マツダ 新型CX-5の価格は310万円~? 発売時期や燃費なども予想
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:木村 博道/島村 栄二/堤 晋一/森山 良雄/茂呂 幸正
2026年に登場予定のマツダ 新型CX-5。発売から8年が経過した今もマツダの最量販車種として人気ですが、待望のフルモデルチェンジで大きく進化します。公表された最新情報では、人気のディーゼルが廃止されハイブリッド専用車になる見込みです。
当記事ではカーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが、新型CX-5の予想価格や日本での発売時期、パワーユニット、燃費を予想します。
マツダ CX-5とは?
マツダ CX-5は、手頃なサイズ感や洗練されたデザイン、優れた走行性能で人気の高いクロスオーバーSUV(街乗りからアウトドアまで幅広く使える、乗用車に近い乗り心地を持つSUVの一種)です。マツダのグローバル販売を支える主力車種の一つとなっています。
2012年に登場した初代CX-5は、マツダ独自のデザインテーマ「魂動(こどう)」デザインなどが採用された最初のモデルです。初代以来、近年のマツダ車を象徴するモデルと言えます。
全長4500~4700mm以下のミドルサイズSUVのカテゴリーに属し、ファミリー層から走りを楽しみたい層まで幅広いユーザーに支持されています。
新型CX-5の発売はいつ?
まず気になる発売時期ですが、マツダは日本国内での発売を2026年中とアナウンスしています。以前新型CX-5は2026年の初頭から春にかけて登場予定と記載していましたが、少し先送りされ、2026年の7月から11月ごろになりそうです。
そのために現行CX-5は、現時点ではフルモデルチェンジを控えた大幅な受注停止に至っていません。2025年10月には一部のグレードが廃止されましたが、クリーンディーゼルターボ搭載車には、装備を充実して価格アップを抑えた「XDドライブエディション」が追加されています。
そうなると少なくとも2026年7月ごろまでは、フルモデルチェンジはしないと思われます。
販売店に新型CX-5の発売時期などを尋ねると「詳細は不明です。現時点では現行CX-5のガソリンエンジン車もディーゼル車も、注文を入れられます」と返答されました。
したがって現行CX-5の購入を考えている方は、今は慌てる必要はありません。しかし、2026年4月以降になると、フルモデルチェンジを控えて現行モデルの受注の停止が始まる可能性があることを頭に入れておきましょう。
新型CX-5の外観デザイン
新型CX-5の外観デザインは、以前に比べてメッキの使用を控えています。開発者に理由を尋ねると「今はメッキがオヤジ臭く感じられるため」と返答されました。シンプルでスッキリしたデザインです。
新型CX-5のフロントウィンドウは、現行モデルと同様に角度を比較的立てています。そのために斜め前方の視界は良好です。ボディの側面も、現行モデル以上に水平基調となっているため、斜め後方も見やすく感じられます。
ボンネットの角度は、現行モデルに比べて前方に向けた傾斜を抑えたので、ドライバーから見える範囲が広がります。左右のフェンダーの盛り上がりも視野に入るため、ボディの先端位置と車幅が分かりやすいです。
新型CX-5のボディサイズ
新型CX-5のボディサイズは全長4690mm、全幅1860mm、全高1695mm、ホイールベース2815mmです。
現行CX-5のボディサイズは全長4575mm、全幅1845mm、全高1690mm、ホイールベース2700mmです。新型CX-5は現行モデルに比べて115mm長く、15mmワイドで、5mm低いです。全幅と全高は現行モデルと大差ありませんが、全長の拡大は注目されます。
また、ホイールベースは全長と同じく115mm長くなります。
つまり全長の拡大分は、すべてホイールベースに費やされ、前後のオーバーハング(ボディがホイールから前後方向に張り出した部分)は現行モデルと同じです。
クルマの居住空間は、前後輪の間に位置するため、オーバーハングを変えずにホイールベースを伸ばすと居住空間の拡大と走行安定性の向上に貢献します。
さらに、ホイールベースの拡大は、車体の前後方向への揺れを抑え、走行安定性を向上させます。これにより、従来のようにサスペンションの減衰力を高めて姿勢変化を無理に抑え込む必要性が薄れます。
その結果、乗り心地を重視したしなやかに動く足回りに設定できます。CX-60などで指摘された「乗り心地の硬さ」や「路面からの突き上げ感」を解消し、フラットで上質な走りへと刷新されることが大いに期待できるでしょう。
| 車種 | 全長 (mm) | 全幅 (mm) | 全高 (mm) | ホイールベース (mm) |
|---|---|---|---|---|
