ホンダ フィットが世代交代でこんなにも激変!? 肉食系デザインの3代目からあっさり系の4代目へ 20周年のホンダ フィットを振り返る【後編】
- 筆者: 小鮒 康一
- カメラマン:茂呂 幸正・小林 岳夫・Honda・MOTA編集部
ホンダの代表的なコンパクトカー「フィット」が、2001年初代デビューから20周年を迎えた。そこで今回は歴代のフィットが果たしてきた功績を振り返る。今回は、大きく進化を遂げた3代目、そして2020年にシンプル&クリーンなスタイルで一新した現行型の4代目フィットについて改めて振り返ってみよう。
初代フィットのコンセプトを引き継ぎながら、大きな進化を見せた3代目以降を振り返る
いまやすっかりホンダの誇るベーシックカーの位置を確固たるものとしたフィット。前回は2001年に登場した初代モデルと、2007年に登場した2代目モデルを振り返ったが、今回は2013年9月に登場した3代目モデル、通称「FIT3」から振り返ってみよう。
▼歴代フィットの功績を振り返る・前編はこちらから▼
■33年連続販売1位のカローラから王座を奪った初代「ホンダ フィット」から20年! 歴代フィットの功績を振り返る【初代・2代目フィット編】
2013年登場の3代目「FIT3」はすべてが一新! アグレッシブな肉食系スタイルに生まれ変わった
3代目となったフィットは、世界のコンパクトカーのベンチマークにふさわしいクルマを目指して開発されたもので、初代から続く設計思想を継承しながらも、パワートレインや車体を完全新設計し、すべてにおいて格段の進化を果たしたモデル。
ボディサイズは5ナンバーサイズをキープしているが、ホイールベースを30ミリ延長し、室内空間の拡大と走行安定性を高めていた。
デュアルクラッチ式トランスミッションと組み合わせた独自のハイブリッド「SPORT HYBRID i-DCD」を新採用
ハイブリッドモデルは先代のIMAシステムから「SPORT HYBRID i-DCD」へと大きく進化。これはアトキンソンサイクル化された1.5Lエンジンと高出力モーターを内蔵した7速DCTミッションを組み合わせたもので、燃費性能だけでなく、走りの楽しさも追求したホンダらしいハイブリッドシステムとなっていた。
一方の純ガソリンモデルも先代までのSOHCから全車DOHCへと置き換えられ、アトキンソンサイクル仕様の1.3リッターモデルではカタログ燃費26.0km/Lと、ひと昔前のハイブリッド車並みの低燃費となった。
肉食系を象徴!? 6速MTのスポーツモデル「RS」も設定
またRSなどに搭載される1.5リッターエンジンは直噴i-VTECとなり、最高出力をおよそ10%向上。RSには先代から引き続き6速MTも設定されていた。
安全装備も大きく進化し、VSAやヒルスタートアシストといった機能や、急制動時にハザードランプが点滅するエマージェンシーストップシグナルを標準装備。さらに衝突被害軽減ブレーキの「シティブレーキアクティブシステム」などをセットオプションとした「あんしんパッケージ」も設定された。
初代・2代目とは大きく異るダイナミックなデザインに変化した3代目フィット
そんなメカニズム面でも大きく進化した3代目モデルだが、最も大きく変わったのがそのデザインだろう。「EXCITING H DESIGN!!!(エキサイティング H デザイン!!!)」と名付けられたデザインは、従来のシンプルなものから一転、ダイナミックで抑揚のあるものへと変貌。
インテリアも未来的でありながら運転に集中できるコックピット感のあるものとなっており、ベーシックカーでありながら攻める姿勢を具現化したものとなっていたのである。
2017年6月に行われたマイナーチェンジでは、先進安全装備をあんしんパッケージから現在の「Honda SENSING」へと置き換え、より安全性を向上。メーカーオプションのナビゲーションは「Apple CarPlay」と「Android Auto」に対応するなど、より近代化が図られることとなった。
2018年7月には新たなコンプリートカー「Modulo style(モデューロ スタイル)」が登場。これはスポーツコンバージョンモデルの「Modulo X(モデューロ エックス)」とは異なり、デザインに特化したカスタマイズパーツを組み込んだドレスアップモデルであった。
2020年発売の4代目フィットは一転してシンプル&クリーンに! ライフスタイルに合わせた5つのスタイルが特徴、MTは廃止に
そして2019年10月の東京モーターショーで4代目となる現行型が世界初公開。当初は発表とともに発売を予定していたのだが、電動パーキングブレーキの不具合によって2020年2月まで発売がずれ込むことになってしまった。
4代目となったフィットは再び初代~2代目を彷彿とさせるシンプルでクリーンなデザインへとなり、インテリアも先代の近未来的なものから水平、直線基調のものへと変更されている。
パワートレインはガソリンとハイブリッドの2本立てというのは不変だが、ガソリンモデルは1.3リッターに統一され、先代まで存在していたスポーティグレードのRSも廃止。それに伴って3ペダルMTもラインナップから姿を消している。
一方のハイブリッドモデルは先代のSPORT HYBRID i-DCDではなく、ホンダのコンパクトカークラスでは初採用となる2モーター方式の「e:HEV(イーエイチイーブイ)」へと置き換えられている。
安全装備では先代後期から採用されているHonda SENSINGが引き続き搭載されるが、ソナーセンサーやフロントワイドビューカメラの採用によって性能を強化。また、車載通信モジュールを搭載することによって、コネクテッドサービスの「Honda CONNECT」を利用することができるようになった。
グレード体系も一新され、ベースグレードの「BASIC(ベーシック)」、中心グレードの「HOME(ホーム)」、スポーティな雰囲気の「NESS(ネス)」、上級グレードとなる「LUXE(リュクス)」、SUVテイストを盛り込んだ「CROSSTAR(クロスター)」という、ライフスタイルに合わせ設定された5つのグレードが用意された。
フィット誕生20周年に合わせ記念特別仕様車も誕生
2021年6月にはフィット生誕20周年の特別仕様車「Casa」と「Maison」が登場したほか、スポーツコンバージョンモデル「Modulo X」がフィットとしては初めて設定された(e:HEVモデルのみ)。
このようにコンパクトカーの本質はキープしながらも、時代に合わせて変化していったホンダ フィット。現行モデルも含めて今後はどのような進化を見せてくれるのか、期待したいところである。
[筆者:小鮒 康一]
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