ホンダ、日本車初の快挙! ドイツで電気自動車のHonda eがイヤーカー受賞
年の瀬も迫り、「今年のクルマ」を決める賞が各国で賑わいを見せている。そんな中で明るい話題が飛び込んできた。なんと、ドイツのカー・オブ・ザ・イヤー2021に、日本車ブランドとしては初めて「ホンダe」が選ばれたというのだ! これは素晴らしい快挙だが、一体これはどんな賞でどんなクルマなのか、ざっとご紹介しよう!
ドイツのカーオブザイヤー(GCOTY)ってどんな賞?
ドイツと言えばもちろん、有名自動車メーカーの強豪がひしめく国。そんな国のカー・オブ・ザ・イヤーの特徴は、「コンパクト」「プレミアム」「ラグジュアリー」「ニューエナジー」「パフォーマンス」と5つのカテゴリに分かれており、各部門賞をそれぞれ1台決定。さらにその5台の中から1台が大賞に選ばれるという仕組みだ。
ホンダeはニューエナジー部門と大賞を受賞!
では、GCOTY 2021の5つの部門賞の受賞車をご紹介しよう。「コンパクト」賞はVW ゴルフ、「プレミアム」賞は同じくVW ID.3(EV)、「ラグジュアリー」賞はボルボ ポールスター2(EV)、「ニューエナジー」賞が我らがホンダe(EV)で、「パフォーマンス」賞がBMW アルピナB3となっている。この5台の中で、ホンダeが栄えあるドイツカー・オブ・ザ・イヤー2021に輝いたのだ。
ちなみに昨年のGCOTY 2020はポルシェ タイカン、2019年はジャガー I-PACE(アイ・ペース)と、今回のホンダ eも含め3年連続でEV(電気自動車)が大賞を獲得している点も興味深い。
受賞の理由とポイント
GCOTYはホンダeの受賞理由として、「妥協することなく設計された、先進的で美しい製品を作成するというホンダの取り組みを支持するもの」としている。
なおホンダeは、ドイツでは日本より一足早い2020年初めに発売されており、シームレスで洗練されたモダンな外観、最先端のテクノロジー、高度なインテリジェント接続など、現代的なデザインと高度なe-モビリティの両立が支持されたようだ。
ホンダモーターヨーロッパの社長、奥田克久氏は「ホンダeがドイツのカーオブザイヤーを受賞した最初の日本車になることは大きな名誉であり、私たちが受け取ることを非常に誇りに思っています」と述べている。
見た目がカワイイ! 中もスゴイ! ホンダeはこんなクルマ
インパネがワクワク感全開!
ホンダ初の量産EVであるホンダeは、日本らしい癒し系のカワイさを持つコンパクトな都市型コミューター。妙につるんとした印象の理由は、サイドミラーがないこと。代わりの「サイドカメラミラーシステム」によってデジカメ映像を車内のモニターで確認でき、先進的かつ小回りの利くボディに仕上がっている。
またインパネ回りも驚きだ。2画面の大型タッチパネルモニター「ワイドスクリーン Honda コネクトディスプレイ」は圧巻で、単なる大型ディスプレイにとどまらない未来感がある。ただしシートなどの内装はナチュラルな雰囲気もあり、未来っぽさだけのコンセプトカーではなく身近な街乗りが楽しめる一台だ。
バッテリーはやや少なめだが、後輪駆動で小回り性バツグン
EVといえば気になるのはやはりバッテリー容量。ホンダeは35.5kWh、航続距離はWLTCモードで283kmとなっており、たとえば日産 リーフeプラスの62kWh/458kmと比べるとやや頼りないと感じられる。ただ、これは街乗り用を想定してあえて割り切ったものだという。
また駆動はコンパクトカーではめずらしいRRで、これによって最小回転半径を4.3mに抑え、市販車としてトップレベルの小回り性能を備えている。開発当初はFFレイアウトだったといい、ホンダが初のEVに苦戦しつつもチャレンジングなクルマ作りをしたことが見て取れる。
日本では10ベストカー入りを逃す
このように話題性の高いホンダeだが、日本のカー・オブ・ザ・イヤーでは全45台のノミネートカーに選ばれるも、最終選考に残る10ベストカーには漏れてしまった。ドイツで大賞に輝いたクルマが本家の日本では予選落ちというのもやや納得がいかないが、これには各国の自動車事情も大きく関わっている。
欧州ではCO2排出量“0”のEV導入が急務
ご存じのように欧州では環境対策、中でも燃費に対する規制がとにかく厳しい。2021年からは企業全体の平均CO2排出量を95g/km以下に抑えなけらば、1g超過ごとに95ユーロの違反金が発生する。このため、欧州で新車を販売している各メーカーは、CO2排出量を0(ゼロ)とカウントできるピュアEVの導入を急いでいるのだ。
今後日本でもEVの需要は高まるか?
GCOTY 2021では、受賞車5台中3台がEVだった。これに対し日本カー・オブ・ザ・イヤー2020-2021の10ベストカーのうちEVは2台だが、国産EVは0台だ。この結果だけを見れば、ドイツと日本の環境意識の違いがイヤーカーの選出に大きく影響しているようにも思えてくる。
ただし日本の場合、優秀な環境性能を誇るハイブリッドカーが既に広く普及している点も見逃せない。今回も10ベストカーのうち国産モデルでは、トヨタ ヤリス/ヤリスクロス、日産 キックス、ホンダ フィット、マツダMX-30の各車にハイブリッドが用意されている。欧州のCO2規制も、トヨタなどはハイブリッドカーをメインにCO2規制の達成を目指しているのだ。
1台のEVで規制に対処するのか、それとも複数の量販モデルでクリアするのか。ドイツと日本の考え方の違いが、賞典でも浮き彫りになった格好だ。
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