これは近未来のダカールラリー参戦車だ! 三菱「Vision Ralliart Concept(ヴィジョン ラリーアート コンセプト)」【東京オートサロン2022】
- 筆者: トクダ トオル(MOTA)
- カメラマン:茂呂 幸正・森山 良雄・三菱自動車工業
三菱自動車工業(以下、三菱)は、2022年1月14日(金)から16日まで開催された東京オートサロン2022(千葉・幕張メッセ)に、コンセプトカー「Vision Ralliart Concept(ヴィジョン ラリーアート コンセプト)」を出展した。2021年末に発売を開始した新型「アウトランダーPHEV」をベースとしながらも、かなり大胆にイメージチェンジを図ったヴィジョン ラリーアート コンセプト。これはもしや、近い将来のダカールラリー参戦マシンのイメージなのだろうか。そんな予感を覚える特別な1台について探ってみた。
ラリーアートはランエボやパリダカ参戦などの三菱モータースポーツ活動を象徴する重要なブランド
三菱「Vision Ralliart Concept(ヴィジョン ラリーアート コンセプト)」の成り立ちを端的に言ってしまえば、新型「アウトランダーPHEV」をワイドフェンダーと22インチの大径タイヤでドレスアップしたカスタマイズカー、ということになる。
ただし単なるカスタムカーというだけなら「アウトランダー○○」というネーミングにしたほうが、発売されたばかりの新型車の訴求にもなるはず。そこをあえて“Vision Ralliart(ヴィジョン ラリーアート)”と銘打つからには、相応の狙いがある。そのあたりについて探ってみよう。
2021年の決算発表で明らかにされたラリーアートの復活
三菱は2021年5月11日に発表した2020年度決算発表において、“ラリーアート”ブランドの復活を発表した。ラリーアートの名は、三菱のラリー活動を支えてきた三菱ワークスチームの母体「ラリーアート(RALLI ART)」に由来している。
トヨタの「TOYOTA GAZOO Racing」や、日産の「ニスモ(NISMO:ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)」と同じ位置付けと考えれば理解しやすいだろう。
1980年代から2000年代の初頭にかけての全盛期には、三菱 パジェロによるパリ・ダカールラリーでの優勝記録や、ランサーエボリューションによる世界ラリー選手権(WRC)連覇など数々の栄光を重ねており、いまだ多くの人々の記憶に残る栄光のブランド名となっている。
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ラリーアート復活はまずパーツ販売からスタートし、今後のモータースポーツ再参戦へとつないでいく予定
ただし「ラリーアート復活」といっても、2010年に経営不振の影響で活動休止となった三菱のモータースポーツ参戦をただちに再開する訳ではない。まずは「ラリーアート」ブランドのパーツ販売からスタートし、その後にモータースポーツ再参戦の道筋をつけていくという。
既にタイで現地生産されるピックアップトラック「トライトン」とSUV「パジェロスポーツ」(共に日本未発売)にラリーアート仕様車が発表済み。
さらに今回の東京オートサロン2022では、ラリーアートパーツを装着した「アウトランダー」と「エクリプスクロス」が参考出品され、2022年春の国内市販化も予告された。
ヴィジョン ラリーアート コンセプトは、近未来のダカールラリー参戦車のイメージ!?
期待されるモータースポーツシーンへの復活だが、まずは三菱車のシェアが高い東南アジア地域で、前出のトライトンを用いたラリー競技参戦が有力視されている。
いっぽう日本や欧州でモータースポーツに復活するとなれば、期待したいのはWRC(世界ラリー選手権)や、ダカールラリーへの再チャレンジだ。
ただし、SUVラインナップを主力とする現在の三菱車でWRCに再参戦するのはあまり現実味がない。やるならば砂漠で活躍するダカールラリーだろう。
ちょっと想像してみて欲しい。
凄みあるマットブラックの「Vision Ralliart Concept(ヴィジョン ラリーアート コンセプト)」に、白と赤の華やかなワークスカラーをまとわせた姿を。きっと脳裏には、砂漠での活躍シーンまでが浮かび上がってくるはずだ。
マットブラックの中に隠された光沢カラーの示す意味とは
モータースポーツマシンの多くは、オフシーズンの期間中、マットブラックのボディで走行テストを重ねている。今回の東京オートサロン2022においても、日産ブースで今期に復活する新型フェアレディZのスーパーGT500参戦マシンが、スポンサーカラーではなく、テスト走行時と同様の艶消しボディで展示され、注目を集めていた。
ちなみにヴィジョン ラリーアート コンセプトのマットブラック塗装は、単に艶消しカラーという訳ではない。光の当たり具合によってブルーのハイライトが浮かび上がる特殊な仕上げだ。東京オートサロン2022会場のステージ上で照明を浴びた姿は、独特の凄みと共に華やかさもある。
抑えたカラーリングの中に華やかさを隠し持つことで、遠くない将来を期待して待っていて欲しい…そんな三菱からの力強いメッセージだと筆者は理解したが、皆さんはどう感じただろうか。
[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:茂呂 幸正・森山 良雄・三菱自動車工業]
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