| 新型CX-5 | 4690 | 1860 | 1695 | 2815 |
| 現行CX-5 | 4575 | 1845 | 1690 | 2700 |
| CX-60 | 4740 | 1890 | 1685 | 2870 |
新型CX-5の内装と室内空間
新型CX-5の内装は、上級モデルであるCX-60のデザインや質感が参考にされ、より上質な空間となりました。
現行CX-5で定評のあった使い勝手の良さは、新型でさらに進化しています。
360度ビューモニターやGoogle搭載の15.6インチ大型画面も採用
快適性や使い勝手を高める装備としては、Googleの搭載があります。通信機能の併用で、常に最新の情報を表示するGoogleマップが使いやすいです。音声でカーナビやエアコンなどを操作できるGoogleアシスタントも採用されています。 また、Google Playを使うことで、各種のアプリケーションを追加することも可能です。
インパネの中央には、ノートパソコンを思わせる15.6インチの大型液晶タッチパネルもグレードに応じて装着され、視認性と使い勝手が優れています。モニター画面は大型ですが、前方視界を妨げないように配慮して装着されています。
新型CX-5に搭載される先進技術では、安全性を向上させる360度ビューモニターも進化しています。死角を補うモニターの画像を記憶しておき、車両下側の路面状況を疑似的に表示する機能も加わります。
この機能は、悪路や段差のある場所を通行する時に便利であるため、トヨタ ランドクルーザーのような悪路向けのSUVでは積極的に採用されています。
後席足元は+64mm! 居住性と使い勝手も大幅向上
新型CX-5ではホイールベースの拡大により、室内空間も大幅に広がりました。
新型CX-5の後席の足元空間は、現行モデルに比べて64mm拡大されます。 身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は、現行モデルでは握りこぶし2つ分ですが、新型CX-5は2つ半以上に広がります。後席の頭上空間も現行モデルに比べて29mm余裕が生まれ、握りこぶし1つ半が収まります。
後席は頭上や足元空間の広さに加えて、床面の形状も見直され、足を置きやすいです。後席の快適性は大幅に向上して、全長が4700mmを超えるLサイズSUVと同程度に達しました。
また新型CX-5の後席のドアの開口幅も、ホイールベースの拡大により70mm広がり、乗り降りがしやすいです。ドアの開口角度も80度と大きいです。 現行CX-5では、後席の足元に前席のスライドレールが露出して、足が引っ掛かる心配がありました。そこも新型CX-5では対策されています。後席に座る同乗者がサンダルを履いている時でも安心です。 現行CX-5の後席は、全長が4500〜4700mmのミドルサイズSUVの平均水準ですが、新型CX-5は広くなって乗降性も優れた部類に入ります。
新型CX-5の前席は、着座位置の基本となる高さを現行モデルに比べて48mm低く抑えました。現行モデルではユーザーによってはペダルを高い位置から踏み降ろす感覚になりましたが、新型CX-5では運転姿勢が最適化されます。
全長の拡大に伴って、新型CX-5では荷室長も現行モデルに比べて45mm伸びました。ベビーカーが縦向きにスッポリと入るので、収納性が向上しています。 路面から荷室開口部の下端までの高さは18mm下がり、重い荷物を積む時に、高い位置まで持ち上げる必要性も多少は薄れました。 以上のように新型CX-5は、日常的な快適性や使い勝手の向上に重点を置いています。
新型CX-5のシートの座り心地は、前後席ともに快適です。日本車のなかでは少し硬く感じますが、背中から大腿部まで、しっかりとサポートします。特に骨盤の支え方が優れているため、長距離を移動する時も疲れにくいです。 また峠道などを走る時には着座姿勢が乱れにくいため、正確な運転操作が行えるでしょう。
新型CX-5のパワーユニット予想
新型CX-5で最も注目されるのがパワーユニットです。日本仕様における現行CX-5と新型CX-5(予想)のパワーユニットの変更を表でまとめました。
| 種類 | 現行CX-5 | 新型CX-5(予想) |
|---|---|---|
クリーンディーゼル | スカイアクティブD 2.2 | 廃止 |
ガソリン | スカイアクティブG 2.0 | e-スカイアクティブ G 2.5 |
スカイアクティブG 2.5 | ||
ストロングハイブリッド | なし | スカイアクティブZ 2.5(2027年登場) |
新型CX-5の最大の変更点が、パワーユニットの刷新です。現行モデルで絶大な人気を誇った2.2Lクリーンディーゼルターボ「スカイアクティブD 2.2」が廃止され、ガソリンエンジンのハイブリッド車となる見込みです。
