ダイハツ新型ミライース試乗レポート|”第3のエコカー”が提案する軽自動車の新たな価値とは

ダイハツ新型ミライース試乗レポート|”第3のエコカー”が提案する軽自動車の新たな価値とは
ダイハツ 新型ミライース[2017年5月フルモデルチェンジ] 試乗レポート/渡辺陽一郎 ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎 ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎 ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎 ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎 ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎 ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎 ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎 ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎 ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎 ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎 画像ギャラリーはこちら

プロが評価する新型ミライース!試乗で判る軽自動車の本質とは!?

ダイハツが軽自動車ミライースをフルモデルチェンジした。初代はハイブリッドやEVに次ぐ”第3のエコカー”と銘打ち2011年に登場。低価格に加え、ライバルのスズキ アルト(アルトエコ)とのし烈な低燃費競争を繰り広げ話題を呼んだ。2017年5月に誕生した2代目モデルは徹底したダイエットで80kgの軽量化を実施。走行抵抗の低減などと相まって35.2km/Lの低燃費を実現させながら、走りの質感も高めたという。

自動車評論家の渡辺陽一郎さんが、生まれ変わった新型ミライースを早速試乗。プロだから判るミライースの真の姿と、お買い得グレードを徹底評価!

軽自動車の本質を突く新型ミライースに試乗

ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎

軽自動車の一番の魅力は、今も昔も経済性だろう。価格が安く燃費も優れ、税額は低く抑えられている。今の背の高い軽自動車は価格も全般的に上昇したが、充実したシートアレンジや装備内容を考えれば、依然として割安だ。

その意味で軽自動車の本質を突いているのがダイハツ ミライースだ。低燃費/低価格/税額の安さと、軽自動車ならではの魅力がすべてがそろう。2017年5月9日に2代目にフルモデルチェンジされたので、早速試乗した。

なお車両の詳細については、すでに掲載されている『新型ミライース最新情報』をご覧いただきたい。

実燃費を向上を目指した新型ミライース、動力性能は十分か

ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎
ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎

まず新型ミライースの動力性能だが、軽自動車として満足できる水準に達している。自然吸気エンジンのみでターボは用意されないが、車両重量は650~670kgだから先代型に比べると60~80kg軽い。CVT(無段変速AT)の制御も見直され、先代型に比べると緩慢な印象を抑えて自然な加速感を得ている。

特にそれを感じるのが2車線道路などで信号待ちをした後、時速50~60キロまで発進加速する時だ。アクセルペダルを若干深く踏み込んだ時の反応が、先代型に比べると機敏になった。

峠道や高速道路の登坂路でフルスロットルに近い状態にすると、エンジン回転が先行して上昇し、その後に速度が高まるCVTの特性が生じる。中途半端にアクセルペダルを閉じたり踏み込んだりした時も同様だが、直線的に加速して巡航する走り方をした時の違和感は薄れた。

それでも最高出力が49馬力(6800回転)、最大トルクが5.8kg-m(5200回転)だから、高回転指向であることは否めない。エンジン回転計は装着されていないが、フルスロットルで加速すると、5000回転前後から速度上昇が活発化する。仮に5.8kg-mの最大トルクが4000回転前後で発生すれば、実用回転域で大幅に使いやすくなるだろう。

ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎
ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎

ちなみに今でも乗用タイプの5速MTとバン仕様の5速MT/CVTを生産しているクラシックな”ミラ”(2006年12月発売)は、58馬力/7200回転・6.6kg/4000回転で、運転感覚も新型ミライースと比べて明らかに優れている。巡航中に坂道に差し掛かった時のアクセルペダルの踏み込み量も少なく、滑らかに加速できる。運転感覚としても楽しい。

ダイハツの開発者も「(クラシック)ミラのエンジンは確かにパワフルで走りが優れています」という。JC08モード燃費はミラの乗用5速MTが24.2km/L、新型ミライースは35.2km/Lだから、燃費数値は145%に向上したが、低燃費の代わりに失われた機能も小さくはない。

