マツダ「デミオ」初めての国産プレミアムコンパクト【ピックアップ!カーソムリエレポート】
【カーソムリエレポートって何?】
カーソムリエ検定に合格した『カーソムリエ』が、話題のクルマを実際に試乗して書いたレポート。それがカーソムリエレポートです。
本日はマツダ「デミオ」をピックアップしてお届けいたします!
▼初めての国産プレミアムコンパクト(カーソムリエ さろらく。さん)
▼日本にはマツダがあるじゃないか!(カーソムリエ kuma_ottoさん)
マツダ「デミオ」
デミオは、マツダのクリーンディーゼルエンジンに代表される「SKYACTIV技術」や、魂動デザインをマーケットボリュームの最も大きいコンパクトカークラスに投入したモデル。ドライバーの危険認知・判断をサポートする先進安全技術「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」や、新世代カーコネクティビティシステム「Mazda Connect(マツダ コネクト)」などの最新装備も幅広く採用している。
初めての国産プレミアムコンパクト(カーソムリエ さろらく。さん)
総合評価:3.7/5.0
外観デザイン:4.0/5.0
インテリア:3.6/5.0
走りやすさ:4.3/5.0
-オススメポイント-
まず何より車としての動的質感の高さと内外装の仕上げ素晴らしいです。納得できる価格帯での国産初のプレミアムコンパクトと言ってもいいと思います。どうしても日本人は、サイズや排気量による先入観で車を判断するので、国産車の小さな高級車/プレミアムコンパクトが成立しない国でした。
今までも一見それ風のモデルはありましたが、木目調パネルや革シートなどで飾っただけでベースのリッターカーや軽自動車の素性は隠せず、乗ると馬脚を露すようなモノばかりでした。ところがデミオは、そもそもの車の出来がキチンとしているため、ベースグレードでもその乗り心地に安っぽさはまったく感じません。
クルマ全体の剛性感が高い上に足回りがとにかくしなやかです。このクラスではスズキ スイフトと並び最高だと思いますし、これより上のクラスでもデミオに勝てない車は山ほどあります。段差を超えたときの感触は、安い足回りだと“ドンゴトッ”とか“ドンメキッ”。ホンダとかだと“ドンビシッ”。デミオは“トントン”って感じで実に快適にこなします。低級音、変なビビり音も全くしませんので、オーディオ無しでの運転を楽しみたくなります。
外観スタイルは、CX-5から始まったデザインテーマ「魂動」も、練りに練られて、このデミオと次のCX-3でほぼ完成の域に達したのではないでしょうか?のびやかなアテンザにピッタリだったデザインテーマが、コンパクトカーのデミオでも違和感なくまとめられ、けっしてチョロQのような可愛い感じではなく、ギュッと小さいモノに込められた凝縮感みたいなモノが表現できていると思います。
近年の車のデザインで意外と重要視されているのがヘッドライトのデザイン。LEDの低価格化で、ライトユニットの中でのデザインの幅が広がり、ヘッドライトのデザイン一つで、車の印象が大きく変わります。このデミオもボンネットやグリルのメッキパーツからの流れなどを生かしつつ、肉食獣のような精悍な「目」を作り上げています。
内装質感は、上級グレードは前記したようにプレミアムコンパクトと言って良い仕上がりだと思います。助手席前のソフトパッド、各所に走るステッチ、塗装ではないメッキパーツ。上級グレードはコンパクトカーとすると安くはないのですが、質感が価格に説得力を持たせています。中級グレード以下は助手席前がカーボン風パネルになってしまいますが、それでも黒色樹脂部の艶のコントロールが巧みですので、メッキパネルと合わせてメリハリの効いた室内デザインだと思います。
-乗る前と乗った後、クルマのイメージは同じでしたか?-
違った。
理由:あまりディーゼルエンジンらしい、低速での力強さは感じられませんでした。
-不満点-
動力性能に関しては、発進時それほど力強くは感じません。ディーゼルの低速トルクの厚さみたいなモノを期待すると、ちょっと肩すかしをくらいます。アテンザやCX-5に搭載されている2.2リッターディーゼルと違い、デミオの1.5リッターディーゼルはシングルターボということも有るのでしょうけど、ガソリンエンジンに比べてかなり重たいディーゼルエンジンですから、キビキビ感では1.3リッターガソリンを評価する評論家が多いのも肯けます。
イスがマツダのイスとしてはかなり柔らかい感触で、長時間乗ったときにキチンと体を支えてくれるのか若干不安を感じます。どうしても先入観として、国産の柔らかめのイスは腰が痛くなりやすいと言うのがあるので、その不安を払拭して欲しいです。この座り心地で腰が痛くならなかったら、国産のイスも欧州車並みになったと言えるのではないでしょうか?