4.0Lガソリンエンジン並みの力強い走りと、ハイブリッド車に匹敵するほどの経済性を両立していたディーゼルエンジンがなくなることは、多くのファンにとって大きな決断を迫るポイントとなりそうです。
開発者によると「廃止する直接の理由は排出ガス規制」とのことです。
日本ではディーゼルが人気でも、CX-5の販売総数の70%を占める北米仕様には、ディーゼルがありません。
CX-5の世界販売台数に占める国内比率は約10%なので、多額の開発コストが必要なディーゼルエンジンの刷新は見送られました。
今後、マツダのディーゼルは、CX-60とCX-80に搭載される設計の新しい直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボのみになります。
まずは新設定「e-SKYACTIV G 2.5(マイルドハイブリッド)」から登場
新型CX-5に新たに搭載されるのは、2.5Lガソリンエンジンに小型モーターとバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッドシステム「e-スカイアクティブ G 2.5」です。
詳細なデータは不明ですが、現行モデルの最高出力190馬力(6000回転)、最大トルク25.7kg-m(4000回転)に近いでしょう。モーターが発進や加速を滑らかにアシストし、燃費性能の向上が期待されます。
ストロングハイブリッドモデルが追加される可能性も
さらに、2027年には、モーターのみでのEV走行も可能な強力なモーターとバッテリーが搭載されたストロングハイブリッドモデル(いわゆる通常のハイブリッド)の追加も計画されています。
新たに採用されるのは2.5Lのハイブリッドエンジン「スカイアクティブZ」で、低燃費と十分なパワーを両立させることが期待されています。
スカイアクティブZは、MAZDA3などに搭載されていた「スカイアクティブX」で培われた希薄燃焼技術※を進化させ、EGR(排出ガスを燃焼室に再循環させる機能)を積極的に活用した新しいエンジンです。
また、スカイアクティブXで課題となったコスト面も機能をシンプルにすることで改善し、ストロングハイブリッド搭載による価格上昇を抑える狙いもあるようです。
※希薄燃焼技術 (リーンバーン):通常より薄い混合気で燃焼させる技術。
新型CX-5の燃費予想
新型CX-5の燃費は、ストロングハイブリッドで22.0km/L前後、マイルドハイブリッドで15.0km/L前後と予想されます。
現行CX-5と新型CX-5(予想)のパワーユニットごとの燃費を一覧でまとめました。
| モデル | パワーユニット | 燃費 (WLTCモード) |
|---|---|---|
現行CX-5 | ディーゼル (XD) | 16.6〜17.4km/L |
ガソリン (20S) | 14.0〜14.6km/L | |
ガソリン (25S) | 13.0〜13.8km/L | |
新型CX-5 | マイルドハイブリッド | 約15.0km/L (予想) |
ストロングハイブリッド | 約22.0km/L (予想) |
新型CX-5のストロングハイブリッドモデルの燃費性能は、WLTCモード燃費で22.0km/L前後を目指すと考えられます。ライバルであるトヨタ ハリアー 2.5Lハイブリッド(WLTCモード燃費22.3km/L)を意識し、それを近い燃費を狙うでしょう。
現行CX-5のディーゼルモデル(2WD)はWLTCモード燃費17.4km/Lで、燃料の軽油が比較的安価なこともあり、優れたランニングコストを実現しています。
仮にガソリン価格170円/L、軽油価格150円/Lで計算すると、ディーゼルの1kmあたりの燃料コストは約8.6円。これはレギュラーガソリン車に換算するとWLTCモード燃費約19.8km/Lに相当します。
| 対象モデル | 現行CX-5 ディーゼル (2WD) |
|---|---|
| WLTCモード燃費 | 17.4km/L |
| 燃料価格 | 軽油:150円/L |
| 1kmあたりの燃料コスト (ディーゼル) | 約8.6円 |
| ガソリン車の燃費換算値 | 約19.8km/L |
ユーザー視点では、ディーゼルの経済性を代替するストロングハイブリッドには、このディーゼルの経済性に匹敵するか、それを上回る燃費性能が期待されるでしょう。
WLTCモードで20.0km/Lを超えることはもちろん、ライバルとの競争力を考慮すると22.0km/Lレベルの達成が商品力として求められるところです。
また、マイルドハイブリッドは、2.5Lと排気量が大きくなるにも関わらず、現行モデルの2.0Lガソリン車(WLTCモード燃費 14.0〜14.6km/L)を上回る燃費を目指すでしょう。約15.0km/Lと予想されます。
新型CX-5の予想価格
新型CX-5の予想価格は310万円からとなる見込みです。
グレード設定は未定ですが、パワーユニットの変更などを考慮すると、現行CX-5(281万500円〜422万5100円)よりは価格が上昇すると考えられます。
