ポルシェ 911カレラGTS 試乗レポート/河村康彦(1/4)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:ポルシェジャパン株式会社
”スポーツカー乗り”の心を掴み成長してきたポルシェ
際立つ技術力で世界のクルマ好きから羨望の眼差しを集めるクルマづくりを続けるポルシェ社。けれども、実はこのメーカーは並外れたマーケティング能力の持ち主でもあるのだ。
1980年代後半には業績不振によって身売りをする一歩手前にまで追い込まれた同社が、その後”奇跡の復活”を遂げ、「歴史上最高となる売上」を報告する現在へと至っているのは、実は優れたマーケティングの手腕があってこそ。
例えば、今や経営上の太い柱となって大きな利益を生み出しているカイエン誕生のきっかけは、「アメリカのポルシェ車ユーザーの多くは、同時に大型SUVを所有している」という綿密なリサーチの結果があってのもの。
優れたプロダクツを生み出すのはもちろんの事、そんな”商売の上手さ”もあってこそ現在の繁栄があるというわけだ。
ここに紹介するカレラGTS/スピードスターという、先日のパリサロンでブースを飾った2台の911を見ても、やはりそんな商売の上手さを実感させられてしまう。
そもそもは、「世の中に『スポーツカー』などというものを必要としている人は、誰も存在しない!」というのが、ポルシェのクルマづくりの根底に流れる基本的なスタンスのひとつ。
だからこそ、このメーカーは世界でも少数派の”スポーツカー乗り”の気持ちを掴む事が出来ると言って良い。そして、そのための仕掛けが、これらのモデルにもしっかり隠されているというわけだ。
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