日産 新型スカイライン(ハイブリッド) 新型車解説 [2013年フルモデルチェンジ]/渡辺陽一郎(3/3)

日産 新型スカイライン(ハイブリッド) 新型車解説 [2013年フルモデルチェンジ]/渡辺陽一郎
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新型スカイラインのもう一つの肝は、世界初採用の「ダイレクトアダプティブステアリング」

日産、新型「スカイライン 350GT HYBRID」

サスペンションはフロント側がダブルウイッシュボーン式、リア側がマルチリンク式で先代型と同じ組み合わせ。ボディ剛性は先代型を上まわり、サスペンションも設定の変更を受けた。インフィニティQ50を運転した限りでは、Lサイズセダンとして、かなり良く曲がる印象だ。

その代わり、危険回避時などには後輪の横滑りを誘う面もある。北米のユーザーには“車両の向きが機敏に変わる乗り味を好む”傾向が強く、日本仕様は違っている可能性もあるが、開発者は「世界共通」と述べた。もっとも、当然ながら横滑り防止装置は装着され、走行安定性と操舵感のバランスは「個性の範囲内」ともいえるだろう。

ちなみに、継続販売される先代型には「4輪アクティブステア」が用意された。ステアリングのギヤ比を可変式にして、後輪操舵と組み合わせる。この機能は新型スカイラインには設定されていない。ただ、新型スカイラインでは、後輪操舵はともかくステアリングの機能には同等以上のメカニズムが採用される。それが、世界初採用となる「ダイレクトアダプティブステアリング」だ。

日産、新型「スカイライン 350GT HYBRID」

この機能は画期的で、通常はハンドルと操舵装置が切り離されている(システム異常時を除く)。ドライバーのハンドル操作を電気信号に変換し、操舵装置を動かす仕組みなのだ。

ハンドルと操舵装置が分離していれば、理屈の上ではどのような設定も可能。ハンドルを180度回すだけで、最大舵角まで切ることもできる。そこで新型スカイラインは「ドライブモードセレクター」を設け、エンジンやトランスミッションを含めて、スポーツ/スタンダード/エコ/スノーの選択を可能にした。

「スポーツ」を選べば、素早い操舵感覚になる。そして操舵装置が分離していれば、轍にタイヤを取られた時でもハンドルにキックバックが生じないというメリットがある。前輪の角度が自動的に微調節され、直進状態を保てる。路面の振動がハンドルに伝わる心配もない。その代わり路面の状況も遮断されるから、人工的に味付けをする必要が生じる。

例えばコーナーの手前で減速し、ハンドルを切り込むと、普通のステアリングでは手応えが重くなる。この時には外側の前輪に大きな負荷が加わり、車両の状況がハンドルの重さになってドライバーに伝わるわけだ。そこから旋回が開始されて主に外側の後輪と役割分担するようになり、さらに出口に向けてアクセルを踏み込むと、次第にハンドルの手応えは軽くなっていく。

この一連のドライバーに対する走行情報の伝達を、いかに的確に行えるかがダイレクトアダプティブステアリングのキモだろう。

一番のメリットは安全性の向上だ。新型スカイラインでは、世界初の装備として「アクティブレーンコントロール」を採用する。時速70km以上では、車載カメラが白線を読み取り、走行レーンに沿って走れるようにタイヤの角度と操舵反力を微調節するというもの。この機能は車線逸脱警報とは異なる。

さらに将来を見通せば、飛び出しなどの危険に遭遇した時、車両側の判断で自動的に急制動を行い、同時に前輪の向きを変えて回避行動を取ることも可能になる。この時には、ハンドルと操舵装置を直結させていない方が都合が良い。

数々の安全機能が装備された新型スカイライン

日産、新型「スカイライン 350GT HYBRID」
日産、新型「スカイライン 350GT HYBRID」日産、新型「スカイライン 350GT HYBRID」

このほかにも新型スカイラインでは数多くの安全装備が採用されている。ミリ波レーダーを使った衝突回避の支援機能は、「時速60kmでも回避が可能」とされている。今のところ、相対速度差が時速30~40km以内とするのが一般的だから、新型スカイラインはほかの車種に先駆けて安全性を高めた。

