ミラーレスは浸透するのか? 乗ってわかったカメラ式サイドミラーのホントの所
- 筆者: MOTA編集部 木村 剛大
- カメラマン:MOTA編集部
レクサスが世界初のデジタルアウターミラーを搭載してから今年で2年。国内外問わずそれを追うクルマは0といってもいいほどで、あまり盛り上がりを見せていない。ところが、ここに来てホンダeやアウディeトロンが相次いで採用したのだ。そこで、カメラ式のサイドミラーをレポート。果たしてカメラ同様、サイドミラーもミラーレスが加速するのか?
鏡の時代は終わり!? サイドミラーがカメラに
そもそも何の話かといえば、サイドミラーをこれまでの鏡ではなくカメラ方式にしたモノのこと。サイドミラーの位置にカメラを設置し、その映像を左右のモニターに映し出すという新世代のサイドミラーだ。既存の鏡を使ったタイプとは異なり、大雨や大雪の際にもクリアに見れるうえ、クルマの空力的にも有利とあって、大注目の新技術だ。
1990年代後半頃からモーターショーのコンセプトカーなどに装着されていたが、世界に先駆けて2018年にレクサス ESに装着されたのが新世代サイドミラーのはじまりだ。
実際、ESに装着されたデジタルアウターミラーは純正品ながら後付け感満載で、お世辞にも使い勝手のいいモノではなかったというのが正直なところ。というのも雨などの悪天候時には適しているが、夜はモニターがハレーションを起こし映像がかなり乱れたと記憶している。筆者は当時、「これならば既存の鏡の方が良いな」と思ったと記憶している。その後、マイナーチェンジによりカメラと映像処理が向上し、現在はかなりキレイな映像となってはいるが。
加えて、慣れの問題もあるだろうが、映し出すモニターが車内についているにも関わらず、後方確認をする際にどうしても“そこにないハズ”のサイドミラーを確認しまうといったコトも何度もあったほど。そんな経験から個人的にはサイドミラーのミラーレスは、かなり懐疑的な意見を持っていた。
鏡より使いやすい!? 慣れてしまえば問題なし
ところが、だ。今月末に発売予定のホンダeに乗るとその考えは一蹴されることとなる。
ホンダeの車内はご存知の通り、5つのモニターで構成されている。右からサイドミラー用、メーター、インフォテインメントが2つ、さらに1番端には左側のサイドミラーモニターといったイメージだ。左右のサイドミラー用モニターはレクサス ESのそれとは異なり、後付感もなく、スッキリとまとめられている。
視線移動の観点でみると設置位置も問題なし。肝心なのはその使い勝手だが、これが驚くほど自然に使えるモノであった。
今回の試乗は昼間であったが、高速のトンネルで夜間走行を想定してテストも行なった。個人的にはあたりが暗くなった際に、どのように映るか? が最大のキモであるからだ。
ESの初期モデルは画面がチラつき目が疲れるという印象を持っていたが、ホンダeは開発の際にその部分にこだわったそうで、夜でも昼間同様に難なく使えた。そう、既存の鏡を使ったサイドミラーよりも見やすいモノであった。
加えてバックギアに入れると、自動で左右の画角を下げるリバースモードも備わるなど、既存のミラーと変わらない使い勝手というもの魅力だ。
老眼でもイケるゾ
個人的にもう一つ気になるのが老眼の方でもしっかり使えるのか? という問題。というのは、サイドミラーがカメラ方式だと車内が夜でも明るくなるうえ「鏡とは違いピントを合わせるのに時間がかかってしまう」と、ベテラン自動車評論家の片岡英明さん(66歳)がかつて発言していたのを覚えていたからだ。
筆者は現在27歳のため、失礼ながら老眼を経験していないので、この気持ちはわかりかねるのだが、実際お客さんからもそんな声が届いているという。
ところがその片岡英明さんが、サイドミラーがカメラ方式のホンダeの購入を決めたというから驚いた。かつての発言から、「サイドミラーは大丈夫?」と問うと「カメラと映像処理技術の向上のため、ホンダeのサイドカメラは鏡並みに使えた」という。技術革新によって、これまでのネガを見事に払拭しているのだ。
おそらく今後ますます増えていくだろう、カメラタイプのサイドミラー。かつてフェンダーミラーからドアミラーに変わった際も、慣れるまで時間がかかったハズだ。これと同じような変革期が今訪れているのだ。
もしかすると「やっぱり鏡の方がイイ!」と結局ドアミラーに落ち着いてしまうコトも考えられなくはないが。
少しでも気になった人は是非試乗して試してほしい。こればっかりは実際に試さないとわからないと思うので。
【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】
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