ルノー初のクーペSUV、新型アルカナは内外装、走行性能すべてが「想像以上」の驚きの仕上がりだった!

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2022年1月に開催された「東京オートサロン2022」で公開され、2022年5月26日(木)から発売がスタートする、ルノー初のクーペSUV「アルカナ(Arkana)」。最大のトピックは、新型アルカナが輸入車で唯一(2022年2月現在)の「フルハイブリッド」であることだ。気になるその乗り味を、外観・内装を含めてレポートしたい。

目次[開く][閉じる]
  1. SUVラインナップを拡充する、ルノー初の「クーペSUV」
  2. 最低地上高200mm 筋肉質なデザインでSUVの力強さを表現
  3. スポーティなインテリアは高品質・高精細! シートの座り心地も抜群
  4. 輸入車唯一のフルハイブリッド!しかも技術はF1譲り!?
  5. 静かでスムーズ、そして速い! 湿り気のある乗り心地はまさにルノーの味わい
  6. 高い安全性・実用性と省燃費で輸入SUV界に新しい風が吹く

SUVラインナップを拡充する、ルノー初の「クーペSUV」

セダンやハッチバックからミニバンへ、そして今やSUVが売れ筋の時代となった。もはや新型車の多くがSUVで占められているほどの勢いで、市場はまさに群雄割拠の様相を呈している。

実用的なハッチバックを多く生み出してきたフランスでは、居住性・積載性に優れたSUVが主流になるのは当然の流れ。ルノー、シトロエン、プジョー、DSの4メーカーも、各メーカーの個性を出しつつ、他車との違いを明確にしたSUVを続々とラインナップ中だ。

中でも本国ルノーは、Bセグメントの小型ハッチバックをベースにした「キャプチャー(2代目)」、日本にも一時期上陸した「カジャー」、そして日本未導入の「コレオス(2代目)」を販売して、ラインナップの充実を図っている。そして2019年には、新たにクーペSUVの「アルカナ」を発表。2021年から欧州で、そして2022年5月26日(木)から、いよいよ日本でも発売が開始される。導入は「アルカナ R.S.LINE E-TECH HYBRID」のモノグレードで、価格は429万円(税込)である。

最低地上高200mm 筋肉質なデザインでSUVの力強さを表現

まずは外観から見てみよう。先入観をすべて抜いてまず思ったのが、想像以上に美しいことだ。真っ先に目に入る新型アルカナのフロントマスクは、近年のルノーファミリー共通のデザイン。Cシェイプのデイタイムランプを採用する。そしてハイライトは、美しいルーフライン・ウィンドウグラフィックを持つサイドビューと、筋肉質なフェンダーを確認できるリアビューだ。これだけでも十分美しい4ドアクーペのプロファイルを持つが、新型アルカナにはさらに、SUV特有の「高さ」と「力強さ」がある。

これらを強調するのが、18インチホイールをさらに大きく見せるホイールアーチプロテクション、ボディ下部を覆うスキッドプレート、そして200mmを確保した最低地上高だ。悪路でも気負わず走れるだけでなく、SUVらしい視覚効果も抜群である。

ボディサイズは全長4570mm×全幅1820mm×全高1580mmと大き過ぎず小さ過ぎず。しかも実際には想像以上に引き締まって見える。乗り込んで運転しても、大きさは感じなかった。こちらについては後述したい。

スポーティなインテリアは高品質・高精細! シートの座り心地も抜群

ズバリ、ここで謝らないといけないことがある。それは、乗り込む前に内装写真を見て、ダッシュボードやシートなど、内装各部に引かれた赤いラインとカーボン調パネルが、少々オーバーデコレートに感じたことだ。しかしドアを開け、実際にシートに座って室内を見回してみると、この赤いアクセントがR.S.LINEにふさわしいスポーティなアクセントになっていて、それが杞憂であることがわかった。

ダッシュボードの仕上がり・シートの縫製などはいずれも高品質。眼前のメーターは、10.2インチフルデジタルインストゥルメンタルパネルを、センターコンソールには各種インフォテインメントを表示・操作可能な7インチタッチスクリーンを採用する。手持ちのスマートフォンをUSBポートに接続することでApple CarPlayまたはAndroid Autoを介して、タッチスクリーン上でスマートフォン内のアプリを使用できる。

ルノーは座り心地の良いシートを作るメーカーだけに、新型アルカナのそれもたっぷりとしたサイズ・クッションストローク・適切な形状を持つ。R.S.LINEのためスポーツシートが奢られており、表面はレザーとスエード調コンビで覆われる。新型アルカナの内装もまた、想像以上に高精細な仕上がりを見せる。

輸入車唯一のフルハイブリッド!しかも技術はF1譲り!?