しかもミリ波レーダーは先行車両だけでなく、さらに先を走る2台前方の車両まで検知できる。となれは前方で異常が発生した時、早い段階でドライバーに警報を発することが可能だ。

2車線道路などで斜め後方を走る車両も検知する。サイドミラー横のインジケーターで知らせるが、ドライバーが気付かずにレーンチェンジを開始すると、車両に引き戻す力を加える。車線逸脱警報にも同様の働きを持たせた。

後退時の衝突回避支援機能も見逃せない。後退しながら駐車スペースから出る時には、ボディ後部のソナーが後方を横切る車両を検知。ドライバーに警報を発する。後退中であれば、緊急ブレーキを自動的に作動させることも可能だ。

アラウンドビューモニターには、移動物の検知機能を採用した。モニターの範囲内に人がいた時などに注意をうながす。既存のセンサーやアラウンドビューモニターを有効活用しながら、駐車場から出る時を含め、さまざまなシーンにおける安全性を高めたことが特徴だ。

新型スカイラインのおすすめグレードは、多くの安全機能を備えた「タイプP」

日産、新型「スカイライン 350GT HYBRID」

グレードは2WDと4WDに大別され、それぞれに350GTハイブリッド/同タイプP/同タイプSPの3グレードを設ける。

車両価格は標準仕様となる350GTハイブリッドが449万6,100円。高価ではあるがカーナビも標準装着され、日産フーガハイブリッドAパッケージの539万7,000円に比べるとかなり安い。

また、トヨタクラウンハイブリッドアスリートSは、直列4気筒の2.5リッターエンジンをベースにしたハイブリッドを搭載しながら車両価格は469万円だ。スカイラインのハイブリッドはV型6気筒の3.5リッターがベースだから、後輪駆動を採用したLサイズセダンのハイブリッドとしては、比較的求めやすい価格になる。

最も推奨できるグレードは、486万3,600円のタイプP。衝突回避の支援機能を数多く備え、車間距離を自動調節できるレーダー方式のクルーズコントロールも備わる。本革シートも標準装着されるが、これはオプション設定にして価格を安く抑えた方が良心的だろう。

安全装備のみを充実させたいユーザーニーズに合わないためだ。そしてスポーツチューンドブレーキ、19インチアルミホイールなどによって最高峰の走りを手に入れたいなら、526万4700円のタイプSPを選ぶ。ただし40万円を超える価格上昇では高すぎる。20万円程度に抑えたい。

現時点でV型6気筒のハイブリッドを搭載した日本車は、レクサスGS450h、クラウンマジェスタ、シーマなど少数に限られる。

これらのラインナップの中ではスカイラインが最も安い。パワー指向のハイブリッドを求めるユーザーには、格好の選択肢だろう。長距離ドライブが安全かつ低コストで行えて、移動の過程では運転の楽しさも満喫できる。

新型スカイライン(ハイブリッド)グレード体系

グレード名

エンジン+モーター

トランスミッション

駆動方式

燃費

価格

350GT HYBRID

3.5リッターV6エンジン

+HM34モーター

マニュアルモード付

電子制御7速ハイブリッド

トランスミッション

2WD

18.4km/L

4,496,100円

350GT FOUR HYBRID

4WD

17.0km/L

4,769,100円

350GT HYBRID TYPE P

2WD

17.8km/L

4,863,600円

350GT FOUR HYBRID TYPE P

4WD

17.0km/L

5,136,600円

350GT HYBRID TYPE SP

2WD

17.8km/L

5,264,700円

350GT FOUR HYBRID TYPE SP

4WD

16.8km/L

5,537,700円

新型スカイライン(ハイブリッド)主要諸元

全長×全幅×全高:4,790mm(TYPE SPのみ4,800mm)×1820mm×1,440mm(2WD)1,450mm(4WD)/ホイールベース:2,850mm/エンジン:3.5リッターV6 VQ35HR/最高出力(エンジン):225kW(306PS)6,800rpm/最大トルク(エンジン):350N・m(35.7kgf・m)5,000rpm/モーター型式:HM34/最高出力(モーター):50kW(68PS)/最大トルク(モーター):290N・m(29.6kgf・m)/モーター動力用主電池:リチウムイオン電池/使用ガソリン:無鉛プレミアム/トランスミッション:マニュアルモード付電子制御7速ハイブリッドトランスミッション

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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