あなたはどれだけ知っている? メーカー別、統一顔の名称

どこのメーカーのクルマかすぐにわかる“統一フェイス”とその愛称

街ゆくさまざまなクルマを生み出す自動車会社は、数え切れないほど存在しています。その中で、クルマに詳しくない人でも、どこのメーカーのクルマか分かることってありますよね。

代表例はBMWやメルセデス・ベンツが挙げられます。昨今はSUVやミニバンもラインナップする両メーカーですが、それでも「あ、BMWのクルマ」と判断できます。それは「統一フェイス」。BMWなら「キドニーグリル」と呼ばれる、周囲がメッキ処理された2分割グリルを、メルセデス・ベンツも逆台形のグリルを持っています。

そこで、今回はメーカーの車種イメージを明確にもつ「統一フェイス(ファミリーフェイスとも言います)」を採用しているメーカーの愛称についてお送りしたいと思います。統一フェイスの愛称、いくつご存知でしょうか?

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BMW:腎臓になぞらえた“キドニーグリル”

BMWといえば「キドニーグリル」。言うまでもなくヘッドライトの間にある2分割グリルですが、1933年の初採用から1980年代までは縦長でしたが、年々縦から横方向に広がり、さらにどんどん大きくなっています。ただ最新モデルでは、過去のモデルと違ってキドニーグリルを分割せずに繋げています。

グリルの脇のヘッドライトが円形なのも、BMWの統一フェイスの特徴と言えるでしょう。なおキドニーとは「腎臓」のこと。腎臓は2つありますので、それになぞらえたものと言われています。最新の大型SUV「X7」では、BMW史上最も成長したキドニーグリルの巨大さが話題になりました。

アウディ:巨大なヘキサゴングリル“シングルフレームグリル”

ドイツの自動車メーカー、アウディは、1967年以降、VWグループ傘下にあり、車種もVWと密接な関係にありますが、外観はVWとアウディは大きく異なっています。

アウディの統一フェイスは、現在セダン、SUVからスーパースポーツモデルまで、巨大ヘキサゴン(六角形)グリルにハの字型にカットされたヘッドライトを持っています。

現在のデザインに至るまでには幾度かの変遷を経ていますが、通常位置のグリルと、ナンバープレート下のグリルを一つに囲んだ「シングルフレームグリル」がその始まり。

その後シングルフレームグリルはヘキサゴングリルに進化し、さらに最新モデル「Q2」「Q8」などでは、オクタゴン(八角形)グリルも採用され始めています。それにしてもアウディのグリルも大きくなりました!

レクサス:スピンドルグリル

1989年から北米市場を中心に展開する、トヨタの高級車ブランド「レクサス」。高品質で高性能なクルマを送り出してきましたが、外観上の統一感や、高級車らしい押し出し、ブランディングには長年苦労を重ねていました。

そんな中、2012年の「GS」から、2個の台形のうち上側を反転して繋げたような「スピンドルグリル」が出始めました。現在では、顔の大部分をスピンドルグリルが占めるほどにまで拡大。スピンドルグリルは、紡績機の糸を巻き取る紡錘を意味しています。

一目見てレクサスとわかるようになり、メーカーの記号性を作り上げました。しかし、クセがあるデザインのため賛否両論あるのも事実。ブランディングの難しさを感じさせます。あなたの意見はどちらですか?

トヨタ:キーンルック

国内で高いシェアを誇るトヨタ。軽商用車、可愛い系からスポーツカーまであらゆるジャンルを取り揃えています。そうなると、クルマの顔がある程度クルマの性格を表してしまう以上、完全に全車を統一フェイスにするのは難しいことと思われます。

しかし海外では、統一フェイスによるブランディングは重要な戦略ですので、グローバル販売されるトヨタ車を中心に、「キーンルック」と呼ばれるデザインが2012年発売のオーリスより出現しました。

