【ざわ‥ざわ‥】謎の穴ぼこが多数!? どうしてこうなった! 心がざわざわするダッシュボード5選(2/2)
- 筆者: 遠藤 イヅル
その3:奇抜だけれど使い勝手はなかなか良好の「フィアット ムルティプラ」
前後3人がけの6人乗り、どれが本当の「目」かわからない3段式の灯火類、メーターや空調をセンターに集中配置したダッシュボード……という奇抜な内外装を誇ったのが、1998年登場の「フィアット ムルティプラ」です。
ムルティプラはイタリアを代表する巨大メーカー・フィアットが出した売れ線狙いのミニバンだっただけに、当時は大いに驚きました。
▲実際のインパネはTOP画像をご覧あれ▲
このダッシュボード、今改めて見てもギョッとするデザインです。
タコ・スピード・燃料・水温をコンパクトにまとめたメーターの下には空調ダイヤル、その横には吹き出し口を、下の方には左からシフトノブ、オーディオと灰皿、ドリンクホルダーを設置。本来メーターがあった場所と助手席前には大きめの収納スペースまであります。
変わったデザインだけれど、操作方法はごく一般的。全体的な使い勝手もなかなか良好です。せっかくのドリンクホルダーがちょっと遠いとか、メーターがもう少し大きいといいなとか、窓が大きすぎて全部降りきらないとか、気になるところも多かったですが(笑)、それもご愛嬌に感じさせちゃう魅力があるクルマでした。
その4:中には「意味のない穴」も!? 穴だらけダッシュボードの「ランチア ベータ ベルリーナ」
ムルティプラは内外装ともにデザインが奇抜でした。でも、エクステリアとインテリアのデザインテイストが異なる、というクルマも存在しました。その代表が「ランチアベータ ベルリーナ」。
ランチア ベータといえばミッドシップのスポーツカー「モンテカルロ」が思い浮かびますが、ベータ本来の姿は、1972年デビューのセダン(イタリア語でベルリーナ)でした。セダンなのにファストバック(のちに3boxスタイルのベータ・トレヴィも追加)という以外、奇異なところがない落ち着きある上質なサルーンでした。
エンスーの間で伝説となった奇抜過ぎるインパネはモデル途中から採用
そのベータ・ベルリーナは、1979年から角形ヘッドライトと2分割グリルを得て「シリーズ3(Serie 3)」に発展した際、常識的だったダッシュボードを大きく変更。外観とのギャップが生まれました。
シンプルな垂直面に穴を無数に穿ち、そこにメーターのみならずインジケーター・各種スイッチをすべて入れるという、これまたすごいデザインになったのです。そのため、ダッシュボードは穴だらけでした。蓮の穴の写真が苦手な人には、背中がちょっとムズムズするかも……。
ちなみに予備スイッチの位置を確保する意味合いもあって、穴の中には「意味のない穴」までありました。イタリアン・モダン極まれり!
その5:タッチパネルにブラウン管! 時代の先端を行こうとした「アストンマーティン ラゴンダ」
ダッシュボードは時代の技術革新を映す鏡。かつては外観以上に「未来感」や「ハイテク感」を盛り込んでいたクルマも多く、それを演出する手段として「デジタルメーター」は外せない装備でした。国産車ではトヨタ ソアラが1981年に初採用。先進的なイメージで、クラスを超えて多くの車種に採用が進みました。
そのデジタルメーターをいち早く用いたのが、1976年発表、1978年に発売を開始した「アストンマーティン ラゴンダ」(2代目)です。
超高級サルーンとして誕生したラゴンダは、リトラクタブル・ヘッドライトを埋め込んだ極端に低いボンネットのみならず、高級4ドア車らしからぬ1300mmしかない全高、カクカクのスタイルという、それまでのアストンマーティンとはまったく違う未来的なクルマでした。
40年も早かった! 斬新過ぎるダッシュボードに未来を感じる
外観に負けじと、インテリアに用いられた技術も当時最先端。メーターはLEDにより、スピード、燃料、水温などを赤い数字で表示。さらにスイッチ類はプラスチックの立体物ではなく、タッチ式というアイデアを実現していたことは画期的でした。でもこれらの開発費用が車両の何倍もかかり、しかも発売開始まで時間を要した原因にもなったとのこと(涙)……量産モデルにグラスコクピットが搭載される現代からは、考えられませんよね。
しかもこの後がさらにスゴい。ラゴンダのメーターは1985年からなんと「ブラウン管」に!
つまり以前のTVモニターと同じ、アレです。ドライバー正面の3つの画面に、各種情報が映し出されるのですが、ウインカーやシフトインジケーターまですべて画面内表示なので、モニターが壊れたらいろいろと厄介なことに……。しかも新車の段階から「不安定」だったと言われていました。そのためか、1987年には早くも蛍光管式のLEDに置き換わっています。
なおタッチパネル式のスイッチも、メーターがブラウン管になった時に一般的なスイッチへと変更。時代の先端を行くアイデアでしたが、当時の技術が追いついていなかったのでした。残念!
[筆者:遠藤 イヅル]
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