km/L

価格(消費税込)

309万9600円

302万4000円

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河口 まなぶ
筆者河口 まなぶ

1970年生まれ。大学卒業後、出版社のアルバイトをしたのちフリーランスの自動ライターとなる。1997年に日本自動車ジャーナリスト協会会員となり、自動車専門誌への寄稿が増え、プレイステーション「グランツーリスモ」の解説も担当。現在、自動車雑誌を中心に一般誌やwebで自動車ジャーナリストとして活躍。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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