「キーン(Keen)」とは「鋭い」などの意味を持つため、鋭い目付きや鋭角的なデザインを持つフロントグリルの採用が進んでいます。個性は確かに際立っていますが、ブランディングを決める統一フェイスというには、さらに統一したイメージが欲しいところかもしれません。

日産:Vモーション

日産が近年積極的に採用しているのが、「Vモーション」。グリルの中に「V」(Uに見えなくもない)のカタチのパーツを配しています。

Vモーションの特徴は、例えば可愛らしい顔のマーチや、エキセントリックなジュークなど、デザイン言語の共通化による統一フェイスが困難な車種、あるいは軽自動車のデイズからGT-R、商用バンのキャラバンなど、ヘッドライトの形状や根本的なデザインが全く異なっているような場合も、Vパーツをグリルに光らせることで日産車のアイデンティティを与えることができます。

現状ではまだキューブ、シルフィ、フーガ、ティアナ、シーマ、フェアレディZ、NV100クリッパーなどではVモーションは見られませんが、最近マイナーチェンジを行なったスカイラインがVモーションを得たように、改良やモデルチェンジの際、統一フェイスに変わっていくのかもしれません。

マツダ:五角形(5ポイント)グリル

日本のメーカーで最もデザイン力があり、しかも半端ないこだわりを持っているのがマツダ。その根幹が「魂動デザイン」です。

細かな差異はあれど、デミオのマイナーチェンジで登場した「MAZDA2」、アクセラ後継の「MAZDA3」、アテンザ改名の「MAZDA6」、そしてSUVのCX−3、CX−5、CX−8を改めて見てみると、全体的に逆スラントしたフェイスに、大きな五角形グリルと切れ長の細いヘッドライトを持つ「統一フェイス」は徹底しています。

そしてこの五角形グリルを支えているのが、シグネチャーウィング(マツダのデザイン言語で、フロントグリルの下側から左右のヘッドランプへとつながる翼のようなフレームライン)です。五角形グリルとシグネチャーウィングを組み合わせることで、立体的で力強いフロントフェイスを表現しているのです。

確かにブランドイメージは見事に結実していますが、クルマの違いや車格がわかりにくい、という声もあります。ここまで統一感を出すには勇気が必要ですので、マツダが出した決断の今後に注目です。

三菱:ダイナミックシールド

近年、SUVラインナップの拡充を図っている三菱の統一フェイスといえば、「ダイナミックシールド」です。「クルマを守る機能」「タフさや信頼感を表す」デザインと、クルマの高い性能を表現したデザインを融合した統一フェイスがダイナミックシールドを形作っています。

現在ではeKクロス、RVR、エクリプスクロス、アウトランダー、デリカD:5など三菱が誇るSUVラインナップ各車がまとっている他、海外で発売しているピックアップ「トライトン」、MPV「エクスパンダー」、SUV「パジェロスポーツ」などもダイナミックシールドを採用、人気を博しています。

さすがに大胆でタフな印象が強すぎるのか、コンパクトカーの「ミラージュ」や、海外では生産が続く「ランサー」ではダイナミックシールドが使われていませんが、今後はどうなっていくのでしょうか!? 気になります。

統一フェイスはブランド戦略上で重要

このほか、ボルボ、プジョーなどでも、特に愛称は設けられていませんが統一フェイスを採用しています。統一フェイスはブランド戦略としてメーカーの個性を際立たせることができる反面、例えばメルセデス・ベンツのように、フェイス以外でもボディ全体のデザイン言語が共通しているような場合、C、E、Sクラスの各セダンが同じに見える……など個々のクルマの見分けを難しくしてしまうことも。エントリーモデルと上位車種の差別化がされない、車種ごとの個性が薄くなる、などの意見もあるようです。

しかし、統一フェイスによるブランディングによる認知度アップ効果は少なくなく、今後はさまざまなメーカーで、さらに採用が進むものと思われます。その際には新しい愛称が生まれるのかもしれません。

[筆者:遠藤 イヅル]

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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