日産 NV350 キャラバン 新型車 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者:
- カメラマン:オートックワン編集部
スーパーGLを遥かに超える上級グレード、その名も「プレミアムGX」
装備の充実にも目を向けたい。先代型キャラバンではバンに最上級グレードとして「スーパーGX」があり、ハイエースの「スーパーGL」に対抗していたが、ディスチャージヘッドランプなどは装着できなかった。
新型 NV350 キャラバンの最上級グレードは、その名も「プレミアムGX」へと発展し、乗用車並みの「インテリジェントキー&プッシュエンジンスターター」、オートライトシステム、マルチセンターコンソールなどを装着し、ディスチャージヘッドランプは全車にオプションで用意している。
エンジンも変更を受けた。すべてのタイプが燃費性能を向上させ、クリーンディーゼルターボについては、先代型の3リッターに代わって新開発された2.5リッターを搭載。最高出力の129馬力(3200回転)は先代型と同等だが、最大トルクは27kg-mから36.3kg-m(1400~2000回転)へ大幅に増強されている。
いっぽうのガソリンエンジンは従来型を踏襲し、2リッターと2.5リッターの組み合わせだ。
JC08モード燃費は、バンのプレミアムGXでディーゼルが12.2km/L、2リッターのガソリンが9.7km/L。ディーゼルは、ガソリンエンジンでいえば3.5リッター並みの最大トルクを発揮しており、車両重量も約2トンに達するから、燃費効率はきわめて高い。
以上のように「打倒!ハイエース」のNV350キャラバンは、商用車にとって重要な荷室の容量、ユーザーの満足度を左右する外観のデザイン、さらに装備、エンジン性能でもハイエースを上まわる内容となった。
ガソリンエンジンモデルに先行試乗
今回の取材車両は、バン・ロング・2WDの「プレミアムGX」と、これをベースにしたオーテックジャパン製のカスタムモデル「ライダー」の2台。エンジンは新開発のディーゼルを試したかったが、そちらは発売が7月にズレ込んでおり、今回は両車とも2リッターのガソリンエンジン搭載車だった。
ライダーの外観はかなり目立つ。メッキを施した専用フロントグリルが備わり、下側のバンパーには専用高輝モール、フロントプロテクターも装着される。オプションでヘッドランプの内側にLEDのデイタイムランニングライトを備えることも可能だ。
さらに「インテリアパッケージ」を選ぶと、本革巻きのステアリングホイール、専用防水シート生地、専用ドアトリムなども備わる。サスペンションなどの設定は、ベースとなるグレードと同じである。
試乗を開始すべく運転席に乗り込むが、久しぶりのワンボックス商用車は、床がかなり高く感じた。筆者はこのところ「五十肩」を患っていて、けっこうシンドイ(涙)。それでも新型になってアシストグリップの取り付け位置が見直され、ワンボックス商用車としては乗降性は良い部類だ。
一方、前輪駆動のミニバンに比べると、後席・荷室の床はやはり高い。ステップワゴンやセレナといったフラットフロア構造の車種でも、スライドドアの付近で路面から床までの寸法は390~450mm前後。それがNV350キャラバンは625mmになる。
エンジンをフロントシートの下に搭載する後輪駆動車だから、床下にトランスミッションとプロペラシャフトが通る。荷物の収納性が重視される商用車では、これらをすべて避けて床を真っ平らに仕上げねばならない。となれば部分的に「上げ底」になり、床が高まるわけだ。開発者によれば「床の高さは見直しの要件に入っておらず、先代型とほぼ同じ」とのことだった。
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