MOTAトップ 記事・レポート 特集 自動車評論家コラム MTとAT、どっちが優れている? “モータージャーナリスト”に聞いてみた【後編】

自動車評論家コラム 2019/7/2 14:05

MTとAT、どっちが優れている? “モータージャーナリスト”に聞いてみた【後編】

トヨタ マークX “GRMN”[V6 3.5L/FR(後輪駆動)/6速MT]
トヨタGRシリーズ(TOYOTA GAZOO Racing:トヨタガズーレーシング チューニングモデル)トヨタGRシリーズ(TOYOTA GAZOO Racing:トヨタガズーレーシング チューニングモデル)トヨタGRシリーズ(TOYOTA GAZOO Racing:トヨタガズーレーシング チューニングモデル)トヨタGRシリーズ(TOYOTA GAZOO Racing:トヨタガズーレーシング チューニングモデル)画像ギャラリーはこちら

※文中の画像は全てイメージです

効率的なのはATだが“醍醐味”を味わえるのはMT

MTとATで、どちらがスポーティなトランスミッションなのか?

こと変速スピードや正確性に対しては、既にスポーツATの方がMTを上回っているという話を前半でした。

トヨタGRシリーズ(TOYOTA GAZOO Racing:トヨタガズーレーシング チューニングモデル)

しかしマニアの間では「MTの方が、断然クルマを操っている感じがするじゃないか!」という根強い声が今でも存在している。

クルマとの対話を大切にするのであれば、高回転までエンジンを引っ張ってその性能を引き出すことはひとつの喜び。そしてレーシングテクニックで言えば、コーナーの進入で「ヒール&トゥ※」がばっちり決まったときなどは、クルマ好きならたまらない瞬間である。

また全開走行に限らず、自分の好きなトルクレンジを維持して走ることもひとつの楽しさである。“自分で操っている感じ”が、クルマとのコミュニケーションとなるのだ。

※ヒール&トゥについて

トヨタGRシリーズ(TOYOTA GAZOO Racing:トヨタガズーレーシング チューニングモデル)

ヒール&トゥとはブレーキング時、同時にシフトダウンをして、いち速く次の加速体勢を作るテクニックだ。

具体的にはブレーキを右足のつま先から指の付け根くらい(トゥ)で踏み、左足でクラッチを切る。そしてギアを減速側に落とすとき、右足のかかと(や側面)を使ってアクセルをあおり、エンジン回転を下のギアの守備範囲に合わせる。

これによってシフトロックを防ぎ、車輌の挙動を安定させながらエンジン回転をパワーバンドに入れて置くことが可能となる。

“MT車オーナー”は稀有な存在

そんなMT論者を敢えて“マニア”と言ったのは、日本ではMTユーザーが極端な少数派になっているからだ。かくいう筆者も所有するクルマはすべてMT車なのだが、既にその比率は、2%を切っているという話もある。この割合はAT大国である北米よりも既に少ないのだという。

脱線ついでに言うと、ヨーロッパは日本よりもMTの比率が多い。これはMT車の方が価格が安いからだろう。もちろんクルマ好きの絶対数も日本よりは多いだろうが、「価格が高くなるくらいならMTでいいや。クラッチ操作も苦じゃないし!」というのがホンネだと思う。都市部の渋滞は年々ひどくなっているようだが、一方で伸びやかに走れる環境も揃っているからそのフラストレーションを相殺できるのだ。

こうして育った経験があるからこそ、ATも「セレスピード」や「DCT」というMTベースのソリューションになったのだと思われる。

つまり日本でATが圧倒的に普及したのは、その道路環境にある。

MTの存在意義はクルマと“対話”しているような感覚を味わえること

話をもどそう。

よって結論としては「燃費性能」や「効率化」、そしてスポーツギアとしての「機能性」を重視するならば、トランスミッションの選択としてはATに軍配が上がる。

最近は一部で「踏み間違え」や「老化防止」としてMTの選択を支持する話題が盛り上がっているけれど、「クルマとの対話」「コスト」という少ないポイントで、MTの存在意義があるだけだと言えよう。その結果は、前述した販売比率に表れている。

だからといって筆者は、MT車の存在を否定はしない。実際自分も所有しているわけであるし。バイクと同じく「機械を操っているんだ!」という充足感がMTにはあるし、目くじら立てずとも、心地良いリズムを作って走ることができるからだ。

全てのMT車が“気持ち良い操作性”を持っているわけではない

注意して欲しいのは全てのMTが、マニアやエンスージアストを満足させるものではないということだ。

たとえばポルシェ911の7速MTなどは、左ハンドルの場合7速目がやたらに遠い。トランスミッション自体もDCTの3軸式ケースを流用しているため、操作フィールはかつてのマニュアルトランスミッションほど良いとは思えない。それなのにMTが出ると希少価値が上がり、市場がざわつくのはどうかと思う。

BMWはかつてE36時代の318isやM3にMT仕様を用意していたが、シート位置やペダル配置に対してお世辞にもシフトノブの位置が適切であるとは言えなかった。たとえばスポーツシートに変更すると、さらにそのズレが大きくなって操作しにくいこともあった。

マツダ ロードスター(2代目/NB型)

ロードスターで言うとNB型で6速MTが登場したとき、その段数の多さには心を惹かれたが、その小さなミッションケースに沢山のギアを押し込んだ結果、操作性が悪化する場合があった。特に横Gが掛かったり、熱を持ったときの操作性は悪かったから、あえて1.6リッターの5速MTを手に入れるユーザーもいた。

現行NDロードスターは、こうした紆余曲折から現在の良好な操作性にたどり着いたとも言えるが。

つまりたとえMTだからといって、全てが気持ち良い操作性を持っているわけではない、ということを覚えておいて欲しいのだ。特にマン・マシンコミュニケーションの一環としてMTを選ぶというのなら、自分の感性にあったMTを持つクルマを選ぶべきである。

もしMT車を選ぶなら国産車だけでなく輸入車に目を向けるのもアリ

トヨタGRシリーズ(TOYOTA GAZOO Racing:トヨタガズーレーシング チューニングモデル)

その点で、確かに昔のスポーツカーたちはMTの操作性に開発照準を当てていたから、気持ち良いものが多い。そして現行モデルたちに置いては、トヨタ86やシビック タイプR、スイフト スポーツのように純粋なクルマたちを選べばよいと思う。

いわゆる一般的な乗用車だとMTの選択肢がグッと狭まるのは残念だが、スズキ アルトバンのようなクルマをトコトコと走らせるのは幸せなひとときだ。

またそういうときこそ、少ないながらも未だにMT車をラインナップする欧州の小型車に目を向けてみるのもいい。フィアット500やプジョー208、アップGTIなどに乗れば、クルマとの対話を存分に楽しむことができるだろう。

[筆者:山田 弘樹]

筆者: 山田 弘樹

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