"四角いボルボ"を日本法人が完全再生|あの頃のまんまなクラシックボルボに試乗(1/3)

“安全”を最優先するボルボの設計思想は1926年から不変

世界中で売り上げ好調のミドルクラスSUV、XC60及びコンパクトSUVのXC40で「2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー」と「2018-2019日本カー・オブ・ザ・イヤー」を連続受賞したボルボ。

日本で輸入車がカー・オブ・ザ・イヤーを獲得することも驚きながら、2年連続というのも過去例がない快挙だ。

そして2018年9月に日本市場で発売された新型V60も、好評を持って受け入れられている。

最近のボルボが好調な理由は、見て、触れて、乗ると一瞬でわかる。内外装の洗練されたデザインは言うまでもなく、高い安全性、高品質により、「いいクルマを買ったなあ」と思わせる魅力に溢れているのだ。

>>あの頃のボルボ車が“新車”並みにキレイ!? クラシックボルボの内外装を画像で見る

「高い安全性、高品質」はボルボ最初のクルマ“ヤコブ”から始まっていた

「高い安全性、高品質」というボルボの特長は、最近になって身についたものではない。“高品質であるべき”という考えはなんと、ボルボ最初のクルマの一つとして記録される「ヤコブ」がすでに、「高品質と耐久性」を設計に盛り込んでいた。

また、ボルボ最初の量産車となった「OV4(Oppen Vagn=オープン車)」と「PV4(person Vagn=乗用車)」でも、品質基準が高すぎて赤字になったといわれるエピソードがあるほど。

その後も1944年にはフロントガラスの「合わせガラス」を発表、また1959年には世界初の3点式シートベルトを備えた「PV544」を発売。さらに1982年にはABSを開発するなど“セーフティ”に関する装備を次々と装着。高品質と高い安全性は現在もボルボの設計理念として受け継がれている。

クラシックボルボを後世に残すべく開設されたクラシックガレージとは

このように、ボルボは昔から頑丈で安全、高品質なモデルを生み出してきた。無骨さと北欧デザインが融合した240(200系)は、今の日本でも人気が高いのはご存知の通りである。

また、古き良きボルボを長年にわたり大事に乗り続けている人も多い。

しかし、これら車名が3桁の時代のクルマたちは、販売が終わってから早くも20数年以上が経ち、各部の経年劣化は避けられない状態になっている。

“あの頃”のボルボ車を再生

そこで新しいものばかりでなくヘリテージも大切に考えた結果、ボルボ・カー・ジャパンは、2016年に直営でクラシックガレージ(KLASSISK GARAGE)」をボルボ東名横浜内に開設した。ちなみに日本法人の社長である木村氏も、レストアした1971年式P1800のオーナーである。

クラシックボルボを後世に残すべく、ボルボの扱いに長けた専属のマルチ・スキル・テクニシャン(MST)がエンジン整備、ボディペイント、一般修理、定期点検、車検等を実施。2017年からは再生した商品車の販売も行っている。

2018年までの入庫台数は214台にのぼり、再生車の販売も13台の実績を持つ。入庫状況は好調で、数ヵ月先までは予約がいっぱいだという。対象は100系“アマゾン”や200系、四角いボディが特徴の700/900系、最後の3桁ボルボ、850である。

>>1950年代設計、1970年式のアマゾンに乗って、耐久性の高さを実感![次ページへ続く]

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

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