ポルシェ 911カレラGTS 試乗レポート/河村康彦(4/4)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:ポルシェジャパン株式会社
スペシャルな911は「眺めて楽しむ」がスタンス
研究開発部門の検証を受けつつ、自社内のカスタマイズ専門部門「ポルシェ エクスクルーシブ」の手で開発されたという少量生産モデルゆえ、価格も3,000万円に手が届こうかというスペシャルな911であるこのモデルが狙うのは、「ポルシェ スポーツカーの伝統的特徴と、現行カレラシリーズを上回る走りのパフォーマンス」という。
そのために、”ダブルバブル”デザインのハードカバー内に格納される手動式ソフトトップを用いた事による独自のフラットなシルエットを実現させ、カレラGTSと同様のワイドボディや、やはりカレラGTSと同様の408psエンジンなどを採用する。
セラミックコンポジットブレーキ”PCCB”や機械式LSDなど、通常であればオプションとして用意される多くのメカニカルアイテムを標準装備したカレラGTSでは、インテリア各部もハンドクラフトにより施工されている。
かくして、まずは見た目のアレンジに大きな注力が図られたカレラGTSの走りのテイストは、基本的にはカレラSカブリオレのそれにかなり近い。
当然ながらルーフオープンの状態で走るのが”デフォルト”ではあろうものの、そうなるとベースモデルのカブリオレのようにシート後方にウィンドウディフレクターを用意しないこのモデルでは、後方からの風の巻き込みが盛大。
そのルックスに相応しい優雅な走行シーンを楽しむためにはそれなりに速度を抑える以外にはなく、そんな事からもどちらかと言えば「眺めて楽しむ」というスタンスが重視されているのではないかと思えるのがこのモデルでもある。
もちろん、そうは言ってもそこは念入りなチューニングが施されたポルシェ911の事だけあって、アメリカで開催された国際試乗会の現場では911カレラGTSと全く同じペースで走り回る事が出来たのは付け加えておこう。
こうして、現在の997型911に最後に加えられたバージョンが、このカレラGTSとスピードスターという2つの魅力的バージョン。
そして、来る2011年には”991型”と噂される次期911へと、再び飛躍を目指したバトンタッチが行われる訳である。
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