フェアレディZは過去の栄光にすがり過ぎ? 確かにカッコいいけど、新鮮味がほぼ0の怪

  • 筆者: 竹花 寿実
  • カメラマン:MOTA編集部
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フェアレディZといえば、Z32型までは「これからのスポーツカーはこうなるんだ!」とチャレンジングな挑戦を行っていたクルマだった。ところが先日発表された新型Zと言えば、歴代モデルのイメージをなぞる懐古趣味が強く、新しさはほぼ皆無ではないだろうか。登場時の興奮も落ち着いた今、ここで冷静に、新型フェアレディZの今後を考えてみたい。

歴代モデルのエッセンスを全投入! 新型Zを隅々チェック

目次[開く][閉じる]
  1. ひと目見て“Z!”とわかるデザインは必須
  2. 超現実的な値段で登場? 300万円代後半〜か?
  3. 単なる懐古主義? かつてのようなチェレンジ精神はほぼ0

ひと目見て“Z!”とわかるデザインは必須

9月16日、横浜みなとみらいの日産パビリオンで、次期日産フェアレディZのプロトタイプが公開された。一般向けにはオンラインでの発表となったが、我々プレス向けには短時間だが取材の機会が設けられたおかげで、現地で実物を見ることができた。

公開されたプロトタイプは、全長4382×全幅1850×全高1310mmで、V6ツインターボを搭載し、6速MTが組み合わされている。この車両は、ほぼこのままの姿で2021年にも発売されるというから、世界のZファンにとっては嬉しいニュースだったに違いない。

エクステリアデザインは、どこからどう見てもZだ。ロングノーズ/ショートデッキの低重心なファストバックのシルエットや、Yの字のパワードームを持つボンネットフード、往年の丸目を連想させるヘッドライト、Z32をイメージさせる横長のテールランプなどなど、フェアレディZらしさがあらゆるディテールに盛り込まれている。

インテリアも、これぞスポーツカーといったデザインである。ダッシュボード上の3連メーターや、いかにもショートストロークそうな、レザーのブーツを備えたシフトレバー、使いやすい位置にレイアウトされているパーキングブレーキレバー、メタル製のペダル、イエローのステッチがあしらわれた、優れたホールド性を発揮してくれそうなシートなどが、ドライバー中心にデザインされていることが良く解る。フルデジタルのメーターパネルも、なかなか良い雰囲気だ。

日産のグローバルデザイン担当専務執行役員であるアルフォンソ・アルバイサ氏は、現場のデザイナーに「とにかくZらしいカタチを作ってくれ!」と注文を出したそうだが、そのミッションは確実に遂行されたと言って良いだろう。

超現実的な値段で登場? 300万円代後半〜か?

開発を統括するチーフプロダクトスペシャリストの田村宏志氏によれば、新型Zのプロジェクトは3年前にスタートし、今回ようやく日の目を見ることになったのだという。

フェアレディZとは、デザインとパフォーマンス、そして価格がバランスしていなければならないという信念を持つ田村氏は「ちょっと頑張れば手に入れることができる、アフォーダブルな価格を目指している」と言うから、大いに期待したいところだ。

単なる懐古主義? かつてのようなチェレンジ精神はほぼ0

だが、今回公開されたプロトタイプを実際に見て、筆者は個人的にややモヤモヤした感覚を覚えたのも正直なところだ。

というのは、あくまでもデザインと今回公表された限られた情報から受けた印象ではあるが、今回のプロトタイプが、歴代フェアレディZの進化の流れからやや外れているように感じたからである。

フェアレディZは、初代からZ32までは、時代の変化やテクノロジーの進化に呼応して、常にその時代の最高のスポーツカーであろうと進化してきた。そして苦境の中で一時的な中断の後に復活したZ33と現行のZ34は、Z32までのDNAを受け継ぎつつ、GT-Rが日産ブランドのトップパフォーマンスモデルの地位に就いたため、ハイテク感のあるデザインで魅せるスペシャリティカー的な要素が強いモデルとなった。

では次期フェアレディZはどうなのかというと、プロトタイプを見るかぎり、確かに新しさはあるものの、やや懐古趣味が強いクルマのように感じるのだ。

フェアレディZは、1969年に初代S30型が登場し、すでに50年以上の歴史を持つ、世界で累計180万台以上が販売された、日本が世界に誇るスポーツカーである事は間違いない。世界中に熱狂的なファンも多く存在する。だから「フェアレディZはこうあるべき!」という想いが強くなるのも理解出来る。とはいえセルフカバーの色合いが濃い。

せめてパワートレインにもう少し驚きを!

まだパワートレインの詳細や、シャシー関連技術やその他搭載される先進的なテクノロジーなどが公表されていないので、現時点で結論づけるつもりはない。だがフェアレディZには、GT-Rとは立ち位置が違うとはいえ、もっとサプライズがあっても良いのではないかとは思う。なにもEVにする必要はないと思うが、VCターボ(過給圧縮比エンジン)を搭載するくらいのインパクトはほしい。

しかし、クルマは乗ってみると印象がガラッと変わる事もよくある。来年発売される市販バージョンの走りが、筆者の想像を超えるものである事を期待している。

かつてZ31やZ32に憧れた身として、フェアレディZには今後もずっと、日本が世界に誇るカッコいいスポーツカーであり続けてほしいと思っている。

【筆者:竹花 寿実】

日産/フェアレディZ
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新車価格:
539.9万円920万円
中古価格:
45万円2,830万円

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筆者竹花 寿実
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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