日産 NV350 キャラバン 新型車 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者:
- カメラマン:オートックワン編集部
見晴らしの良さはワンボックスバンならでは
試乗を開始すると、NV350 キャラバンの見晴らしが良いことにあらためて気付く。フロントシートがボディの先端に位置するので、フロントピラー(ルーフを支える柱)はほとんど視野に入らず、右左折時に横断歩道上の歩行者も認識しやすい。
ただし、視線とサイドウインドーの下端が高いので、左側面の死角は大きめだ。このあたりはワンボックス商用車に共通する欠点で、運転には注意を要する。
動力性能はどうか。1810kgのボディに2リッターエンジンだから十分な性能とはいえないが、5速ATのギヤ比も適度で、荷物を積んでいない状態であれば力不足は感じにくい。フル加速を行うと、4000回転を超えた領域で車速の上昇が活発になり、高速道路への進入も不安なく行えた。
エンジンがフロントシートの下に搭載されることを考えれば、ノイズもさほど気にならない。排気音が威勢良く響く印象は受けたが、許容範囲だろう。
ホイールベース延長は走行安定性の向上にも貢献
ワンボックス商用車にとって、コーナリングやレーンチェンジは苦手な分野。前述のように床と天井が高く、前輪の上にエンジン、さらにその上にフロントシートが位置する。重心高と重量配分で考えてもかなり厳しい。
この点を踏まえるならば、NV350キャラバンは操縦性能も上手に仕上げていた。
操舵に対する反応は、前輪駆動のミニバンなどに比べれば鈍めだが、車両の動きが曖昧になって不安を誘う面はない。操舵に対する挙動は正確な部類で、速度を少し高めて曲がっても確実に回り込む。
背景にあるのは、先代型と同じ全長でホイールベースを140mm拡大し、リヤサスペンションの設定にも変更を加えて後輪側の接地性を高めたことだ。高重心のワンボックス商用車の場合、後輪に横滑りの力が加わると、挙動を乱して危険な状態に陥る。そのために敢えて曲がりにくい設定にするが、NV350キャラバンは後輪がしっかりと踏ん張るから、自然に曲がるハンドリングに近づけられた。運転の楽しさを求めるクルマではないが、走行安定性の向上は安全面で大きな価値がある。
乗り心地の良さにも感心
そして最も感心したのが乗り心地。ワンボックス商用車で路上の段差を通過すると、普通は「ドシン!バタン!」というショックを伝えやすい。重い積載荷重に対応した足まわりだから仕方ないが、NV350キャラバンでは、乗り心地を乗用車に近づけている。久しぶりに商用車に乗ったのに、ほとんど違和感がなかった。
またNV350キャラバンのようなワンボックス商用車では、長距離を移動する使われ方も多い。乗り心地の改善はユーザーにとって大きなメリットになり、疲労を軽減させるから、事故の防止にも役立つ。
クルマで遊びに出かける時は、目的地は自由に選べる。疲労を感じたら、サービスエリアで休憩したり、同乗者と運転を交代すれば良い。しかしビジネスは違う。目的地を選ぶことはできず、時間に追われながら移動することも多い。
本来は理由を問わずドライバーに無理をさせてはいけないのだが、状況はなかなか改善されない。その意味で、NV350キャラバンの走行安定性と快適性の向上は、今後の商用車の発展に良い影響を与えると思う。
ここまで気合の入ったフルモデルチェンジを実施したNV350キャラバンの仕上がりぶりを受け、ハイエースもその進歩を黙って見過ごしはしないだろう。両車の競争によって、さらなる衝突防止機能の装着など、商用車の安全向上に貢献してくれればと、切に願う。
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。