日産 新型 ノート 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)

日産 新型 ノート 試乗レポート/渡辺陽一郎
日産 新型 ノート「X DIG-S」[ボディカラー:オーロラモーヴ(特別塗装色)] 日産 新型 ノート「X DIG-S」 日産 新型 ノート「X DIG-S」 日産 新型 ノート「X DIG-S」 日産 新型 ノート「X DIG-S」 日産 新型 ノート「X DIG-S」 日産 新型 ノート「X DIG-S」 日産 新型 ノート「X DIG-S」 日産 新型 ノート「X DIG-S」 日産 新型 ノート「X DIG-S」 日産 新型 ノート「X DIG-S」 画像ギャラリーはこちら

走りの主役、エコスーパーチャージャー「DIG-S」は100%減税!

日産 新型 ノート「X DIG-S」日産 新型 ノート「MEDALIST」

運転感覚の面から見た主役は、やはりスーパーチャージャーの「DIG-S」。

HR12DDRエンジンの最高出力は、ノーマルより19馬力高まって98馬力(5600回転)、最大トルクは3.7kg-m向上して14.5kg-mだから、動力性能の不足は感じない。特に4000回転付近からの車速の上昇が活発で、5000回転付近まで力強く吹き上がる。2000~4000回転付近の実用回転域も力強いが、一定の速度で巡航していると、1500回転付近まで低下することも多い。この状態でアクセルを踏み増すと、加速への移行が少し緩慢だ。1700~1900回転付近で少しゴロゴロした感触を伴った後、加速が活発になる。

背景にあるのはスーパーチャージャーの働き。1800回転以下では、電磁クラッチによってスーパーチャージャーをカットする仕組みになっている。燃費効率を高めるためだ。ちなみにフォルクスワーゲンの1.2リッターターボにも同様の傾向は見られるが、駆動力が下がる回転域が低く、あまり気にならない。ノートは1800回転以下で過給効果が得られず、違和感が生じた。このほか、3500回転付近のノイズも気になる。

「ECOモード」では過給機はほぼ作動せず、低燃費なエコ運転に特化

日産 新型 ノート「MEDALIST」日産 新型 ノート「X DIG-S」

さらに、新型ノートに搭載されるスーパーチャージャー車には「ECOモード」が備わっている。エンジン本体やスーパーチャージャー、CVTを制御して、文字通りのエコドライブを可能にするモードだ。アクセルを深く踏み込まない限り、スーパーチャージャーは作動せず、燃料消費量を最小限度に抑える。

このECOモードで走ると、アクセル操作に対する反応が鈍くかなり穏やかな印象だが、エンジン回転が全般的に下がってエコドライブの状態になっていることが実感できる。カタログの燃費数値に近い走り方をするなら、積極的に「ECOモード」を選ぶのが良いだろう。

以上のようにスーパーチャージャーには独特のクセがあるものの、動力性能は1.4リッターに匹敵して十分な水準だ。

加えて売れ筋の「X・DIG-S」は、燃費が24km/L(JC08モード)に達する。さらに「S DIG-S」なら25.2km/Lをマークする。ともにノーマルエンジン仕様の22.6km/Lを上まわり、各DIG-Sエンジン車ともに平成27年度燃費基準プラス20%を達成して、購入時に支払う税額は免税(100%の軽減)だ。また、購入の翌年度に支払う自動車税、初回車検時に支払う自動車重量税も50%軽減される。燃料代と維持費を抑えるメリットは大きい。

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14インチ vs 15インチタイヤ、快適なのはどっち!?