それでも低燃費によって失われた走りを多少なりとも取り戻そうとしているのが、新型ミライースといえるだろう。

先代型に比べると60~80kgの軽量化を行いながら、JC08モード燃費は新開発された13インチタイヤを装着するBとL(SA IIIを含む)が先代型と同じ35.2km/L。先代型から流用された14インチタイヤを履いた上級のG・SA IIIとX・SA IIIは34.2km/Lに悪化した。前述のように加速感を自然な印象に改善したからだ。

新型ミライース開発者は「先代ミライースが発売された2011年から2013年頃には、燃費数値に対する関心がきわめて高かった。それが今では安全/走り/質感を重視する傾向が強まり、新型ミライースも燃費数値をあえて追求しなかった」という。

14インチと13インチ、グレードによって異なるタイヤサイズがもたらす走りへの影響とは

ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎
ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎

エンジンノイズは、CVTのプラネタリーギアが発する「ヒューン」という高音、アイドリングストップ後の再始動音が少し耳障りだが、おおむね軽自動車の平均水準に収まる。

走行安定性は先代型に比べると向上しており、背が低いこともあって軽自動車の中でも優れた部類に入る。プラットフォームは現行ムーヴから採用が開始された「Dモノコック構造」だが、現在開発中のDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の考え方に基づくボディ構造を先取りしている面もある。ボディが軽量化され、ルーフパネルの薄型化によって低重心化されたことも走行安定性を高めた。

カーブを曲がったり車線変更をする時には軽快感が伴い、軽自動車の中では車両の向きを変えやすい。後輪の接地性もおおむね満足できる。スタビライザー(ボディの傾き方を制御する棒状のパーツ)が装着されないため、ボディの傾き方は相応に拡大するが、挙動の変化が滑らかだからドライバーや乗員を不安な気分にさせにくい。

試乗車が装着していたタイヤは、両方ともにダンロップ・エナセーブEC300プラスで、指定空気圧は前後輪ともに260kPaだ。ただし新開発の13インチタイヤ(155/70R13)を履いたBとL(SA IIIを含む)、先代型から流用した14インチ(155/65R14)のX・SA IIIとG・SA IIIでは、足まわりの設定を変えている。

ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎

基本的な挙動は前述のとおりだが、14インチはショックアブソーバーのシリンダーを少し大径化して、大きな入力が生じた時の減衰力を大きく高める超飽和バルブも採用した。

これらの相乗効果により、14インチタイヤ装着車は、操舵に対する反応の仕方が13インチに比べると少し機敏だ。13インチは反応の仕方が若干緩慢だが、14インチなら違和感がない。通常の市街地走行ではあまり違いを感じないが、曲がりくねった峠道などは14インチの方が走りやすい。

スポーティに走るクルマではないが、やや速度を高めて曲がった時も14インチタイヤは歪み方が小さく、車両を内側に向けやすい。新たに設定された13インチタイヤのコンセプトが、低燃費指向であることも影響した(そのためにJC08モード燃費も14インチの34.2km/Lに対して13インチは35.2km/Lになる)。

新型ミライースで買うべきグレードはこれだ!評論家・渡辺陽一郎のおススメポイント

ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎
ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎

乗り心地は両車ともに少し硬めだ。転がり抵抗を抑えたタイヤで、指定空気圧が前後輪ともに260kPaと高めになることも影響した。

その上で比較すると、13インチは空気の充填量も多く14インチに比べて当たりが少し柔らかい。14インチは先代型に比べると角が丸くなったが、路面のデコボコを伝えやすい。

その半面、14インチタイヤ装着車には適度な引き締まり感があり、大きな路面のウネリを乗り越えた時の収まりも良い。走行安定性も含めると、13インチタイヤ装着車は市街地向け、14インチは高速道路までカバーしている。

従って13/14インチタイヤ装着車を乗り比べて判断する手もあるが、多くのユーザーが購入するのは14インチタイヤを備えたX・SA IIIだろう(販売比率は40%とのこと)。2個のカメラを使って緊急自動ブレーキを作動させ、ボディの四隅に音波センサーも備えたスマートアシストIII、LEDヘッドランプ、電動格納式ドアミラーなどを標準装着して価格を108万円に抑えたからだ。13インチタイヤのL・SA IIIは93万9600円だが、電動格納式ドアミラーが装着されずヘッドランプもハロゲンになる。