デザイン上の不満点は、大きなグリルの中に日本の白いナンバープレートが入って悪目立ちすること。見る角度によってははみ出ていますし最悪です。欧州の横型とか、カタログの黒地なら問題ないんでしょうけど、アクセラ共々マイチェンジの最重要課題だと思います。またディーゼルモデルに限り、グリルの横バーが赤に統一されてしまっている点も、ボディカラーによってはバランスが悪く感じます。
先代アクセラなどマツダ車では良くやることですけど、リアバンパーが思ってるより出っ張っています。衝突安全基準の関係かデザイン代かわからないけど、バンパーをこれだけ出っ張らせるなら、そこを頂点としてリアハッチを被せれば、その分荷室が広がると思います。
-運転後の感想-
総じて、多くの自動車評論家が言ってるように、国産同クラスでは別格の仕上がりです。多少高くても買う価値がある稀有な国産車。この仕上がりを見せられると、いかに他社は手を抜いてるというか、利益優先なのかがわかります。マツダの規模でこの価格でこれだけのモノが作れるのだから、トヨタや日産に本気を出させるためにも、ユーザーはキチン良いモノを選んで購入して欲しいです。
日本にはマツダがあるじゃないか!(カーソムリエ kuma_ottoさん)
総合評価:4.1/5.0
外観デザイン:4.2/5.0
インテリア:4.0/5.0
走りやすさ:4.7/5.0
-オススメポイント-
XDツーリング(2WD)/6ATに試乗しました。
評論家筋の評価も高いし、COTY受賞車でもあり期待はしていましたが、「それでも評価甘めなんじゃない?」と思って試乗しました。
結果、これまでの国産コンパクトには無かった「クルマとしての本質」の良さが群を抜いていました。ドアを閉める時の音から、欧州車(具体的に言うとフォルクスワーゲン ポロ)と遜色ありません。デザインにも質感があり、トヨタ ヴィッツや日産 ノートのような「なんだか安っぽい」感じは皆無。
内装の質感も良好で、レザーとステッチの演出は確実に一クラス上の大人を狙った演出。シートの造りもがっちりした印象ですが、ファブリックは黒に赤のステッチのみの設定になるのが少し残念。
走りは、マツダ自慢の1.5リッターディーゼルは私にとっては文句なし!冷間時は少しガラガラ音も目立つし、走っていても多少の振動とノイズを感じます。ただし、アイドリングストップが効く程度くらいまで温まると音振の問題は感じなくなり、試乗の後半はスムーズに回りながらも断然トルキーなフィールに同乗した妻ともどもすっかり気に入りました。
乗り心地も大径ホイールを履くわりに良好。ただし、大きなギャップを越えた時に固い感触があるのと、粗い舗装面になるとタイヤノイズがかなり酷い。特に後者は致命的。良好な舗装面では大丈夫なんですが…
そして気に入ったのが、マツダこだわりの「オルガン式アクセルペダル」。そこまでこだわらなくても…と試乗前には思っていたものの、乗ってみれば「こだわってくれて有難う」です(笑)
兎に角、運転するという行為のために細やかに神経を使って造られている数少ない国産コンパクトです。
-乗る前と乗った後、クルマのイメージは同じでしたか?-
違った。
理由:少しは期待していたが、期待以上。
-不満点-
タイヤノイズ!これは酷い。もし買ったら走らずして即タイヤを換えるかも…。
あとは無いものねだりですが、もう少しグレードが選べると良いかも。理想はXDの15インチの足回りで内装はツーリングのレザー+ステッチが選べて欲しい。ガソリンも160万円前後のグレードとかあると選びやすいかも。ボディカラーも半端に渋い色が多くて、先代にあったグリーンとか明るい色があれば良いのに。
そして、デザイン最優先なんでしょうが「全長をあと10cm小さくできなかったの?」日産 ノートもそうですが、4mを僅かにオーバーするくらいならひと工夫して4m以内に収めても良かったんじゃ?僅か数cmの差だけで、フェリーをよく利用する人はランニングコストが大幅に違うので。どうせ広さを求めてないんですから。(爆)
-運転後の感想-
現在日産キューブ(Z12)に乗る自分としては、この手のBセグハッチバックというのは本当に使いやすいサイズだと思っていますが、国産コンパクトはモード燃費と価格ばかり追求しているようで、「お手軽車」の感が否めませんでした。欧州車はこのクラスでも造りがしっかりしていて、値段もイイが国産には無い「イイモノ感」が触っても乗ってもありました。
だから、次のクルマは欧州Bセグ車か、国産ならば最近コンパクトよりよっぽど造りが良心的な軽自動車にしようと思っていました。が、デミオに乗ってみて思わず欲しくなりました。
国産コンパクトには、デミオがあるじゃないか!日本にはマツダがあるじゃないか!
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