日産 新型 ノート「MEDALIST」日産 新型 ノート「X DIG-S」

乗り心地はどうか。14インチタイヤ(185/70R14)を装着した「X」や「X・DIG-S」は、街中の走行において、路面の細かなデコボコを拾いやすい。ボディが上下に揺すられる印象だ。それが15インチタイヤ(185/65R15)になると、硬さはあるが重厚な印象になって快適性が高まる。

装着されていたタイヤは、14インチがブリヂストン・エコピアEP150。15インチは同じブリヂストンでもB250。サスペンションの設定は全車にわたり共通で、空気圧も前輪側が230kPa、後輪側が210kPaと変わりはない。タイヤの転がり抵抗も合わせてあるが、素性の違いが感じられた。

走行安定性は良好。プラットフォームをマーチと共通化しながら、スタビライザーの装着や、ボディ後部の剛性を高めるなどテコ入れを図り、後輪がしっかりと踏ん張る。ドライバーを慌てさせる状態に陥りにくい。危険回避時の動きも好ましく、特に15インチタイヤは歪みが抑えられ、後輪の横滑り量が少ない。14インチは少し接地性が下がるが、不安は感じない。

横滑り防止装置のVDCはメーカーオプション。しかも、ベーシックなグレード、「S」と「S・DIG-S」に装着できないのは困る。その意味でも選択肢は、ノーマルエンジンならば「X」、スーパーチャージャー装着車は「X・DIG-S」か最上級の「メダリスト」だ。横滑り防止装置の作動は、挙動が乱れ始めた時のブレーキングが少し弱く感じたが、安全面の不足はない。

ノーマルとスーパーチャージャー車の価格差20万円は、やや開き過ぎ

日産 新型 ノート「X DIG-S」日産 新型 ノート「MEDALIST」

ノートX(129万8850円)と同X・DIG-S(149万9400円)にはインテリジェントキーなどが標準装着され、装備も満足できる。両グレードの違いは、実質的にスーパーチャージャーだけ。そうなると動力性能と燃費の違いを踏まえても、約20万円の価格差は開き過ぎだ。

ノーマルのXグレードが、ほかのコンパクトカーに対抗すべくベース価格を安く抑えたのは分かるが、スーパーチャージャー車との差額はせいぜい10万円前後の価格上昇にして欲しい。仮にX・DIG-Sを139万円台に抑えれば、ラクティス1.3Xなどより低価格になり、相当に買い得なコンパクトカーに位置付けられる。

現状の価格差では、スーパーチャージャーを装着するか否か迷うユーザーも多いだろう。減税率の違いも25%にとどまるから、使用条件に応じてXを選ぶ手もある。

最大のライバル「ホンダ フィット」と比較してみる

日産 新型 ノート「MEDALIST」日産 新型 ノート「MEDALIST」と、レポーターの渡辺陽一郎氏

最大のライバル、「ホンダ フィット」との比較にも触れておきたい。

フィットの売れ筋グレード、1.3リッターエンジンを積んだ「13Gスマートセレクション」(132万円)と比べると、日産 新型 ノートのノーマルエンジンは少し力不足で、スーパーチャージャーならば上まわる。乗り心地はノートのほうがやや硬めになるものの、フィットよりは快適だ。

いっぽう、操舵感が機敏なのはフィットだが、走行安定性はホイールベースが100mm長いこともあってノートが勝る。居住性はリヤシートの広さでノート、荷室の広さと使い勝手はフィットだ。

以上のようにノートの実力は、ホンダ フィットと同等かそれ以上。日産 ノートが今後も販売と商品改良に力を入れれば、フィットに負けない売れ行きを保てるだろう。

日産が「国内販売で確固たる2位の座をめざす」のなら、まずはノートを確固たる人気車に育てたい。必ず道は開ける。

[*価格表記は全て消費税込み]

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日産 新型 ノート「X DIG-S」[エコスーパーチャージャー] 主要諸元

日産 新型 ノート「X DIG-S」日産 新型 ノート「X DIG-S」

全長x全幅x全高:4100x1695x1525mm/ホイールベース:2600mm/車両重量:1090kg/駆動方式:前輪駆動(FF)/エンジン種類:直列3気筒 DOHC 直噴ミラーサイクル+スーパーチャージャー/最高出力:98ps(72kW)/5600rpm/最大トルク:14.5kg-m(142N・m)/4400rpm/トランスミッション:エクストロニックCVT(副変速機付自動無段変速機)/燃料消費率:24.0km/L[JC08モード](※「S DIG-S」グレードは25.2km/L)/全国希望小売価格:1,499,400円[消費税込み]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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