巨大ボディの新型Sクラスは意外と小回り性能バツグン!? 注目のARナビと個人認証機能を1日試してみた(1/2)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:茂呂 幸正
メルセデス・ベンツのフラッグシップセダンのSクラスがフルモデルチェンジを果たした。最高級モデルとあって1日中試乗してもすべての機能を試せないほどの内容であったのだが、注目はAR技術を駆使したナビと指紋や暗証番号を入力する個人認証機能など、まるで映画の世界と言いたくなるほど夢にまでみた機能が実用化されているのだ。今回は走りの良さではなく、これらの新機能を徹底的にテスト。新型Sクラスはどんな世界を体感できるのか!?
売れ筋はコンパクト&SUVながら最高級セダンSクラスは次元の違うデキ
最近の都内では、メルセデス・ベンツと言えばヘビーデューティユースのGクラスとコンパクトのAクラスやBクラス、それらのSUV版であるGLAやGLBを眼にすることが多くなってきた。
けれども、依然としてブランドを代表するのはSクラスだろう。大型でVIPを後席に乗せることの多いSクラスが周囲に放つ威厳のようなものは新型も変わらない。
全車4WDモデルに! 空力性能アップの装備も充実
しかし、中身は新機能と進化がたくさん盛り込まれている。近付いてみると、ボディに埋め込まれたドアハンドルがスッと飛び出してきたのには驚かされた。テスラのモデルSのようだ。
空力特性と言えば、ボディ各部のチリの詰めもさらに進んでいて、表面は非常に滑らかだ。それを表すCd(空気抵抗係数)値は0.22と量産車最高の水準を達成している。
日本仕様で用意されるのは、ガソリンエンジンのS500 4MATICとディーゼルのS400d 4MATICに、それぞれのロングホイールベース版で、合計4モデル。車名の通り、Sクラスはすべて4輪駆動となった。
意外と小回り性能抜群! 後輪操舵で狭い道も楽チン
そのS500 4MATIC ロング(以下、S500)で出発する際に、いきなり新型の恩恵を賜ることになった。
都心のホテル地下駐車場からS500を出す際に、駐車場の壁や隣のクルマ、向かいのクルマなどに用心しながら出そうとしたら、思いの外スンナリと通路に出ることができたのである。標準装備されることになった4WS(4輪操舵)の効能だ。
時速60キロまでは、後輪は前輪と逆方向(逆位相)に最大4.5度切れ、時速60キロを超えると同じ方向(同位相)に最大3.0度切れて、コーナリングの安定性向上に寄与する。
これはSクラスだけの装備ではなく、世界的な流行でもある。近年ではベントレーのフライングスパーやスーパーカーのランボルギーニ・アヴェンタドールなどにも採用されている。
新型Sクラスは全長5180mm(ロングは5290mm)x全幅1920mmx全高1505mmにもなる大きさなので、この4WSはありがたい。オーナーとなって毎日運転する人には、そのありがたみを噛み締めることだろう。
個人認証設定で自分好みのセッティングに
新型Sクラスには世界初やメルセデス・ベンツ初採用の機能と装備がとても多い、と前述した。
生体認証が可能になったのには、個人的にとても惹かれた。メーターパネル内のカメラでは顔を、センターのディプレイパネルでは指紋を、音声では声、画面からはPINコードなどを使って事前に登録しておいたユーザーを認証し、各種の車両設定を呼び出し、自分好みの設定で走り出すことができる。セキュリテイ上も効果が高いだろう。
設定が可能なのは、シート、ステアリング、ドアミラーのポジション、メーターパネルディスプレイの表示スタイル、スマートフォンのペアリング、ナビゲーションのお気に入り設定など。
筆者は、数年前から、こうした生体認証による車両設定を強く望んでいた。それが実現したので、今後は他のクルマにも早く広がって欲しい。
多機能&高機能化する現代のクルマでは必須の機能ではないかと考えていたのである。家電製品や家具などでは生体認証は実用化されているわけなのだから、クルマでできないわけがないと思っていたら、やはりメルセデス・ベンツが実現してくれた。
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