新型CX-5の予想価格一覧(2WDの場合)
| グレード | マイルドハイブリッド | ストロングハイブリッド |
|---|---|---|
| エントリー | 310万円程度 | 380万円程度 |
| 中級 | 350万円程度 | 430万円程度 |
| 上級 | 420万円程度 | 480万円程度 |
4WDは23〜25万円高と予想されます。
新型CX-5の2.5Lマイルドハイブリッドを搭載するエントリーグレードは、310万円程度からのスタートと予想されます。
これは、ライバル車であるハリアーの2.0Lノーマルガソリンエンジンを搭載する最も安価な「Sグレード」(312万8000円)に近い価格設定です。
発売当初に登場するマイルドハイブリッド搭載車の価格は、現行モデルの人気ディーゼル車に設定される「XD ブラックセレクション」(345万9500円)と同等の価格帯に設定される可能性が高いでしょう。
ストロングハイブリッドの予想価格は380万円以上! ハリアーと真っ向勝負に
2027年に追加される予定のストロングハイブリッドモデルは、380万円以上からのスタートとなり、主力の中級グレードは430万円程度となる可能性が高いです。
一般的なハイブリッドシステムの価格差を考慮すると、新型CX-5のマイルドハイブリッド仕様から50万円ほど高くなりそうです。
そうなると新型CX-5の売れ筋となる中級グレードが設定される価格帯は、2.5Lマイルドハイブリッドが350万円前後、ストロングハイブリッドが430万円前後になると考えられます。
参考までに、ハリアーのハイブリッドモデルの中級グレードの「G」は411万9000円です。
これまでのCX-5は「高性能なディーゼルを割安に」という独自の強みがありましたが、新型はスバル フォレスターやホンダ ZR-Vといった他社の人気SUVと、価格面で真っ向から競合することになります。
一方で、人気のディーゼルが廃止されるため、力強い走りと経済性を求めるなら現行モデルの購入も賢い選択です。詳しくは以下の記事で解説しています。
専門家による採点と評価まとめ
専門家として新型CX-5を採点し、長所と短所をまとめました。購入を検討する際の参考にしてください。
| 外観 | 4.0 | ★★★★☆ |
|---|---|---|
| 内装・居住性 | 5.0 | ★★★★★ |
| 走行性能 | 4.0 | ★★★★☆ |
| 運転のしやすさ | 3.0 | ★★★☆☆ |
| 乗り心地 | 4.0 | ★★★★☆ |
| 燃費 | 3.0 | ★★★☆☆ |
| 価格の割安度 | 3.0 | ★★★☆☆ |
〇新型CX-5の良い点
・全長とホイールベースを115mm拡大して居住性と積載性が向上
・内外装が上質で先進的な通信機能などが進化
・乗り心地が向上して、街中から高速道路まで快適に移動できる
×新型CX-5の気になる点
・高い動力性能と低燃費で人気の高いクリーンディーゼルターボが廃止
・全長が4600mmを超えるため、街中や駐車場での運転感覚に注意
・現行モデルのガソリンエンジン搭載車に比べると価格が割高
まとめ
新型CX-5にはハイブリッドシステムが採用され、モーターアシストによる滑らかな走行やさらなる燃費向上といった新しい価値が提供されるでしょう。
しかし、新型CX-5でクリーンディーゼルターボが廃止される見込みであることは、ディーゼルモデルのファンにとって少し寂しいニュースかもしれません。
現行CX-5のディーゼルモデルは、日常的な使用における力強い加速フィーリングと優れた経済性で、今なお多くのドライバーに支持されています。熟成が進み価格も手頃になっているため、特に力強い走りやコストパフォーマンスを重視するなら、現行モデルを選ぶことも魅力的な選択肢です。
こうしたディーゼル車への根強いニーズに応えるため、マツダは2025年10月に装備を充実させた「XDドライブエディション」を追加しています。 ディーゼルモデルが欲しい場合は、なるべく早めに注文した方が良いでしょう。
また販売店では「新型になると値引きはほとんど不可能ですが、現行モデルなら頑張れます」とのことです。おそらくディーラーオプションのサービス装着なども含めると、現行モデルであれば30万円前後の値引きは十分に可能でしょう。
CX-5の購入を検討している方は、新型に関する情報をできるだけ早く入手し、現行モデルと比較検討することをおすすめします。ご自身の使い方や予算に合わせて、最適な一台を選びましょう。
【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:木村 博道/島村 栄二/堤 晋一/森山 良雄/茂呂 幸正】
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