今後、L・SA IIIに実用装備と装飾を加えて価格を100万円以下に抑えた特別仕様車が設定される可能性もあるが、今のところはX・SA IIIが最も購入しやすいグレードだ。

予算に余裕がある場合はG・SA IIIも考えたい。安全性に影響を与えるサイドエアバッグ/チルトステアリング/運転席シートリフターを備え、キーフリーシステムとプッシュボタンスタート、エアコンのオート機能、アルミホイールなどを加えて価格は120万9600円となる。X・SA IIIに比べて12万9600円の価格アップだが、16万円相当の装備を加えてこれも買い得だ。

>>ダイハツ ミライースの詳細な情報はこちら

新型ミライースは、低価格ながらも内装の質感も相応の水準

ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎
ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎

居住性にも触れておこう。低価格車でありながら、内装の質感も相応の水準に保たれている。デジタルメーターの視認性も良く、左端のスイッチにも手が届きやすい。

前席は新型になってヘッドレストを一体化したローコストなハイバックシートに変わったが、背もたれは腰の周辺を適度に包んで肩まわりのサポート性も向上した。体重の加わる座面の後方をもう少し入念に造り込むと良いが、前席の座り心地は満足できる。

後席は座面の柔軟性が乏しく、奥行寸法も短く感じる。しかも座面の前端が硬めだから、座り心地がいま一歩だ。もう少ししなやかさが欲しい。

それでも身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ少々の余裕がある。前席の下に足が収まりやすく、頭上にも握りコブシ1つ分の空間を設けたから、短距離移動であればファミリーカーとしても使えるだろう。それだけに座り心地を向上させれば、ムーヴやタントを買わずに済む(それでは困るから差を付けたのか?)。

荷室の容量は後席の足元を広げたために最小限度だが、後席の背もたれを倒すと(分割可倒ではないが)、床面積を拡大できる。

また新型になってインパネの左右にカップホルダー、手前にはトレイも装着して使い勝手を向上させた。

気になる新型ミライースの納期・値引きは!?

ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎
ダイハツ 新型ミライース[2017年5月フルモデルチェンジ] 試乗レポート/渡辺陽一郎ダイハツ 新型ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎

なおミライースの納期は約2か月だからさほど長くはないが、メーカーオプションの純正ナビ装着用アップグレードパック(バックカメラやGPSアンテナを含めて1万9440円)を備えると、2週間ほど伸びる場合がある。

新型の安価な軽自動車とあって値引きは少額だが、6月30日までは「スマアシIII搭載グレード購入サポート」を実施中だ。車両から3万円の値引きを行い、3万円分のディーラーオプションも装着できる(合計すれば6万円相当)。

2017年はダイハツとスズキの軽自動車累計販売台数が接近している。1~4月までの累計台数は、ダイハツが首位ながら2位のスズキとの差は8243台だ(昨年は2万2309台)。スズキ ワゴンRのフルモデルチェンジもあって差が縮まった。

今後は両メーカーとも販売促進を図るべく、いろいろなサービスを実施するだろう。8月になればホンダ N-BOXのフルモデルチェンジも行われ、メーカー間の争いはさらに激化する。ミライースを含めて、軽自動車を買うなら2017年はサービス面でも絶好のチャンスだ。

[レポート:渡辺陽一郎/Photo:島村栄二]

>>新型ミライース 2017年5月フルモデルチェンジモデルを画像で見る

ダイハツ 新型ミライース主要スペック[X ”SA III”(2WD)]

新型ミライース 試乗車両主要スペック
グレードX“SA Ⅲ”
駆動方式2WD
価格1,080,000円
JC08モード燃費34.2km/L
全長3,395mm
全幅(車幅)1,475mm
全高(車高)1,500mm
ホイールベース2,455mm
乗車定員4人
車両重量(車重)670kg
エンジン水冷直列3気筒DOHC
排気量658cc
最大出力36kW(49PS)/6,800rpm
最大トルク57Nm/5,200rpm
燃料ガソリン
タイヤサイズ155/65R14 75S
サスペンション形式(前)マクファーソンストラット式
(後)トーションビーム式

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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