中国で猛烈に進むEV化の流れに日本勢がおよび腰な理由【北京ショー2018】

日本の非常に厳しい状況とは比べ物にならない規模で進む中国の電動化技術

日本は世界に先駆けて市販電気自動車である三菱『i-MiEV』を発売した。さらに2010年に日産が『リーフ』を発売。日本は電気自動車技術世界でNo,1だったと思う。

しかし。リーフの発売から8年経っても、電気自動車が増えない。そればかりかPHVに代表される電動化技術の伸びだって停滞している。

今回北京モーターショーを見て愕然とした。どこのブースを見ても電気自動車ばかり!

日本の自動車メーカーで電気自動車を開発し、現在は中国の自動車メーカーのアドバイザーをしている知人によれば「間違いなく電池技術も制御技術も2010年の日本のレベルに達しています」。

モーター制御を含めた駆動系の完成度は日本で販売出来るレベル

限られた状況ながら中国の電気自動車のTOPブランドである『BYD』(世界最大の電池メーカーでもある)の市販電気自動車のハンドルを握って驚いた。車体の仕上がりにこそ課題は残っているけれど、モーター制御を含めた駆動系の完成度たるや、日本で販売出来るレベル。

考えてみたら新幹線の技術は日本などから導入したが、その後毎年の如く日本の新幹線の総延長に匹敵する4000kmくらい線路を延ばしてきた。あまり認識されていないけれど、中国には長い橋やトンネルが日本より多く、地盤の悪い地形だって普通。直近の線路施設技術は日本以上だ。

自動車ビジネスは非常に厳しい状況に追い込まれつつある

電動化技術&コストダウンも日本と比べものにならない規模で進んでいる。今回のショーに出展されていた車両を見ると、電池まで含め完全に追いつかれ、抜かされつつあるように思う。もし世界のトレンドが電動化車両になるなら、日本は相当規模のダメージを受けることだろう。

優れた電動化技術を持つトヨタや日産、ホンダですら、コスト競争力と規模に押され気味。アメリカや欧州などで電気自動車の販売義務など本格的に始まったら(アメリカは今年から始まった)、日本勢でなく中国勢が食い込んでいくことだろう。文頭に書いた通り日本は開発速度からして遅い。

なぜ日本勢が消極的なのだろう。理由は簡単だ。日本と中国の関係を見ると微妙。中国市場に投資したって、いつ出て行けと言われるか解らない。しかも日本から輸出すると関税で高額になり、現地生産するしかない状況。賢明に技術は全て吸い取られ、マネされてしまうだろう。

自動車ビジネスは非常に厳しい状況に追い込まれつつあるということを認識して頂ければ、と思う。

[Text&Photo:国沢 光宏]

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国沢 光宏
筆者国沢 光宏

1958年生まれ。ベストカーガイド編集部員を経て自動車評論家に。空気を全く読まず言いたいことを言い、書きたいことを書くので自動車メーカーから嫌われている。現在所有しているクルマは日産 リーフやトヨタ MIRAIなど多数。趣味はラリーに出場すること。人気のない(本人談)Webサイトを運営中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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