そして、新型アルカナ最大の注目点は、冒頭で記した通り「輸入車唯一のフルハイブリッド」ということだ。欧州ではEV化が推進されているが、ルノーは、それが普及する前段階の現実的な最適解として、コンパクトなフルハイブリッドシステム「E-TECH HYBRID」を開発。本国ではすでに「クリオ(日本名ルーテシア)」や「キャプチャー」に搭載されていたもので、日本国内では初登場となる。

「E-TECH HYBRID」は、メインのE-モーターおよびHSG(ハイボルテージスターター&ジェネレーター)の2つのモーターと、1.6リッター直4エンジン(H4M型)、そして電子制御ドッグクラッチマルチモードAT(4速)で構成される。出力はエンジンが94ps/148Nm、モーターはE-モーターが36kw/205Nm、HSGが15kw/50Nmを発生する。さらに駆動用に1.2kWh(250V)のバッテリーを搭載し、市街地走行時には、バッテリーに充電された電気でモーターのみで走行が可能で、強制的にバッテリーだけで走らせるスイッチも用意される。気になる燃費数値は、WLTCモードで22.8km/Lをマークする。

一般的な摩擦式クラッチと異なり、新開発のドッグクラッチマルチモードATでは歯車が常時噛み合うことで、ダイレクト感のあるドライブフィールを実現。クラッチやシンクロナイザーを省いて軽量化・コンパクト化も達成した。しかもこの技術は、なんとモータースポーツの最高峰・F1譲り。長年、F1に参戦を続けてきたルノーのノウハウを活用しているのだ。これまでもルノーは、高性能化のためのターボチャージャーなど、F1からの技術を市販車に数多くフィードバックして、スポーティなクルマのイメージを醸成してきた。性能と燃費の両方が求められる現代においては、F1の技術がそれをサポートするようになったことが興味深い。

なお、ルノーと関わりが深い日産の電動化技術のひとつ「e-POWER」は、エンジンで発電した電気でモーターを駆動する方法のため、「E-TECH HYBRID」とは構造がまったく異なる。「E-TECH HYBRID」は、ルノー独自の技術ということだ。

静かでスムーズ、そして速い! 湿り気のある乗り心地はまさにルノーの味わい

スタートボタンを押してもエンジンが始動しないのは、他社のフルハイブリッドカーやEVと同じ。低速域では、ほぼバッテリー+モーターで走る。しかしモーターだけでも、新型アルカナは極めて静かに、そして鋭く加速していく。その速さは想像以上。走行中にエンジンが始動するが、振動や大きな音もなく、そのタイミングはまったくわからない。エンジンからアクセルを戻すと回生がスタートし、メーター内の電力ゲージはみるみる回復していく。

ダイレクト感を重視したというトランスミッションにより、アクセルを踏むと間髪入れず加速するフィーリングは、これまでのハイブリッドカーとは異なるリニア感。走行シーンに合わせた最適な制御を行っていることと、前述のようにモーターとエンジンの切り替えがシームレスに行われるため、ドライバーはパワーソースが「今、何なのか」を気にすることもなく、ワインディングを駆け抜けることができる。

シフトノブの「B」モードでは、アクセルオフ時の減速力が強くなるが、日産 ノートのワンペダルドライブほど強力ではないため、山道では、ガソリン車ATの2速で走っているような感覚で走行を楽しめる。

R.S.LINEというグレードから、硬いサスペンションを想像しがちだが、アシの動きはしっとりとしたもので、ハードさは感じられない。試乗地・箱根の粗い路面でさえ補修されたかのような乗り心地は、CセグメントSUVとは思えない上質さだ。地上高と全高が高いSUVとは思えないほどにシャープなハンドリングとも、見事に両立。思った通りのラインをトレースできる操作性は、純粋に「クルマを走らせる楽しさ」を感じさせてくれる。ルノーの定評ある乗り心地の良さ・ファンなハンドリングは、新型アルカナでもしっかり残されていた。

運転のしやすさも書いておきたい。座面が高く、ダッシュボード上端が低いためアイポイントが高いことも、運転のしやすさにつながっているのだろう。1820mmの全幅も、ほとんど気にならなかった。

高い安全性・実用性と省燃費で輸入SUV界に新しい風が吹く

最新モデルのため、ストップ&ゴー機能付きアダプティブクルーズコントロール(ACC)、アクティブエマージェンシーブレーキ、セーフティディスタンスワーニング、レーンセンタリングアシスト、360°カメラ、パーキングセンサー、オートハイ/ロービームなど、先進運転支援システム・予防安全技術も充実。

クーペSUVにありがちな後席の狭さとも無縁で、室内はとても広い。ラゲッジスペースは480リッターを確保しており、床板の高さを変更できるダブルフロアシステムによって小物を床板下に収納することも可能だ。

クーペスタイルの美しいボディデザイン、高い安全性と広い室内・ラゲッジスペースを持ち、フルハイブリッドによる省燃費性能を誇る新型アルカナは、さらに優れた乗り心地とスポーティなハンドリングまで備えている。これで429万円というのは、バーゲンプライスではなかろうか。

内外装に派手なアピールはなく、駆動方式もFFのみだが、SUVとしての実用性と資質はしっかり備えており、さりげなく速く、さりげなく質の高いSUVを求めているユーザーには、十分に強力な選択肢となるだろう。輸入車への心理的ハードルが高い人にも、フルハイブリッドの扱いやすさ、新型アルカナの乗りやすさは大きなアピールになる。すべての面において「想像以上」だった新型アルカナ。輸入SUV界の新星として、大いに注目したい一台だ。

[筆者:遠藤 イヅル 撮影:茂呂 幸正]

ルノー/アルカナ
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新車価格:
399万円469万円
中古価格:
313.7万円456.9万円

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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